民主主義と市民運動の正体
352944 「多様性」はコストがかかる。
 
別所彦次郎 20/01/18 PM08 【印刷用へ
リンクより引用
***
前略

結局のところ、我々が多様性を認めるのは
「多様性を認めるコストと、多様性から得られるリターンの関係に合理性がある」
場合のみとなる。まさに保険だ。

だから当然、「コストが高すぎる」多様性は、おそらくほとんどの人がNoと言うだろう。

例えば、わかりやすいところで言えば
「連続殺人犯であっても、訴追する必要はない、殺人衝動を認めようよ」
という人はごく少数だろう。

なぜなら、彼らを認めるコストのほうが遥かに高いと感じるからだ。

Twitterだって、罵詈雑言を浴びせてくる人をまともに相手する必要はない。
相手をするコストが高いと思えば、遠慮なくミュート・ブロックするのは自然だ。

会社の中でも同様だ。

コミュニケーションコストがかかる人は相手にされない
そもそもコミュニケーションは面倒くさい。気の合う人であれば通じ合うのはたやすいけど、仕事でかかわる人はそんな人ばかりじゃない。パッと言って、サッと話が通じることなんて少ない。コミュニケーションにはコストがかかるのだ

ある程度のコストは、「リターン」があれば我慢できる。
が、コストが掛かりすぎる人は、次第に相手にされなくなる。


上のようなことから、私が結局「多様性」について、行き着いた結論は、

・多様性自体には、良いも悪いもない。
・多様性を認めるかどうかは、コストとリターンの兼ね合い
・多様性のコストとリターンの感じ方は、個人ごとに異なる。
となる。

そしてここから、私が得た教訓は、

「多様性を認めるかどうかは個人の自由。 だが「多様性をみとめろ」と、他者に押し付けるのは、かなりの注意が必要」
となる。

なぜなら他者に「コストを負担しろ」と、迫ることになるからだ。


「多様性は大事」と個人が主張するのは自由だ。

その人の理念にとどまる限り。

だが、「多様な要望を認めないのはおかしい」と、他者に多様性の維持コストを負担させようとする行為に関しては、
「得するのはあなたばかりじゃないの?」と、疑問に思うのが自然だ。

例えば、先日、小学校の保護者会に参加してきたところ、驚いた。

親たちの多様性を、余さず受け入れるため、担任が恐ろしく両親たちに気を遣っているのだ。

あまりにも要望が細かいので、さぞかし小学校の先生は大変だろうな、と思った。
先生のなり手が少なくなっているのは仕方ないな、とも思った。

例えば、「冬休みは、子どもたちに縄跳びの練習をさせてください」と担任が言ったところ、
「飛び方について教えてほしい」という質問が出た。

先生は即答できず
「調べておきます。プリントに書くようにしますね。」
と言ったのだが、正直私は

「そんなん、後で自分で調べりゃいいじゃん。ここで出す話じゃないし、先生忙しいんだから、要望をかんたんに増やすなよ。」
と思ってしまった。

私がおかしいのだろうか?

だが、多様性にかかるコストというのは、突き詰めて言えば、そういうことだ。


もちろん、多様性のメリットは大きい。

多様性から新しいものが生まれたり、多様性があることによって、マイノリティとなった時の保障が得られるリターンは無視できない。

だが、結局のところ多様性は余裕の産物だ。
もっと言えば、多様性は「金持ちの余裕」といえる。

だから、どんな組織・共同体であっても、余裕のない人が増えれば増えるほど、多様性は失われるに違いない。

余裕がない人にとって「多様性」は高価すぎる。
 
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