もはや学校は終っている
354919 大学の偏差値と入社後の仕事ぶりには何の関係もない、一流大卒の採用は無駄(日本電産・永守会長)
 
匿名希望 20/03/24 PM05 【印刷用へ
京都で大学経営 日本電産・永守会長「教育に風穴を」2020/3/22 日本経済新聞
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一代で世界一の総合モーターメーカーを築いた永守重信・日本電産会長(永守学園理事長)が大学経営に乗り出した。偏差値とブランド信仰が支える受験教育を厳しく批判する永守氏に話を聞いた。

――大学経営に乗り出した背景は?

創業は1973年。直後にオイルショックが起き他社が採用を手控えた時代なので応募者には困らなかったが、低偏差値大学の卒業生しか来なかった。会社が発展すると関関同立(関西大学・関西学院大学・同志社大学・立命館大学)からも来るようになり、東京大学や京都大学など一流国立大卒業生も増えた。

多数の大学から採用して分かったのは、大学の偏差値と入社後の仕事ぶりには何の関係もないことだ。一流大卒を採用しようと頑張ったのは無駄だった。"三流大学卒"は妙なプライドがない。世界的新製品を開発し会社を大きくしたのは、創業時の採用組だ。たまたまどこかの試験を落ちただけで潜在能力は高い。東大卒や京大卒が優秀だったら、大学経営に手は出さなかっただろう。

昔は一流大学には本当に頭の良い人が入っていた。最近は小学生の頃から塾に通い、暗記とテクニックで入るから最上位層以外は普通の大学と変わらない。哀れなのは子どもたちだ。時代遅れのブランド信仰で遊びも忘れて勉強させられ、入学した途端、これで遊べると好き放題をやる。これではたくましいリーダーは育たないし、革新的な会社も生まれない。日本の閉塞感の原因だ。

一芸に秀でた人材、とがった人材が必要なのに、センター試験のような愚かな制度で若者を振り分ける。人生百年の時代に18歳か19歳で新幹線組とローカル線組に分け、一度ローカル線に乗ったら残りの80年ずっとローカル線。こんな教育は間違っている。

人間の評価にはIQとEQがある。IQは頭の良さだ。持って生まれたもので、努力で何とかなるものではない。一方のEQは感情指数だ。情熱や熱意、執念、最後までやり遂げる意欲など。要は「やる気」だ。EQは教育と経験でいくらでも伸ばすことができる。IQよりEQの高い人を採った方が良い。

――大学の問題点は?

企業は市場が必要と思うものを作らないと誰も買ってくれないから、一生懸命新製品を出す。ところが大学は、いつまでたっても旧態依然だ。世界ランキングで百位以内は東大と京大だけ。早稲田や慶応でも600番台以下。その間にアジアの大学がどんどんランクを上げている。

批判だけでなく、自分で大学を経営してみよう。そう思って2年前、京都学園大学の理事長に就任した。授業を見て驚いた。学生の半分は寝ていて、残りはスマホで遊ぶか私語。私も授業を聞いたら、ものの10分で寝た。教員は「学生のレベルが低いから」と言うので、「私も寝た。私もレベルが低いのか。内容がつまらないから学生が寝るのだ」と叱責した。

今の学生に90分の座学は厳しい。それなら45分は座学で残りは動画にするなどやり方はいろいろある。なんら工夫もせずに、ご飯を食べている教員が日本中の大学にごろごろいる。

――世界ランキングで京都大学を抜くと宣言しました。

理事長就任時、2025年に関関同立を抜き、30年には世界ランキングで京都大学を抜くと宣言した。ほらではない。28歳で創業した時も売り上げ1兆円を目指すと宣言し、14年度に実現した。

大学は京都先端科学大学に名称を変更、学長と学部長も代えた。4月に開設する工学部は一から創った。教員は全員が英語で授業できる。入学後は英語を徹底的に教え、卒業時にTOEIC650点を目指す。専門能力は世界44カ国の日本電産グループ工場でインターンで鍛える。米国ではインターンは大体3カ月なのに、日本は3日か4日。これではだめだ。3カ月から6カ月、長くて1年程度行けば、社会や企業の仕組みがわかる。

工学部は文部科学省の認可がなかなか下りなかった。英語での授業に注文がつき、やっと昨年11月に通った。不認可なら新聞やテレビに意見広告を出すことも辞さないつもりだった。「定員が2百人もいて、誰が卒業生を採用するのか」と言うので、「誰も採らなければ日本電産が全員を採用する」と言ったら納得してもらえた。

これからは車は全て電気自動車になり、ロボットやドローンの時代になる。動かすのは全部モーターなのに、モーターを中心とした学科を持つ大学はどこにあるのか。

500人採用してもモーターを学んだのは1人か2人。だから1年かけて一から教える。すごい無駄だ。こんなことをしていたら中国に負ける。

AI人材もモーター技術者も足りないのに、大学にあるのは昔ながらの機械工学とか電気工学ばかり。モーターは電気、機械、化学、電子工学など複合的な知識がいる。病院に総合診療科が求められるのと同じなのに、文科省は前例がないと言う。前例がないから風穴を開けるのだ。全額、私の寄付で行うのに、なぜぐだぐだと言うのか。変革が嫌なのだろう。

――大学経営の次の一手は?

教育改革は大学だけではだめだ。付属中学・高校、次に小学校、幼稚園と、大学までの一貫教育を作りたい。京都駅前に夜間のビジネススクールを開き、経営者を目指す技術者も育てたい。

これからの日本は、強いリーダーが次々と出てきて、世界と戦わないとやっていけない。すべては教育だ。今の学校教育は教えるだけで、人を育てていない。家庭の最大の関心事は子どもの教育と家族の健康だ。最後の天職だと思い、全財産を教育と医療に使いたい。
 
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