市場は環境を守れない、社会を統合できない
351473 物質的な富は私たち人間の幸福と精神的健全を破壊している
 
匿名希望 19/11/29 PM03 【印刷用へ
日本人だけではない。アメリカ人も気付いている。もはや「物的豊かさの幻想」というマトリックスは、世界規模で崩壊しつつあり人類の意識覚醒が始まっている。これは単なる認識次元ではなく、実在として行動に移せるか否かという地平にある。

「indeep」さんより リンク

◆私たちアメリカ人の幸福と健康を毀損しているのは、物質的な豊かさなのだろうか

長年にわたって行ってきた数々のインタビューの中で、個人的に最も意味のあるものだった 1つは、ジャーナリストであり作家のセバスチャン・ユンガー氏(Sebastian Junger)のインタビューを収録した「コミュニティに対しての我々の進化の必要性(Our Evolutionary Need For Community)」だった。

ユンガー氏は、米国のベストセラー本「パーフェクトストーム」と「戦争」で有名だ。後者は、アフガニスタンで最も危険な最前線の基地で 15か月にわたり戦争の任務についた後に書かれた。

アフガニスタン滞在中の観察に基づいて、ユンガー氏は、戦闘中の軍隊が彼らの部隊の社会的連帯をどれだけ評価しているかを見た。ユンガー氏は、目的意識と責任の共有を伴う、このまとまりのあるコミュニティの喪失が、これらの兵士が米国に戻り民間人としての生活に入ろうとしようとした際に驚異的な心理的葛藤を生み出したことに注目した。

この原動力は、軍隊だけにいえるものではない。ストレス下で緊密に結ばれたグループで働いていて目的が一致している人たちの集団は、同様の行動を示す。

著作「トライブ(種族)」で、ユンガー氏は、共同体の進化の配線を逆説的に探求し、「富」と「成功」とに対する現代の願望が、どのように、私たちを、その共同体の進化から遠ざけようとしているのかを追求している。

ユンガー氏との最初のインタビューを記録して以来、彼とは、洞察を共有してきたが、私はユンガー氏と再会することを決め、そのテーマに関する彼の考えと結論がどのように変化したかを聞いた。

彼は、私たちの(アメリカ)社会が、将来的に繁栄するかどうかは、私たちの種族の先祖が住んでいた共同体の絆を再び作り、それを育てる方法を再発見することに根ざしているということを、これまで以上に確信しているようだ。

そしてそれは、現代のアメリカの不幸で不健康な孤立に閉じ込められているさまざまな逸話と人々の行動、そして現代アメリカ社会の便利さと誘惑を正直に見ることから始まる。

◆ここからが、セバスチャン・ユンガー氏の言葉だ。

私たちアメリカ人は、世界最大の経済の下に生きている。私たちのアメリカは、間違いなく世界で最も強力な国であり、最も裕福な国の 1つだ。しかし、その一方で、アメリカは、世界のどの国より、うつ病や自殺が多く、そして薬物中毒者の割合が最も高い国でもある。

物質的な面では、私たちアメリカ人はとてもよい状態だといえるだろう。しかし、人間にとっての基本的な状態から見れば、私たちアメリカ人は非常に多くの心理的苦痛と精神的苦痛を抱えているように見える。私たちのこのアメリカという国の物質的な豊かさこそが、私たちの心理的な健康を損なっていると言ったら、どう思われるだろうか。馬鹿げた話だと思われるだろうか。

もちろん、貧困に伴うストレス要因は確かにある。しかし、豊かさで失うことの 1つは、他の人たちとの密接な共同体のつながりを失うことにある。物が不足していればいるほど、その不足を補うために他の人が必要になる。貧しいアフリカの村々では、文字通りに誰もが同じ井戸から水を汲んでいる。

もちろん、貧困とそれに関連するストレス要因やその他のあらゆる疾患や障害をロマンチックに考えてはいけないだろうが、しかし、物不足の中で、人と人とが共同体で密接な関わりを持つことは、人間の心理的な害を軽減するようなのだ。

私の著作『トライブ』で引用した研究の 1つは、うつ病の患者数のレベルの異文化間での調査だった。うつ病の割合が最も高いのは、北米の都市に住む人たちだった。そして、その人々は世界で最も高い収入を得ているグループだった。そして、世界の中で、うつ病のレベルが最も低いのは、ナイジェリアの田舎に暮らす人々だった。その地は世界で最貧の地域だ。

これは私たちのアメリカ社会を見てもわかる。アーミッシュ(米国の文明を拒否し、自給自足生活をする人たち)は車を運転しないが、アーミッシュたちのうつ病と自殺のレベルは、アメリカの中で非常に低い。車には大きなメリットがあるが、よりまとまりのある共同体社会を作りたいのであれば、車をなくしていくことを考えてほしい。

確かに、このアメリカ社会から車がなくなるというようなことはあり得ないだろうが、しかし、私たちが本当にこの特定の問題の解決策について正直な会話をしたいと思うなら、車は、人々の社会的結束を抑圧する大きな問題点だと私は言わせてもらう。

◆もう 1つの問題は、スマートフォン、あるいはソーシャルメディアだ。

スマートフォンは人々にとって心理的に壊滅的な影響を与えている。そもそも、「ソーシャルメディア(社会的メディア)」というような言い方自体があまりにも間違っている。ソーシャルメディアは、社会的なのではなく、本当に「反社会的」であり、それを「社会的」と呼ぶのはまったくの嘘だ。

このようなものを設計したシリコンバレーの人々、そして、ソーシャルメディア・ツール、およびそれらをサポートするすべてのソフトウェアとハードウェアを開発した人々は、詐欺的でさえある。私は、人々から、このように尋ねられることがある。

「私たちは何をすればいいのでしょう」

その場合、私はこう答える。最寄りの川か湖に行き、スマートフォンをポケットから取りだし、地面に置いて何度か足で踏みつぶし、それから水に投げ捨てる。

このように勧めている。これは私たちが「人間的社会」に再び参加するためにできることのひとつだ。
 
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