社員の活力を引き上げるには?
351681 優れた思考は、練られた言葉に現れる。
 
別所彦次郎 19/12/06 PM08 【印刷用へ
リンクより引用
***

〜前略

殆どの人は、指示を受けても、それがあいまいであれば、行動に転換したりはしない。

仮に「自発的な社員」が自主的に動いたとしても、その社員が考えたことが、経営者のイメージに一致しているとは限らない。

もちろん、「言葉の定義が重要」なのは、上の話だけではない。例えば

議論をする場合。
指示を人に与える場合。
誰かしらを説得する場合。

なんであれ、なによりも「言葉の定義」を大事にする人の仕事は非常にやりやすいし、成果も出しやすい。

逆に、言葉を大事にしない人との仕事は非常にやりづらい。

「曖昧な」議論。
「人により異なる解釈」が発生する指示。
「何について話しているのかはっきりしない」説得。

そうした、共通認識が存在しない状態での仕事は、極めてやりにくいし、そもそも成果が何なのか、よくわからないままウヤムヤになるのがほとんどだ。

だから上の経営者は知る必要がある。

「あいまいな言葉で指示を出したのだから、実行されなくても、それは指示を出した側の責任だ」と。

〜中略

「定義することが重要」

これは、日々の仕事だけではなく、何かしらのイノベーティブな仕事をするときにも、言うことができる。

〜中略

新しい定義が、新しい認識を生み出し、それは時としてイノベーションとなる。

もちろん、自由闊達な議論をしたい、アイデアがほしい、発想を広げたい、等の場合には、あえて「何も定義せず」に指示を出したり、ディスカッションをしたりすることもある。

ただ、それは過程で重要なだけであって、人の行動や、学問の基礎となるためには、最終的に明確な「定義」が必要だ。



思い起こすと昔、コンサルタント時代の上司は、言葉の使い方に関しては人並み外れたこだわりを持っていた。

例えば、「問題」と「課題」のちがいについて、何時間も議論した。

あるいは、「コミュニケーション」と安易にいわず、「会話」のほうが適切だと直された。

または、「失敗」ではなく「成長ネタ」と訂正された。

「実行しやすい」という提案書の言葉を、「かんたん実行」とキャッチに作り直した。

***
私には最初、その価値がわからなかった。
駆け出しの私には「些細な違いだろう」としか思えなかったのだ。

だがお客様先で、話をすると、練られた言葉と、そうではないことばでは、恐ろしく相手に与える印象が変わることを、身を持って知った。

「言葉一つで、こんなに相手の行動が変わるのか……」と、何度思ったことだろう。

実際、コンサルティングの現場では「言葉のつかいかた」や「定義」がすこしずれただけで、大問題となることも多い。

「ウチは特殊だからね、「顧客満足」の意味が違うんだよね〜」
と、コンサルタントに絡む人もいた。

上司はまた、社内の勉強会では、必ず「辞書」を持ち込むことを要請した。
「勉強会には必ず、電子辞書をもってこい」と彼は口を酸っぱくして言っていた。

そして、

「理念とはなにか」
「目標とはなにか」
「品質とは何か」
「顧客満足とは何か」について、延々と数時間も議論をした。

それらはすべて、血肉となっている。

厳密に定義された言葉は、行動を促し、正確に意図を伝える大きな助けとなる。


優れた思考は、練られた言葉に現れる。
私は現場の仕事で、痛いほどそれを感じた。

だから思う。成果を上げる仕事をしたいなら、上司が「しっかりやれ」と言ったら、「「しっかり」とはどういう意味ですか?」と聞きかえすくらいの癖をつけたほうがいい。

もちろん短期的には「面倒なやつだ」と、嫌われるかもしれない。
だが、その厳密さと、言葉の持つ影響力を知る人のみが、力を持つのだ。
 
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