次代の活力源は?
352702 「できるかどうか」ではなく「やりたいかどうか」 これから求められる非認知脳の重要性
 
たかじん ( 27 清水 会社員 ) 20/01/10 PM03 【印刷用へ
私は拙書「禅脳思考」(フォレスト出版)のなかで、スポーツ心理学において「バイブレイン」という言葉を提唱した。バイブレインとは、外界に対してアクションを取る「認知脳」と、自分という内側に向いて心を整えるための「非認知脳」の2つを指している。この2つの脳をバランスよく機能させていくことで、自分らしい生き方ができると私は考えている。

「認知脳」とは外側に向く脳の働きのこと。認知脳の働きは、自分の外で起きている物事に向き合い、コミットし、考え、実行していくことに繋がる。「認知脳」は外界、意味、行動、結果などを原動力に動き続ける脳機能だ。

一方で、「非認知脳」とは、認知脳とは反対に、自分の心の状態や感情といった目に見えない内側の部分を大切するための脳機能である。昨今、よく耳にするマインドフルの脳の働きのことである。宗教でいうところの神のような存在とは別に、自身の心を整えるために今ここ自分を大切にしていく、禅的な脳の働きといえる。

▼パフォーマンス向上に不可欠な非認知脳

いま世の中では「AI」がバズワードになっているが、AIの役割は現状だと「認知脳」の代替である。統計データをもとにして、これまで人が行ってきた未来予測や確立分析などをより高い精度で行うテクノロジーである。

スポーツの世界でも、AI的な認知脳の働きは非常に重要だ。野球でもサッカーでも、試合や選手の分析などがよりテクノロジカルに行われるようになり、競技全体のレベルアップに寄与している。しかし、選手にとって重要なのは認知脳だけではいけない。よく「精神力」という言葉で表されるが、自分自身を見つめ、体や心の状態を理解する非認知的な脳の働きがなければ選手として活躍できないだけでなく、その競技を長く続けることが難しくなる可能性が高いのである。

非認知脳が働いていると、心の状態をストレスフリーにするための努力を意識的に行うことができ、高いパフォーマンス発揮にもつながる。逆に非認知脳が働いていないと、日々の練習におけるインプットの質が下がり、成長角度も鈍化してしまう。

今年3月に引退した日本野球界のレジェンド、イチロー選手が、先日、マリナーズのインストラクターに就任するというニュースがあった。イチローは私の知る限りではもっともバイブレイナー(=バイブレインで生きている人)なひとりだと思う。

イチローの引退会見で数々の名言が出たが、その中でも最も印象的な言葉がある。それは、「チャレンジするのに大切なことは、それができるかどうかとか、うまくいくかどうかではなく、自分自身がそれを本当にやりたいかどうか」だ。

「できるかどうか、うまくいくかどうか」とは、認知脳による理屈的な判断によるもの。一方で「やりたいかどうか」は、自身の中にしかない感情的な判断によるもので、まさに非認知脳の働きの表れなのだ。

「わたしには感情があまりないように思われていますが、こう見えて感情がたくさんあるんですよ」とイチローは話していたが、「感情」という言葉を野球人生最後の大切な引退会見で口にするのも、日ごろから非認知脳を大切に生きてきた証拠だとあらためて感じたのである。

イチローのすごいところは、4000本安打を打ったとか、45歳までメジャーで現役を続けたといったことはもちろんだが、なによりその生き方、脳の使い方を意識的に実践してきたことなのだ。

これはスポーツの世界のみならず、ビジネスシーンでもまったく同じことが言える。最近、ウェルビーイングやサステナビリティといった言葉を耳にすることが増えたが、ビジネスシーンに置いても、外の世界に働きかける認知脳と、自分自身と向き合う非認知脳との両立が非常に重要なのだ。

心理的安全性を担保した関係の質の高い組織づくりにおいても、このマインドセットは必須である。自分の心と向き合い、自分の感情に寄り添っていく「非認知脳力」こそ、これからの時代益々必要になってくるだろう。平成が終わり、これから始まる令和の時代こそ一人ひとりが向き合っていきたい課題である。

――――――
リンクより。
 
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