政治:右傾化の潮流
348685 米軍の下請軍隊として機能するための改憲 秋の臨時国会が焦点(その3)
 
わっと ( 熟年 東海 ) 19/08/21 PM07 【印刷用へ
リンクより引用
(その2)からの続き

自民党の改憲草案 国家権力が国民を規制
 
 この改憲四項目と自民党がまとめた改憲草案を合わせてみると改憲の狙いがより明確になる。
 
 自民党改憲草案の憲法前文は「政府の行為によって再び戦争の惨禍がないようにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する」という現憲法の文面を削除した。そして「我が国は、先の大戦による荒廃や幾多の大災害を乗り越えて発展し、今や国際社会において重要な地位を占めており、平和主義の下、諸外国との友好関係を増進し、世界の平和と繁栄に貢献する」と追加した。「戦争をしない」という文面を削り「世界平和への貢献」の装いで、自衛隊の海外派兵、とくに米軍が主導する有志連合をはじめとする軍事行動へ積極的に参加していく意図をにじませている。
 
 また「天皇」の文字が一言もなかった前文に、日本は「国民統合の象徴である天皇を頂く国家」と加筆し、第一章「天皇」の項には「天皇は日本国の元首」と明記した。それは主権在民という基本原則を根本から覆す方向を示している。
 
 第二章では「戦争の放棄」の章題を「安全保障」に変え「戦力不保持」「交戦権の否認」を明記していた九条二項をまるごと削除している。さらに「内閣総理大臣を最高指揮官とする国防軍を保持する」との規定を新設した。この国防軍は「国際的な活動」や「公の秩序の維持」「国民の生命や自由を守るための活動」が任務で、時の政府の方向性に異議を唱える抗議行動が激化すれば、治安弾圧に出動することを認めている。これは「自衛隊明記」がどのような方向を目指しているかを示唆している。
 
 第三章では「国民の責務」を新設し、従来の「公共の福祉のために国民の権利を利用する責任を負う」という規定を「常に公益及び公の秩序に反してはならない」と変えた。それは米軍や自衛隊による土地接収や食料提供、大企業による風力発電建設など、国策に反発する住民がいたら「公益及び公の秩序」を掲げ強引に従わせる内容である。この項では集会結社の自由や表現の自由、公務員の団結権も含めすべて「公の秩序」によって制限できると明記している。国家権力の暴走を規制し国民の権利保障を基本としてきた憲法を、国家権力の思惑に沿って国民の側を規制する憲法に全面改定する内容を盛り込んでいる。
 
 第五章の「内閣」では、これまで内閣総理大臣とその他の国務大臣は「文民でなければならない」と規定していたが、改憲草案は「現役の軍人であってはならない」とした。軍人の大臣主導で戦争へ突き進んだ反省から規定された「文民統制(シビリアン・コントロール)」の否定である。
 
 「最高法規」の項では「憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であって、これらの権利は、過去幾多の試練に堪え、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである」(第九七条)という条文を丸ごと削除している。
 
 このような改憲案を早急に実現するため、安倍政府は次期国会で改定国民投票法案を早急に成立させ、改憲に向けた四項目を衆参両院で審議することを目指している。改憲の手続きは衆院100人以上、または参院50人以上の賛成で改憲原案を国会に提出するのが始まりとなる。その後、衆参両院の憲法審査会での審査を経て、それぞれの本会議で総議員(欠席議員を含む)の3分の2以上の賛成で可決すると、素案が国民投票にかける改憲案となる仕組みになっている。
 
 現在、安倍政府は改憲内容の全貌を示して全国民的な論議をするのではなく、「憲法に自衛隊を明記するか否か」「改憲が必要か否か」「災害時に対応する緊急事態条項が必要か否か」など、ワンフレーズのみを切りとって二者択一を迫るような論議を煽っている。しかし改憲四項目と自民党改憲草案が目指す内容は、痛ましい戦争の反省から作られた憲法の規定を全面崩壊させ、最終的には日本を「戦争ができる国」にすることが狙いである。それは国民主権を冒涜した聞く耳のない政治の強行、基本的人権を否定した福祉切り捨てや経済的困難の拡大とも同根である。
 
 秋の本格論議を目指している安倍政府の改憲策動は、アメリカの盾となって「日本を再び戦争をする国にするのか」「国土を再び戦火にさらすことを許すのか」が最大の焦点である。それは日本の未来と命運がかかる問題になっている。

(引用終了)
 
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