社員の活力を引き上げるには?
351631 オフィスを創造空間にするには?
 
新川啓一 ( 壮年 神奈川 建築家 ) 19/12/05 AM10 【印刷用へ
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(以下引用)
オフィスをオシャレにしても革新は起こせない! ロフトワークと考える“イノベーションを生み出す場”の定義

(中略)
■「イノベーションが生まれる場」とは?
冒頭に挙げた企業以外でも、今、イノベーションが生まれる場が求められている。では、アイデアをイノベーションという結果に繋げるためにはどのような環境が必要なのだろうか。

ロフトワークの棚橋弘季さんによると「イノベーションが生まれる場をつくるポイントは、さまざまな企業、部門で活動していたものを1つにすること」だという。また、場作りをする上で棚橋さんは「多様性の高いコミュニティをメインに作ること」を重視しているそうだ。イノベーションの種は従来とは異なる組み合わせから生まれる。多様な人々が集うコミュニティの場はそうした新結合が生じる可能性を秘めているのだという。
(中略)

例えば、富士通とロフトワークが共同で行ったプロジェクト「Knowledge Integration Base PLY」でも多様な人々が集う場をどのような形で実現するかが議論された。その際、どんな空間にするかということよりも前に、「何を目的とした活動をする場なのか」「今のやり方をどのように変えていくか」ということから議論したという。従来の仕事のやり方の延長線上にあるオフィスを考えるのではなく、新しい働き方そのものも“場”と一緒にデザインしたのだそうだ。

私たちの間ではこのようなプロジェクトを“オフィスの再発明”という表現をしています。オフィスという空間を発明しているわけではないのです。新たな価値を生み出す仕事が行われる場を再発明するために、どんな活動をしていくかを記したマニュアルを作ったり、コンセプトを伝えるためにコンセプトブックを作成したりしました。空間を作る仕事をしていて感じるのは、「仕事をすること=いろんな人とつながること」。組織という枠組みを超えた場にこそ、発明があります。(棚橋さん)

■場は、ハードだけでは機能しない。ソフト面で如何に機能させるか。
続いて、ゲストセッションに岡村製作所の遅野井さんが登壇。前段のセッションで棚橋さんが「アイデアを生み出す場=さまざまな企業、部門で活動していたものを1つにすること」と定義したものに加え、実際にオフィスで必要となる要素について語った。

当然ながら、時代ごとに働き方もオフィスの空間構成も変化し続けている。岡村製作所の予測では、今、オフィス全体の面積が減りつつあるという。今後は執務室や役員室、会議室そのものが縮小し、一方で受付やロビーといった「リフレッシュできる場」が拡大していくのではないかと話す。

受付やロビー、エントランスルームは社内外の人が自由に入って使うことができます。セキュリティ外なところでクリエイターと打ち合わせしたり、社員がくつろいだり。必ず席に座っていなければいけない人以外は、どんどんフリーアドレス化していくのではないかと思っています。(遅野井さん)

インターネットによる技術進歩もあり、テレワーカーなど、外にいても働けることが当たり前になっている。そんな中、コワーキングスペースやフューチャーセンターのような新たな場も登場した。

では、先述の棚橋さんが話していた「アイデアを生み出す場」を作るため、共創空間にはどのような要素を備えるべきなのだろうか。遅野井さんは共創空間に求められる空間要素、機能要素を提示した上で、「関心・互恵・秩序」といった人間的要素があることに気づいた。

●関心・・・新たな事業を起こす、進めるためのエネルギー。ともに働いていたり、クリエイティブな場を共有していたりする仲間が「何をやっているのか」がわかり、ゆるやかにつながっている
●互恵・・・お互いにとって利益のある活動をし、それを通じて信頼関係を持つ。「あなたがいつか力になってくれると思うから、今あなたの力になろう」という活動が存在している
●秩序・・・どんな性格の人間が訪れているのか、どのような活動が奨励されているのかが“場”に蓄積し、形成され、結果、空間そのものの価値につながる。また、その秩序を守る役割を果たし、利用者をつなぐ人が存在することが望ましい。

空間を作れば、そこからとんでもないものが生まれ、自然と場が盛り上がるわけではありません。また、やみくもに人を集めればいいわけでもありません。上記のような要素がちゃんとつながっていないと、場は貧しくなっていきます。私たちのような場作りの仕事をしている人間はもちろん、様々な企業・組織においてもこういった要素を揃えるためにトライアルし、先に進めていくことが必要です。(遅野井さん)

■「交流さえあればイノベーションが起こる」わけではない
オープンセッションでは、Loftwork COOOP、FabCafe、FabCafe MTRLの空間設計を手がけた、古市淑乃建築設計事務所の古市 淑乃さんと、空間デザイナー/岩沢兄弟(兄)の岩沢 仁さんを交えてトークが行われた。

ありがちなイメージとして「他者と交流できていれば、イノベーションが起こりやすいのでは?」がある。これについて遅野井さんは「イノベーションには、普段会わない人とのコミュニケーションが必要」と語る。

1960年代のアメリカの有名な研究に、弱い紐帯の強みという発見があります。『普段、顔を合わせている人たちとの間にある情報は均一化してしまうため、イノベーションの種にならない。だが、なかなか会わないけれどゆるくつながっている人との間での情報には、イノベーションの種がある』というものです。このことから、通常の業務プロセスで会う可能性が低い人とのコミュニケーションが必要なことがわかります。『あの人が、ああいうことを言っていたな』と、ふと思い出せるような新しい要素を取り入れることが大事なのです。(遅野井さん)
(中略)

イノベーションを起こせる要素を考えることはもちろん、同時にHow部分での課題をクリアにすることへと繋がる。働き方、仕事を変えるオフィス再発明は、そのプロジェクトに関わる人たちの「働き方」をも再発明していると言えそうだ。
(以上引用終わり)
 
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