新しい男女関係(→婚姻制)の模索
360405 男性性の変貌 2/2
 
姜ヨセフ ( 28 東京都 会社員 ) 20/09/22 AM02 【印刷用へ
ジェンダーや性的指向が多様化する中、二元的な性別役割で社会を構成しようとすることに無理がある。軍隊をつくりあげる過程で、男性は国を守る、女性はそんな男性を支えて子どもを育てる、というように役割を分けていったわけですが、そのどちらにも該当しない人たちは刑法で罰せられたわけです。それが1969年のストーンウォールの反乱と呼ばれるゲイの人たちの抗議運動に発展しました。このようなセクシュアリティによる差別に反対する社会運動台頭の背景には、女性解放運動における、「セクシュアリティは人権の問題」という考えがあると思います。以後、セクシュアルマイノリティの人々の抗議運動が世界中に広がっていきました。今は欧米社会の多くで、セクシュアルマイノリティの人たちの権利は認められるようになりましたが、日本は意識面でまだ遅れています。学生たちを見ていても、下ネタで盛り上がることや暴力的な素振り、体育会系のノリが嫌だし、それを強要する雰囲気も嫌だという、男性文化になじめない男の子が少なくないと気づきます。彼らはシスジェンダー男性ですが、男らしさの強制に苦しんでいる。それはやはり問題です。彼らと話していると、男性性にも多様性があるということを社会に認めてほしいという気持ちが伝わってきます。

■Black Lives Matterに学ぶこと。
1969年6月、NYのゲイバー「ストーンウォール イン」に警察が踏み込み、同性愛者らの怒りが爆発、暴動に発展した。ここからLGBTQの権利と性の多様性を訴えるプライドパレードが誕生した。
その意味で、これまでミュージシャンやアーティストが試みてきたように、ファッションなどを通じて従来の男性性を撹乱するのは有効。例えば男性がメイクをしたり女装したり、それまで男性が着なかったファッションを身につけることは、性の二面性を前提として自分を際立たせるためには非常に有効な手段です。もちろん、女性が男装するというように、その逆もまた然りです。一方で、第三の性に象徴されるように、多様な性のあり方が許容される時代に、男性性や女性性がどう変わっていくのかという問題はやはり残ります。

ジェンダー多様性の議論は盛り上がっても、それが社会構造的な男女の枠組みに影響を与えるかはわからない。こうした議論が構造を変えるきっかけになることを願ってやみませんが、本音をいうと、社会の構造を変えられるのは、基本的には主流派である男性なのだと思っています。つまり主流派の男性たちが、どのようにそのアイデンティティを変えていくかにかかっている。彼らの多くは選択的夫婦別姓制度にも反対で、同性間の結婚も認めていません。セクシュアルマイノリティや性教育の話をすることにすら消極的な人々です。こうした人々を変えていくという意味で、アメリカを中心に起きている「blacklivesmatter」運動に学ぶことは多いと思います。

男性だけ、あるいは白人だけを評価して、それ以外の特権のない人々を虐げるような社会がどんなにつらい場所かを知ってもらうという意味で参考になると思うんです。特権があることが当たり前の社会でなくなれば、誰もが等しい人間として扱われる。もちろん特権に寄りかかって生きてきた人々は、最初のうちは多少痛みを感じるかもしれませんが、会社のような組織に自分のアイデンティティを見つけるのではなく、公正な社会をつくり、その公正さを維持するために貢献しながら生きていくことにプライドを持つということです。そうした公正な社会をつくるために働いた自分を評価できる社会になってほしいですね。公正という価値観に基づけば、セクシュアルマイノリティの人たちがどういう思いで生きてきたのか、非正規雇用の女性がどんな思いで暮らしてきたのかということにも共感的になれるはずです。

■共感の対象をどこまで広げられるか。
第二波フェミニズムや同性愛の権利運動が活発化した70年代の音楽シーンを象徴するデヴィッド・ボウイ。バイセクシュアルを公表し、ジェンダーを撹乱するようなファッションとメイクで世界を席巻した。ジェンダーアイデンティティを超えて、よりよい人間であることに誇りを持つことで、特権意識や経済力を基盤とする男性性からも解放されると。

今後、日本を含む先進国の国力が劇的に伸びることはないでしょう。たとえそうであっても、日本が世界にまともな国であることをアピールしたいなら、私たちにも公正な社会をつくることができるのだと立証する必要がある。そのためには、ジェンダーに関わりなく人間としてのプライドを持つことがやはり必要です。そのプライドを、私たちはどこに求めるべきかという意味で、「blacklivesmatter」運動は参考になると思うのです。

一つ疑問が残るのは、人種やジェンダーなどの社会問題に関心が高いリベラルな層というのは、多くが特権階級のエリートではないですか?そう、すごくよじれているんです。高学歴の男性で力がある人間ほど男女平等論を支持し、LGBTQの権利を擁護し、リベラリズムをとります。それはなぜかというと、彼らは伝統的な男性性に寄りかからずとも自尊心を持つことができているからです。けれども、父権制の権力をもっとも享受しているのは実はエリートの人たちだったりもする。他方、格差社会の中で搾取され自信がなくなった人たちの中には、あからさまな女性蔑視やマイノリティ叩き等に走る人もいます。自尊心を維持するために、伝統的男性性に頼る、いや逆に、女性が男性を尊重しないということに、自分の社会的地位の低下を見出すのだろうと思います。トランプ大統領やその支持者にも多いのではと思いますが、女性差別や人種差別といった非対称性からくるイデオロギー的な優越感で、自分のプライドを維持しようとしている男性は多い。

そうした特権意識に支えられた男性性を解体していくために、共感力は一つのヒントになると思います。そのとき、共感する対象の範囲をどこまで広げられるかが重要です。そして、「男は働かなければいけない」ということではなく、また、お金になるかならないかに関係なく、自分自身のアイデンティティを確認できるような仕事、就社ではなく職業や社会貢献という意味での仕事を持つことはやはり大切でしょうね。こうした仕事を含め、自分にとって心地いい暮らしとは何かを根本から考え直すことで、可能性は開けるのではないかと思う。
 
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