日本人と縄文体質
360699 古来、我が国には「国家」という言葉は無かった
 
望月宏洋 ( 29 会社員 ) 20/10/03 PM10 【印刷用へ
リンク より引用
><クニ>という言葉はあった。概念もあった。<イエ>があって、<ムラ>があって、<ノラ※1>があって、<ハラ※2>があって、そして<クニ>があったのだ。
※1.ムラの外のもう一つの人工的空間として農地。ノラは<野良>であり<野良仕事の場>を意味する。
※2.ムラの周り5〜10kmの空間をハラという。活動エネルギー源として食料庫であり、必要とする道具の資材庫である。

ここで、時代は、縄文時代からいっきに江戸時代に飛ぶ。江戸時代は、徳川家康が江戸に幕府を開いた1603年から、徳川慶喜が大政奉還した1867年までの265年間の時代のことをいう。この間、鎖国政策がとられていた。265年間という期間にわたって大乱がない時代で、食料もエネルギーも自給自足を実現。しかも貨幣経済社会を高度に発達させていた。こんなことは古今東西、世界史上ありえないことであった。また、士農工商の身分制度にあらわされるような、頂点に君臨する武士たちが威張っていた封建的な社会でもなかった。貨幣経済社会を担っていた「商」、つまり町人たちに勢いがあった社会だった。「士」である武士たちは、お米が禄高として支給された物々交換経済に縛られていたため、暮らし向きは、結構、苦しかったようだ。利が利を生む貨幣経済に、武士たちの生活は「武士は食わねど高楊枝」と言わざるを得ないほど、翻弄されていたようだ。

幕藩体制が確立された江戸時代は、カタチのうえでは中央集権制だったが、事実はどうも違っていたようである。幕府が中央政府とするならば、各藩は地方自治体のようなもので、お国(クニ)とも呼ばれていた。ネットワークシステムでいうならば、200〜300藩が、あたかもPeer to Peer※3のカタチで小規模分散並列的に存在していた。当然、お国(クニ)への締め付けもゆるやかなものだった。ゆるやかどころか、いま、わが国で盛んに議論がなされている「地方分権」が確立され、なおかつ藩札、今で言うところの地域通貨の発行による「歳出と歳入の自治」が確立していた、結構、とんでもない社会だったようだった。当時の江戸社会は、都市社会であり、通商社会であり、農業社会であった。国家という言葉はもちろん、概念もなかったのである。

「江戸っ子は宵越しの銭を持たない」という落語のお話しがある。じつは、このお話しは、安定した持続可能社会においてはじめて実現した「粋」な生き方だったのである。宵越しの銭を持たなくてもいい社会であるためには、翌日も、約束された仕事があるという社会であり、与えられた仕事をちゃんとこなしていれば、元気なうちは働くことができ、1日働けば、1日の手間賃が貰えるという社会システムが確立していなければならないのだ。

年金の財源が足りなくなる。当たり前である。少子高齢化社会になってしまった。若者2人が1人の老人の年金を拠出せざるを得ない状況で年金を減額したり、年金の支給時期を遅らせたり、年金の掛け金を増やしたりという論議は、愚の骨頂なのだ。平均寿命が男女共に80歳を優に超えているのである。年金の話も大事なことであるが、80歳の老人が働ける社会。宵越しの銭を持たなくても済む、「粋」な社会システムを、どうすれば構築することができるか。21世紀社会における展望は、縄文社会が築きあげてきた自然循環型の文明社会と、江戸社会が築きあげてきた持続可能な文明社会の両方を取り込んで、そこに<中今>ともいえるべく<あわい※4>の場を具現化する。人口が減少に転じたときにこそ、新社会システムを創造する可能性が見えてくるのではないだろうか。少し強引な論かもしれないが、このぐらいの相転移があってもいいのではないだろうか。
 
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