市場原理
360272 資本論再考
 
匿名希望 20/09/17 PM11 【印刷用へ
主要先進国ほとんどは「資本主義」を採用している。しかし資本主義社会の正体を理解している若者は少ない。「マルクスの資本論」は資本主義の本質を改めて整理するとともに、問題点を指摘する。

◆社会の富は商品の集合体である
『資本主義生産様式が君臨する社会では、社会の富は、巨大な富の集合体である。したがって、私は商品の研究から始まる』

「そもそも商品とは何か?」「商品を解明したら資本主義が解明できるのではないか?」から資本論はスタートする。

◆商品には使用価値と交換価値がある
「商品とは何か?」という問いに対し、マルクスは商品には使用価値と交換価値があると述べている。使用価値とは商品を使用した時の価値であり、使えなければ意味がないという価値。それに対して、交換価値とは商品は他のものと交換するための価値である。

◆全ての商品と交換できる貨幣の登場
商品には交換価値があると述べた。さらに、その中でどんなものでも交換可能な商品が登場する。それが「貨幣(通貨)」だとマルクスは言う。貨幣は商品と違い、壊れず腐らず交換に非常に便利だった。

⇒この貨幣については、1600年ごろから中央銀行が発行するシステムが出来上がった。

◆労働力の正体
例えばテレビを5万円で買ったとして、そのテレビは5万円以上の価値になることはない。ただし、購入することで「それ以上の価値」を生み出す商品がある。それが「労働力」だとマルクスは述べる。資本家はこの労働力を買う。つまり月給20万円で誰かを雇ったとして、労働者が毎月20万円分の仕事しかしなければ会社は潰れる。つまりそれ以上の労働を常に労働者はしている。

⇒マルクスは、労働という商品だけ、購入するだけで価値が増える商品だということに疑問を抱く。

◆剰余価値とは何か?
つまり労働者は、常に労働賃金以上の働きをしている。この労働賃金以上の価値をマルクスは剰余価値と呼んだ。資本家はこの剰余価値なるべく最大化することが目的であると述べている。

◆お金からお金を生む運動
初めは商品を作り、お金を得て、商品を買うという。商品→お金→商品の流れであった。その中で、資本家はお金→商品→お金'という運動をしている。つまり、お金で労働力を買い、商品に剰余価値をプラスして売ることで、お金を増やすというサイクルである。この運動を繰り返すことで資本家は、どんどんお金を蓄積していくことになる。

◆二種類の剰余価値
マルクスは剰余価値には二種類あると述べています。
一つ目が、絶対的剰余価値であり。二つ目が、相対的剰余価値である。
絶対的剰余価値とは、単純に労働時間を増やすことである。つまり、なるべく長時間働かせようとする。しかし働かせすぎて、病気になって仕事ができなくなってしまっては困るので、労働力を再生産できる最低限の休みを与えるようにした。この労働力の再生産とは、また元気になって働ける状態にすることである。

相対的剰余価値は、生産性を上げることによって市場の商品を安くし、労働力の再生産費用を安くする(=給与を安くする)ことである。例えば、1日の生活費が1万円。もし、商品が安くなって生活費が5千円になれば1日の生活費が安くなるので、給与も少なくて済むという考え方である。これは労働者の労働時間を増やす事で高める事ができる。生産性を上げることによって市場の商品を安くし、労働力の再生産費用を安くする(=給与を安くする)事で高める事ができるという考え方である。

◆避けられない大規模化
労働力の剰余価値を最大化しようとすると、多くの人を一つの場所に集めて仕事をさせた方がよいとマルクスは述べる。仮に10人が別々な場所で10時間働けば、10×10で100時間だが、同じ場所で働くと100時間以上の価値が生まれると言う。

これは当たり前である。なぜなら下手な人は上手い人に習うことができ、競争意識や、協力意識などが生まれるからである。マルクスは、人間は社会的な生き物なので、この大規模化(集団化)による効率化は避けることができないと述べている。

◆反旗をひるがえす労働者
大規模化し、労働者の大勢が同じ場所で働き出すと、資本家に対して労働者は対抗するようになるとマルクスは述べる。資本家は、最大限働いてもらいたいが、労働者はなるべく楽して稼ぎたい。数人規模の会社であれば、抑え込むこともできるが、大規模化することでこの争いは避けられないとマルクスは述べる。

◆資本蓄積は独占を生む
労働者が生み出した剰余価値は資本家のみに蓄積していき、労働者に還元されることはない。何故か?
仮に生み出した剰余価値を、労働者に還元したとする。すると当然、商品はその分高くなる。すると、競合他社に価格で負けてしまう。また、自由競争によって剰余価値の最大化を求めた結果として、構造的に大規模化していき、最終的には最大効率で生産できる数社のみ残る独占へと変わっていく。

◆資本家と労働者の対立
剰余価値を高めるために、大規模化し生産性を高め、自由競争をした先に待ち受けるのは独占である。その独占が進むと、労働者は悪い労働条件で働かざる得なくなる。なぜなら、他に働き口がないからである。
そうなれば労働者は貧しいまま、資本家はますます資本を蓄えることになる。マルクスはこの矛盾を「弔いの鐘」といって資本主義の終わりが来ると述べた。

◆まとめ
マルクスの資本論について、論点のみをまとめた。実はマルクスの資本論は、原題はDes Capitalで「資本」というタイトルであった。マルクスは資本の正体とはどのようなものなのかを突き止めようとした。
最後と結論で「弔いの鐘」がなると資本主義の終焉を予想したマルクス。現在に照らし合わるとどうだろうか?現在では既に物的飽和による市場の衰退と私権原理の崩壊により、物的価値と類的価値は逆転しはじている。
 
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