西欧科学は狂っている
351538 人工ウイルスがテロ兵器になる日
 
コキマール ( 25 鹿児島 会社員 ) 19/12/01 PM10 【印刷用へ
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今のアメリカで最も日常的なテロの脅威と言えば、やたら高性能な銃の乱射行為だろう。しかしそう遠くない未来に、もっと広い範囲でもっと多くの人を殺せる脅威が訪れるかもしれない。感染力と致死力を人工的に強化された病原体が、世界中にばらまかれる恐怖のシナリオだ。


ベストセラー作家で未来研究家のロブ・リードに言わせると、そうした悪夢をもたらすのは「合成生物学」だ。それは生物学と工学が合体した技術で、遺伝子組み換えによる食品からスーパー殺人ウイルスまで、生命体を人工的に、お好みでつくり出す。

リードは自称「合成生物学の大ファン」で、この技術を使えば地球温暖化を食い止めたり、人の寿命を延ばしたりできると考えている。ただし、そこには「闇の世界」の影響もあり得る。その技術が悪い人間の手に渡れば、それを用いて開発した生物兵器が人類に未曽有の打撃を与えかねないからだ。

SFっぽい小説やドラマの世界の話ではない。合成生物学は現に大きな成果を上げているし、一方では深刻な懸念をもたらしている。

2011年にはオランダとアメリカの研究チームがそれぞれ、致死性の高い鳥インフルエンザウイルスH5N1型のDNAを改変し、本来なら人には感染しにくいウイルスを、人から人へ感染しやすいものに変えることに成功した。

突然変異でそうしたウイルスが生まれた場合に備え、先回りして対策を講じるのが目的だった。当時、米バイオセキュリティー国家科学諮問委員会の委員長を務めていたポール・カイムは「こんな恐ろしい病原体のことは考えたくもない」と語ったものだ。

リードが考える悪夢のシナリオはこうだ。
今から何年か後、野心家のウイルス研究者が一般的なゲノム編集技術を使い、感染力が水疱瘡の10倍で、死亡率はエボラ出血熱の10倍、しかも潜伏期間10カ月のスーパーウイルスを完成させる。計算上は、これだけ強力なら最初の患者に症状が出る頃までに世界中の人が感染している可能性もある。

次に、この研究者の使うコンピューターにハッカーが侵入し、この特製ウイルスの遺伝情報(脅威の生物兵器の設計図だ)を盗み出し、ネット上でひそかに売り出す。闇サイトに持ち込めば高値で売れるのは間違いない。

やがて、この遺伝情報は独裁国家や国際的なテロ組織の手に渡る。彼らは大量の殺人ウイルスを複製し、どこかの空港でばらまく。あとは、何も知らない旅行者が殺人兵器を世界中に運んでくれる。

今のところ、そうした遺伝情報に基づいて実際にウイルスを量産することは簡単ではない。しかし、時間の問題だ。あと10年か20年もすれば、DNAの合成装置は急速に普及し、大学はもちろん高校の生物実験室にまで入り込むだろう。そうなれば誰でも、遺伝情報から生物兵器をつくれるようになる。

リスクは巨大で、危機は差し迫っている。感染力を強めた人工ウイルスの出現で、世界は「生命科学の悪意ある応用」の危機にさらされていると警告するのは、英ブラッドフォード大学軍縮研究所の研究者たち。「生命科学の大規模な軍事化」という最悪のシナリオに備えるべきだとも訴えている。

リードによれば、その可能性はこれまでになく高まっている。今やアメリカ政府でさえハッキング技術の進歩に追い付けないありさまで、最新鋭ステルス戦闘機F35の技術情報を中国人ハッカーに盗まれたこともある。

「米軍がF35の秘密を守れないとしたら、大学院生が宿題で奇妙な病原体をつくったとして、それが悪意ある人物の手に渡らない保証はどこにあるか?」と、リードは問う。

合成生物学とサイバー攻撃の不幸な遭遇のリスクは、アメリカ政府も認めている。

2017年には当時の国家情報長官ダン・コーツが上院で証言し、「公衆衛生や国民の安全と繁栄に対するサイバー空間の脅威は日に日に高まっている。こうした分野の基幹インフラはサイバー技術で統合されているからだ」と指摘。サイバー攻撃の被害を拡大しかねない「潜在的に脆弱な自動化システム」に依存している限り、脅威は高まる一方だとも警告した。

最悪のシナリオを防ぐ方策はあるのか。選択肢の1つは合成生物学の研究を完全に禁止することだ。しかし、ゲノム編集はキャンピングカー程度の部屋があればできる。完全な監視は不可能に近い。それに、国際社会がこの分野の研究を禁止しても、ロシアや中国、北朝鮮のような国はひそかに応用技術の開発を続けるだろう。

           ワクチン「印刷」体制を
リードに言わせれば、むしろ大事なのは、人類が合成生物学の素晴らしい成果を確実に享受できる状況を生み出すことだ。そして、その成果を利用して最悪の事態に備えればいい。

リードが提案する構想は2つある。1つは、大気中の病原体を検出する装置の大規模ネットワークの構築。大気中を漂う病原体を24時間体制で監視し、そのDNA情報を瞬時に解析し、必要に応じて警告を発するシステムだ。

政府が十分な資金を出して支援すれば、こうしたシステムは向こう20年くらいで、スマートフォン並みに普及するはずだ。それで季節的なインフルエンザの蔓延を予防できれば、それだけでも十分に採算は取れる。


2つ目のアプローチは、バイオ関連の製造インフラを従来とは比較にならない規模にまで増やすことだ。危険な病原体が故意にばらまかれた場合、何カ月もかけてウイルスを調べ、ワクチンをつくり、各地へ送り出す時間的な余裕はないだろう。

そうであれば、3Dプリンターでワクチンを製造する技術を開発し、薬局や診療所でワクチンを「印刷」できるようにすればいい。これなら迅速にワクチンを投与でき、多くの命を救える。

ただし、とリードは警告する。これらの対策への投資は今すぐ始めなければならない。あと15〜20年もすれば人工的な殺人ウイルスの量産が可能になるからだ。

「今はまだ、高校生が自宅で殺人ウイルスをつくってばらまける時代ではないが」と、リードは言う。「そういう人間が生まれてくるのは、もはや時間の問題だ」

時間はあるが待ったなし。気候変動の対策と同じだ。
 
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