国家の支配構造と私権原理
360698 人が生み出した「想像の共同体」国民国家の本質
 
匿名希望 20/10/03 PM09 【印刷用へ
新型コロナウイルスの問題をはじめ、変化の全く読めない時代を私たちは生きています。このような有事にこそ、社会を生き抜く力を子どもたちに与える必要があり、それが教育の目的の一つでもあります。リンク


■国家の本質とは何か
「国家」といえば、エンゲルスの名作『家族・私有財産・国家の起源』を思い出す人がいるかもしれません。よく国家の3要素として、領土、(そこに住む)人民、(領土と人民に対する)統治権・主権が挙げられますが、国家の本質は、警察や軍などの暴力手段を合法的に独占していることに尽きると思います。
暴力(≒筋力)については男性のほうが優れているので、国家の誕生が男尊女卑、つまり太古の女系社会から男系社会に道を開いたという見方もあります。
国家の統治権は人民に対して生殺与奪の権利を持つわけですから、恣意的に権力を振るわれたら人民はたまったものではありません。そこで法律をつくり、三権分立(立法権、行政権、司法権を各々独立させる)を図るなどして国家権力の乱用を防いできたのが人間の歴史なのです。

明治維新の際に国民国家のコアとなったのは天皇制でした。明治政府は朱子学の力を借りて、天皇の赤子である日本国民を創り出したのです。同時に、朱子学の特徴である男尊女卑や家父長制も刷り込まれてしまったのです。こうして創り出された国民(意識)を維持するため、各国の政府は国旗や国歌や国民の祝日などを制定して、一体感の醸成に努めているというわけです。

国民国家を理解する不朽の名著が、ベネディクト・アンダーソンの『想像の共同体』です。僕はこの本は高校で教えるべきだと思っています。なお明治政府の国民国家創出については、小島毅の『天皇と儒教思想』という新書がわかりやすいと思います。国家とは想像の共同体に他ならないのです。

■なぜ日本は「先進国の中で投票率が低い」のか
「選挙」は議員を選んで立法府をつくるものですが、立法府が定めた法律で行政や司法が動いていくわけですから、政府をつくるのは選挙であるといっても決して過言ではありません。この基本が腹落ちすれば、選挙で「何をすべきか」がよくわかります。

政府は市民の手でつくるものであり、その政府をより良くつくり変えるための手段が選挙です。政府に任せっ放しにするのではなく、個人個人が自分の頭でよく考え、友人や知人と議論した上で、その結果を示す行動が選挙です。

■「白票や棄権は、現在の政治を信任することと同じ」
「ロクな候補者がいないから、投票には行く気がしない」などと無関心を口にする人こそ、率先して選挙に行くべきです。
世の中が変わる感じがしない」と不満を抱くのは、「今の政治は良くない」と思っているからです。「世の中が変わる感じがしない」のなら、そこであきらめるのではなく、政府をつくり直す努力をするべきです。

■今こそ必要になる「強い武器」
人が生きていくためには、自分の頭で社会のあり方を考える力が非常に大切です。だからこそ学校の現場で子どもたちに、社会に出ればすぐにでも直面する基本的な問題に対する考え方や心構えを教えて、つまり、最低限の武器を与えて、リテラシーを育てていく必要があるのです。

強い武器を身につけ、そして武器の正しい使い方を教えられた子どもたちが、これからの世の中を変えていくのです。
 
  List
  この記事に対するトラックバックURL  http://www.rui.jp/tb/tb.php/msg_360698
  ※トラックバックは承認制となっています。

[過去の記事へ]
[一覧へ戻る] [新しい記事へ]


◆実現論本文を公開しています。
 実現論 : 序  文
 第一部 : 前  史
 第二部 : 私権時代
 第三部 : 市場時代
 第四部 : 場の転換
 参考文献

 必読記事一覧
01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28
大転換期の予感と事実の追求
実現論の形成過程
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(1)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(2)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(3)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(4)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(1)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(2)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(3)
自考のススメ3.自考力の時代⇒「少年よ、大志を抱け」(1)
自考のススメ3.自考力の時代⇒「少年よ、大志を抱け」(2)
1.これから生き残る企業に求められる能力は?
2.私権圧力と過剰刺激が物欲を肥大させた
3.市場の縮小と根源回帰の大潮流
4.共認回帰による活力の再生→共認収束の大潮流
5.自我と遊びを終息させた’02年の収束不全
6.同類探索の引力が、期応収束を課題収束に上昇させた
7.情報中毒による追求力の異常な低下とその突破口
8.大衆支配のための観念と、観念支配による滅亡の危機
9.新理論が登場してこない理由1 近代観念は共認収束に蓋をする閉塞の元凶となった
10.新理論が登場してこない理由2 専門家は根本追求に向かえない
11.学校教育とマスコミによる徹底した観念支配と、その突破口(否定の論理から実現の論理への転換)
12.理論収束の実現基盤と突破口(必要なのは、実現構造を読み解く史的実現論)
近代思想が招いた市場社会の崩壊の危機
新理論を生み出すのは、専門家ではない普通の生産者
現実に社会を動かしてきた中核勢力
私権時代から共認時代への大転換
市民運動という騙し(社会運動が社会を変えられなかった理由)
民主主義という騙し:民主主義は自我の暴走装置である
統合階級の暴走で失われた40年
大衆に逆行して、偽ニッチの罠に嵌った試験エリートたち
新理論の構築をどう進めてゆくか

『るいネット』は、47年の実績を持つ起業家集団・類グループが管理・運営しています。るいネットワーク事務局(Tel:0120-408-333, E-mail:member@rui.ne.jp