否定脳(旧観念)からの脱却
353953 「友(仲間)の為に戦う」というシンプルな組織論が最強の集団をつくる
 
田野健 HP ( 59 兵庫 設計業 ) 20/02/21 PM11 【印刷用へ
onepieceのもう一つの引き付ける要因は組織論にある。
>いちばん強いのは「あなたなしでは生きられない」という言葉を交わし合って生きる人です。
というこのシンプルな考え方に現在の若者は強く共感している。
人の役に立ちたい、立つ仕事に就きたい。そういう若者がごく当たり前に多数派だが、その核心はこういう言葉ではないか。
リンクより引用
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彼がそのパフォーマンスを爆発的に開花させるのは例外なく「友のために戦う」ときであるということも理解できます。彼は別に友だちとの間に「相互防衛条約」のようなのを取り結んでおり、その約款に従っているわけではありません。彼に救出され、支援される友だちがルフィーが自分のことを友だちだと思っていることさえ知らないというケースだってあります。この「友のための戦い」は義務でもないし、報償が約束されているわけでもない、ルフィーの側からの無償の贈与なのです。それは別にルフィーが例外的に博愛的な人間だということを意味するのではありません。

彼は「その人のために戦うことのできる友」をつねに自分自身のために求めているのです。友のために戦うことが、彼にとってはこの世で一番楽しいことだからです。「友のために戦う」というこの願いは当然のことながらすべて満たされて「はい、おしまい」ということがありません。なにしろルフィーの友だちは物語の進行に合わせて増え続けているからです。この本質的に空虚な少年(「空虚」というのは「無尽蔵の包容力」ということです。ぜんぜん悪い意味じゃありません)が組織の中核にどんといるからこそ、麦わらの海賊たちは天下無敵の存在となっているのです。

 今の日本の若い人たちが『Onepiece』に熱中する理由の一つは、そこに彼らが現実の家庭や学校や職場ではまず見ることのできない「絶好調で機能している集団」を見るからでしょう。どうしてこの集団ではこんなにものごとがうまくゆくのか。それがただの「絵空事」であれば「ふん、気楽な話だね」で済ませられるでしょう。でも、読者はそこの「絵空事」ではないものを感じています。たしかに『Onepiece』に描かれているのは空想の世界です。でも、枠組みは空想だけれど、そこで起きているさまざまな事件は現実の世界の出来事をある意味ではそのままに映し出している。そこに登場する人々は現実に存在している人々のいささか誇張された写像である。だから、この不思議な物語世界に若い読者たちは独特のリアリティを感じている。そういうことだと思います。

 一番読者が惹きつけられているのは麦わらの海賊団の組織原理でしょう。どうして、この組織はこんなにうまく機能しているのか。それが知りたい。
 そこではたしかに私的なものと公的なもの、個人と集団の歯車が理想的に噛み合っている。でも、それは現実の世界でも局所的部分的には実現可能なもののように思われる。だとすれば、それはどういう組織原理であるのか、どういうふうにこのような集団は形成されうるのか。それを知りたいと願う気持ちが、とりわけ雇用環境がはげしく劣化している日本の若い読者たちの間には、存在するのではないかと僕は思います。そのような組織が「できあい」のものとして提供されるはずはないにしても、もし可能であれば自分たちで「手作り」できなものだろうか。そういう希望が『Onepiece』の読者たちの中にはきっと存在しているのだと思います。

 組織の中で、一人一人のメンバーはどのようなふるまいを通じて集団の一員として認知され、かつそのパフォーマンスは最大化するか。それについて見てみましょう。
メンバーたちはルフィーに誘われて海賊の一味になりますが、リクルートされる最優先の条件は「ルフィーができないことができる人間」であることです。その事情については前の解説にも書いた通り、ルフィー自身がきっぱりこう断言しておりました。

「おれは剣術を使えねェんだコノヤロー!!! 航海術も持ってねぇし!!! 料理も作れねェし!! ウソもつけねェ!! おれは助けてもらわねェと、生きていけねェ自信がある!!!」(第10巻、90話)
 
 文字に起こすとちょっと感嘆符が多すぎる気もしますけれど、いいたいことはよくわかりますね。「おれは助けてもらわねェと、生きていけねェ自信がある」というのは、ルフィーという人の「強さ」のありようを語ってあまりある名言です。

 哲学者の鷲田清一先生はこういう人間のありようのことを「独立(independence)」でも「依存(dependence)」でもない、「相互依存(inter-dependence)」という言葉で言い表したことがありました。互いに「その人なしでは生きていけない」「あなたの助けが必要だ」という言葉を言い交わす関係のことです。そういうネットワークの中に身を置くものがもっとも強い。これは経験的に確かなことです。
 ふつうは逆に考えます。誰にも依存しない、誰にも頼られない、自立した人間がいちばん強い。そう思っている人がたくさんいます。もしかしたら現代日本の過半はそう信じているかも知れません。でも、違いますよ。いちばん強いのは「あなたなしでは生きられない」という言葉を交わし合って生きる人です。
 
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