脳回路と駆動物質
360417 音楽と脳 呼吸の同調
 
望月宏洋 ( 29 会社員 ) 20/09/22 PM06 【印刷用へ
リンク より引用
>脳は音楽をどのように聴いているのでしょうか? 近年、世界中の研究機関によってこの疑問が徐々に解き明かされつつあります。音楽は言語のように、その地域特有の文化を象徴しますが、それと同時に、地域や言語に関わらず誰でも享受することのできる「世界共通言語」でもあります。このように、言語の発達的起源を理解をするうえでも、音楽と脳の関係は重要なテーマとなっています。

たとえば、特別な音楽教育を受けてきたような音楽家は脳の聴覚機能が発達しており、それに伴って言語聴覚機能も向上すると報告されています。しかし、これまで明らかにされてきたことのほとんどが一般的な西洋音楽理論に基づいた音楽(クラシックやポップス)に関わることであり、日本伝統音楽の「邦楽」(雅楽等)がヒトの脳にどのような効果をもたらすのかに関してはほとんど注目されてきませんでした。

我々は、この日本伝統音楽の学習を特別に訓練してきた邦楽家では、非音楽家だけでなく西洋音楽家と比べても、脳の発達の仕方が違うのではないかと考えました。

>西洋音楽と邦楽の大きな違いとして、「間」のとり方が挙げられます。西洋音楽のリズムは、拍(ビート)という基本的には崩されることがない規則的な時間間隔を用いているのに対して、邦楽は、独自の「間」という不規則な時間間隔で表現する音楽です。邦楽も西洋音楽的なリズムを基調として持っていますが、西洋音楽のような数学的規則性のある時間だけではなく、「呼吸の同調」によって伸縮するような時間の概念があるといわれています。

時間感覚認知に関わる神経学的研究はこれまでも多く報告されていますが、日本文化的な「間」の認知に関わる研究は、これまで注目されてきませんでした。これは、「間」は、西洋音楽の拍のような数学的定義を持たない抽象的な概念であり、科学的検証が困難であることも理由のひとつとして挙げられます。

また、西洋文化と日本文化のリズムの違いの関係性は、音楽だけでなく言語においても同様にあります。たとえば、英語のリズムは「強勢拍リズム」に分類されます。強勢拍リズムとは、文中の強勢アクセントから次の強勢アクセントまでの時間が等間隔になるように刻まれ、音楽の拍のようなリズムともいえます。一方、日本語のリズムは「モーラ拍リズム」に分類されます。日本語のモーラは、かな1文字分に相当し、モーラと次のモーラまでの時間が等間隔になるように刻まれます。日本語のかなは、英語の音節(子音から子音への一渡り)をひとつだけ含むものもあれば複数含むものもあります。

音節が最小の音声認識単位であるところの英語の歌は、音節を繋ぐものとしてのビートやリズムによって構成されます。それに対して、かな1文字が最小の音声認識単位であるところの日本語の歌は、モーラと間によって構成されます。
このように音楽と言語に共通して、英語圏の文化は、日本のものに比べ、規則的なリズムや拍が強いのが特徴です。先行研究によると、西洋音楽的なリズム感が良い人は、強勢拍リズムをもつ第2言語(英語やドイツ語)を習得するスキルも高いといわれています。このことから、文化が普遍的にもつ感覚や感性が、言語や音楽、そしてそれに帰属する脳機能を独自に発達させてきたと考えることもできるでしょう。

>本研究では、日本独特の「間」をとる学習を特別に訓練した脳の発達基盤を明らかにすべく、邦楽家(雅楽等)、西洋音楽家(クラシック)、非音楽家間で、脳のリズム統計学習機能にどのような違いがあるかを検討しました。

邦楽家、西洋音楽家、非音楽家各10名を対象に、拍(ビート)有り、拍無しのリズム音列聴取時の脳活動を計測しました。その結果、非音楽家と音楽家間だけでなく、西洋音楽家と邦楽家間においても、リズムの聴覚機能に違いが現れました。このことから、普段我々が耳にしづらい伝統音楽の教育により、一般的な音楽教育だけでは発達しないような脳機能が発達する可能性があります。
 
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