心の本体=共認機能の形成過程
353988 皮膚は「心」を持っていた!A 〜自分の境界が広がり他者と一体化する「自己膨張理論」とは〜
 
立川久 ( 50代 ) 20/02/23 PM00 【印刷用へ
@の続きです。

『皮膚は「心」を持っていた!』山口創 著について、
ブックパス リンクより、以下引用。
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●自分の境界が広がり他者と一体化する「自己膨張理論」とは

 触れることは人の苦痛を癒し、ストレスを緩和してくれるものだ。ところが、触れなくてもストレスが軽減することがある。それを示したユニークな実験がある。アメリカの心理学者サイモン・シュナルがおこなった坂の実験である。

 実験参加者たちを坂のふもとに連れて行き、その坂の角度を推測してもらった。このとき参加者たちを「友人が側にいる」群と、「1人で」推測する群に分けて調べた。すると、友人と一緒に推測した人は、1人で推測した人に比べて、坂の傾斜を「ゆるい」と判断したのである。しかも、その傾斜をゆるいと推測する度合いは、友人との親密度が高いほどに大きかったのだ。親しい人がそばにいることで、同じ坂でも傾斜をゆるく感じるというわけである。

 その秘密は、「ペリパーソナルスペース」の働きにある。ペリパーソナルスペースとは、ある領域内にある人やものを、自分の体の境界である皮膚が膨張して、まるで自分の体の一部であるかのように脳が感じてしまう空間のことだ。手を伸ばせば触れられる範囲(45〜50cm程度)とされている。

 例えばナイフとフォークを持ってステーキを切っているとき、脳はまるでナイフとフォークが自分の体の一部であるかのようにとらえている。つまり、ペリパーソナルスペースの領域にあるものに対して、脳は自分自身の一部であるととらえているのだ。

 この現象は人に対しても同様で、親しい人が近い距離にいると、自分の境界が広がったように感じてしまうことがある。自分の境界とはつまり、皮膚のことである。通常は、自分の皮膚の表面こそが、他者との境界であるはずだ。それが、親しい人が近くにいると、まるで自分の境界が広がり、相手の体も自分の体の一部のように感じて、エネルギーが増すような感覚が生まれてくる。

 これを「自己膨張理論」という。つまり、自分が膨張しているような感覚なのだ。だから、親しい人が近くにいれば、困難も乗り越えられそうだという勇気が湧いてくる。

 満員電車は、他人との距離が極端に近くなり、誰もが不快になる。これを「クラウディング」という。クラウディングとは、人が高密度でいる状況で生じる、ネガティブな感情や不快感のことだ。

  満員電車では目をつぶっている人も多い。もし、満員電車の一人ひとりを、自分のペリパーソナルスペースにいる生身の人間としてとらえてしまったら、脳が疲弊してしまう。それを避けるがために、「目を閉じて」情報をシャットアウトしているわけである。だから、都会に住む人ほどまわりの人間を環境の一部であるように見てしまう傾向がある。

  一方、人が集まった状態では、クラウディングとは逆の現象が起きることがある。そのいい例が、パブリックビューイングだ。オリンピックやサッカー のワールドカップの試合など、わざわざパブリックビューイングに足を運ぶ人がたくさんいる理由は、一体感を味わいたいからである。そのほうが感動も倍増し、喜びも増えるからである。これこそまさに、自己膨張理論である。

  互いの境界の感覚が排他的なものではなく、一体化する膜のように感じるからこそ、このようなことが起こる。そしてそれが起こるためには、幼少期にしっかりだっこをされたり、友達と肌を触れ合わせるような遊びをたくさんしたりすることが必要だ。触れられる経験が少なければ少ないほど、他人への境界の感覚ばかりが強く、自分の領域を侵されることに抵抗を感じてしまうだろう。

 本来、「触れる」という行為は、相手のことを思っておこなうものである。そしてそれは同時に自分自身を癒し、心に慈愛の灯をともす行為となるのである。これは直接触れなくても同じである。
 
 誰かに触れられ、大切に扱われることで、自分の必要価値を見出し、今度は人のために生きようとする好循環が生まれる。相手を思う「慈愛の心」を持つことは、結果的に「自愛の心」につながり、不安や抑うつが減り、自分の心を整えることにつながるのである。
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引用終わり
 
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