社員の活力を引き上げるには?
353917 【追悼】初公開、野村克也元監督が語る「リーダーへの4つの教え」〜(1)
 
津田大照 ( 42 愛媛 現場監理 ) 20/02/20 PM06 【印刷用へ
 プロ野球の南海ホークス(現・福岡ソフトバンクホークス)で戦後初の三冠王や、監督としてもヤクルトスワローズを3度の日本一に導くなど、希代の名選手で名監督でもあった野村克也氏が今月、死去した。さかのぼること17年前、企業経営に通じる組織や人の育て方について野村氏に取材したものの、編集上の理由で事実上のお蔵入りとなった。今、そのインタビューを初公開する。(聞き手/ダイヤモンド編集部 松本裕樹)

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〇 監督業とはすべてが人作り

 僕たちが現役時代のチーム作りと今のチーム作りはまるっきり異なるものです。

 かつてのチームはいわば手作りで、選手個々人の能力を上げていくものでした。しかし、今や巨人に代表されるように、巨額のカネを使って良い選手を連れてくる時代になりました。極端にいえば「カネで優勝が買える時代」になったともいえます。

 なぜこのような変化が起きたのでしょうか。

 僕の50年間の野球生活で見るかぎり、その理由は、かつての根性野球、精神野球の時代が、管理野球、情報野球に変わったことが大きいと思っています。

かつて南海の鶴岡一人監督は、軍隊での経験からか、「特攻精神」「当たって砕ける玉砕戦法」「営倉に入れるぞ」とか、軍隊用語を使って指導していましたからね。

 いずれにせよ、かつては監督が代わればチームは強くなりました。

 ところが今は、監督を代えたからといって、必ずしも強くなるわけではない。そういう時代になったということです。

 その一方で、「組織はリーダーの力量以上には伸びない」という原則もあります。野球も同様で、監督の能力以上にはチームは強くなりません。

 監督業とは何なのか。

 監督に求められるのは勝つという結果、それがすべてです。この結果至上主義はいつの時代も変わりません。しかし、そのためには結果を得るためのプロセスが重要となります。

 プロセスとは「人作り」「チーム作り」「試合作り」の3つ。これらはそれぞれが別々のようにも見えますが、実は人作りができればチームが作られ、そうすると試合も作れる。つまり、監督業のすべては人作りだと言えるでしょう。

〇 勝てる人に必要な「気」

 僕が監督時代に常々選手に言ってきたのは、「技量だけでは勝てない」という実感を得ることの大切さです。

 この実感がなければ、本当の闘いは始まりません。

 実感というのはいわば無形の力です。それがあるからこそ、「ではどうすればいいのか」と思考するようになります。


その結果、思考力・観察力・分析力・判断力・決断力などが磨かれる。そうするとデータや情報の必要性も痛感するようになるでしょう。そして、さらなる行動につながっていきます。

 こうした無形の力の有無が、これからの野球の勝敗を決めていく大きな要素になると思っています。

 では、こうした実感を得られる人と得られない人の根本的な違いは何でしょうか。

 それは「気」です。

「やる気」「その気」「勇気」、そして「負けん気」。

 こうした「気」があれば、それは執念や執着心に変わり、さらには興味や好奇心に変化していく。この「気」がなければ、感性は磨かれないでしょう。現状で満足せず、「もっと良くなりたい」「強くなりたい」という向上心がなければ、感性は磨かれないということです。

 もう一つ大事なのがプロ意識です。それは「プロとして恥ずかしい」という恥の意識です。

 僕は監督として、ヤクルトでも阪神でも同じ方法で指導しました。しかし、ヤクルトは優勝に導いたものの、阪神では失敗した。その理由は両者の「気」と「プロ意識」の差といってもいいでしょう。

 阪神の今岡誠に代表されるように、僕が監督時代には活躍できなかった選手が、僕が辞めたら首位打者になる。それほどの能力を持っていながら出そうという気がない。やる気がないんです。

当時の阪神は甘え体質で、選手を叱ると傷ついてしまう。一方、ヤクルトは「それでもプロか」と叱ると、反発心をもって向かってきました。

 だから僕が阪神の監督を辞める時、後任をある人に託したいと思いました。いるだけで空気が引き締まり、いつ鉄拳が飛んでくるかわからないような恐怖感と緊張感を醸し出す人物でした。しかし、その人は健康状態が優れず、ドクターストップで断念しました。

 その後、星野仙一さんが中日の監督を辞めたので、僕はフロントに対し、星野さんに監督就任をお願いするよう進言したんです。阪神が強くなるには怖い監督じゃないと駄目だと言ってね。
 
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