次代の活力源は?
353961 伝えることから始めよう・・・ジャパネットたかた急成長の秘密
 
是安知和 ( 65 東京都 会社員 ) 20/02/22 AM10 【印刷用へ
「ジャパネットたかた」の社長として長年活躍してきた高田明氏。そんな彼が「伝える」技術を詰め込んだ1冊がある。26年にも及ぶプレゼンター人生で彼が手に入れた技術とは? 「伝える」を「伝わる」に代えるノヒントが詰まった1冊。

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伝えることから始めよう(2)
高田 明
東洋経済新報社


高田氏は、1993年から「ジャパネットたかた」という名称を使い始めた。全国でやりたいという気持ちからジャパンネット、言いやすさを考えてジャパネットとした。

ジャパネットたかたはラジオショッピングと並行するかたちで、1994年からテレビショッピングへの試験的参入を決めた。最初は採算度外視で、6つのテレビ局で週3回深夜に30分放送することにした。その後、ラジオでつながりができていた放送局の枠をどんどん買い、月に20本、30本と放送を増やしていった。

テレビに本格参入した95年には、売り上げが71億8000万円に伸び、99年には社名を正式に「ジャパネットたかた」へと変更した。

95年からは、カタログ通販と新聞の折込チラシも始めた。ご年配の方にとっては紙媒体のほうが買いやすいのではないかという配慮からだ。といっても、社内にこうしたものをつくった経験のある人は誰一人おらず、大きな金額を投資しても失敗してしまう可能性があった。

それでもやってみないことにはわからない。まずは社内で10人ほどのチームをつくり、薄い冊子のようなものを作成することにした。そこには、たとえ最初の数字が悪かったとしても、お客さんの反応(数字)を見ながら修正を重ねて数字を上げていけばいいという高田氏の考えがあった。

傍から見れば失敗に思えることでも、本気で取り組んだ結果ならば、それは失敗ではない。「やらなかった失敗はあっても、一生懸命にやった失敗はない」というわけだ。
お客さま目線で独自のサービスを確立する

メーカーよりも販売店の方がお客さんに近く、お客さま目線で本当に必要とされる商品を考案できる――そう考えた高田氏は、メーカーにお客さまの声を届け、オリジナル商品をつくってもらうようになった。

たとえば、ビジネスパーソンがメイン購買層だったボイスレコーダーを備忘録用としてシニア層に提案したところ、とても反響がよかった。ただ、ボイスレコーダーのボタンはどれも小さく、シニア層には押しにくいという課題があった。そこで、メーカーにそのことを伝え、シニア層向けに押しやすいボタンでつくってもらった。ジャパネットたかたでしか買えないオリジナル商品だ。

その他、パソコンやタブレットの初期設定サービスや大型家電の設置サービス、下取りサービスも、お客さま目線で考え抜いた結果、生まれたものである。

高田氏は、他人に伝える際に必要なものとして、スキル(技術)、パッション(情熱)、そしてミッションの3つをあげている。

ミッションとは、「なぜ、何のために伝えるのか」という、その企業の根幹にあたる部分だ。ジャパネットたかたにとってのミッションは、「商品の先にある『感動』をお伝えし、商品を手にしたお客さまに『幸せ』をお届けすること」である。これが明確にあるからこそ、商品を手にするお客さんの幸せを想って、商品の魅力を伝えずにはいられなくなる。ミッションがあるからこそ、パッションが沸いてくるのだ。

ミッションとパッションだけでも、ある程度相手に伝えることはできるかもしれない。しかし、コミュニケーションにおいては「伝わる」ことがなによりも大切だと高田氏は述べている。相手に「伝わる」ためには、それ相応のスキルが必要だ。ここでは、高田氏が26年間のラジオ・テレビショッピングの中で培ってきた考え方をいくつか紹介する。

まず、高田氏が心がけているのが、「上手くではなく、わかりやすく伝える」ことである。専門用語を並べ立て、いかに上手そうにプレゼンをしても、見ている人の多くは理解できない。伝えたい相手の立場に立って、どのように話すと伝わるのかを真剣に考えるからこそ、「伝わる」コミュニケーションが生まれる。

また、伝えたいことを絞るのも効果的だ。5分間で1つの商品を紹介することになったとき、5分間で伝えればいいと考えるとうまくいかない。視聴者が最後まで見てくれるとは限らないからだ。飽きたらすぐに耳を傾けてもらえなくなるという前提に立ち、最初の1分間に勝負をかけるべきである。ビジネスシーンのプレゼンでも、これと同じことが言える。伝えるべきポイントを絞って、導入部分で聴衆を惹きつけるようにしよう。
「離見の見」の境地へ

高田氏は本書のなかで折に触れ、室町時代に能を大成した世阿弥の考え方を紹介している。たとえば、「一調二機三声」という発声までのステップや、「間」の取り方、「序破急」という物語の型がそうだ。

「我見」「離見」「離見の見」というのも、世阿弥が説く考え方のひとつである。「我見」とは、舞台にいる演者(自分)が観客を見る視点のことを指す。「離見」は逆に、観客が演者を見る視点のことをいう。そして「離見の見」は、舞台で舞う自分自身の姿を、離れたところから客観的に眺める視点を意味する。世阿弥は、「離見」と「離見の見」を一致させることが大切だと述べている。

自分の視点だけで独りよがりの伝え方をしてはいけない。相手の目線から自分を眺めるよう努めるべきだ。そうすることで、はじめて「伝わるコミュニケーション」が生まれる。
 
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