原始共同体社会
35167 縄文社会は“統合”されていない
 
岡本誠 ( 49 兵庫 経営管理 ) 02/07/03 AM00 【印刷用へ
 縄文社会が共生原理で(または共生という概念で)“統合”されていたとか、“認識競争”が同類圧力を作り出していたとの説がありますが、熟慮を要する論点だと思います。
 縄文といえども他集団が交わる社会空間は同類闘争(縄張り闘争)圧力で満たされており、この社会を統合するには、闘争関係を制覇する力による統合か、すべての人々が認識充足へと先端収束することによって、社会の最末端まで評価共認の圧力が貫通する観念による統合しか考えられません。
(参考)
超国家・超市場論22 お金は、現実の必要度を測るモノサシ(33179
超国家・超市場論27 『現実』の塗り重ね構造(34908

 縄文人を始め採取部族は、このいずれでもない共生適応を選択しました。人類誕生以来、共認機能を唯一の武器として(期待・応望の同類圧力を唯一の圧力源=活力源として)、精霊信仰という観念機能を獲得したことでかろうじて生き延びてきた人類にとって、初めて遭遇する同類圧力はどうすればいいか分からない未明課題でした。自我私権闘争を本源集団内に封鎖してきた彼らは、闘争関係を顕在化することなく、共認原理を集団外にも延長することで闘争を回避した。共生適応とは、友好関係維持による一種の棲み分けに近く“統合”関係とは云えません。そもそも闘争関係を回避した“統合”関係は成立する筈がありません。
 もう一方の観念統合も、社会関係を対象化した認識の蓄積もなく、社会的な共認を可能にするインフラもなく成立する基盤はありません。

 従って、「共生適応で(または共生という概念で)社会が統合されていた」のではなく、お互い闘争は回避し友好関係を維持しましょうとの共認関係が、各集団間で形成されていたに過ぎません。それでも同類圧力が最先端の課題であり、共認原理で結ばれている以上、相当のエネルギーが費やされたでしょうし、それなりの評価共認圧力が各集団間で働いていたと考えられます。

 気候の温暖化と栽培技術の獲得などにより、人口が急増した縄文前期〜中期の東日本(特に三内丸山遺跡など)では、同類圧力が極度に高まり、集団強大化と同時に、闘争を回避し友好関係を形成するための贈り物etcも活発化したと考えられます。遥か遠方からヒスイや黒曜石などの貴重品が運び込まれ、祭祀に膨大なエネルギーがかけられたのは、同類圧力の極度の高まりを背景にしてはじめて成し得たように思われます。
 その後、気候の寒冷化もあり小規模・分散化して行きますが、同類圧力の極度の緊張とその緩和にかける社会体制的な未熟さが破綻した結果とも想像できます。

 縄文人が弥生社会に組み込まれていったのは、弥生人が闘争圧力を顕在化させ社会を統合する組織論を有していた点が見逃せません。田中さんが投稿されていたアフリカ・コンゴ北東部に住む農耕民と狩猟採集民の優劣関係は(3468934690)、社会統合理論をもつ農耕民によって、それをもたない狩猟民が農耕社会に組み込まれていく過程を見るようで興味深いです。
 しかし、互いが侮蔑と嫌悪感をもったなし崩し的な対立と協調関係ではなく、縄文人は可能性収束として弥生社会を受け入れていった点は注目に値すると思います。
 
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