環境破壊
347570 PETを分解して栄養源とする細菌を発見-ペットボトルなどのPET製品のバイオリサイクルに繋がる成果-
 
達磨防人 19/07/12 PM11 【印刷用へ
 さしあたって世界中に拡散してしまったPET公害の処理に役立ちそうな成果ですが、人口物質を垂れ流しながら、対策を微生物に押し付けるような戦略は本質的には好ましくありません。まさに対症療法を繰り返す近代医療のようです。

 大学の研究としてはそのあたりも探求していただきたいものです。
リンク より引用です。 ___________________________________________________________________

 本学の小田耕平名誉教授と木村良晴名誉教授の研究グループ、慶應義塾大学理工学部の吉田昭介助教(現所属:京都大学工学研究科ERATO秋吉プロジェクト研究員)と宮本憲二准教授、帝人株式会社、株式会社ADEKAが共同研究を行い、ポリエチレンテレフタレート(PET)を分解して生育する細菌を発見するとともに、その分解メカニズムの解明に成功しました。

 PETは、ペットボトルや衣服等の素材として、世界中で活用されています。 PET製品の一部はリサイクルされていますが、その多くは廃棄され、自然界での生物による分解がされないと考えられてきました。本研究結果はこの通説を一部覆すもので、その応用は使用済みPET製品のバイオリサイクル技術の開発に貢献することが期待されます。

(略)
 
1.本研究のポイント
 ◾PETを分解し、生育する新種の細菌Ideonella sakaiensis 201-F6株を発見。
◾201-F6株が生産する2種のPET加水分解に関与する酵素※1(PETase, MHETase)を発見。
◾PETase, MHETaseの諸性質から、201-F6株が自然環境中でPETを栄養源として生存可能であることを解明。


2.研究背景
 
 PETは石油を原料に製造され、ペットボトルや衣類などに汎用されています。世界のPET樹脂総生産量(2013年)は、約5600万トンで、容器包装用(1540万トン)、フィルム(320万トン)、繊維(3800万トン)等に使用されています。リサイクルされているのは、ペットボトルのみで、それはペットボトル生産量(613万トン)の37%、PET樹脂総生産量の4.1%に過ぎません。使用済みPET製品の多くは廃棄されています。今後、人類が持続可能な社会を構築するためには、限りある資源への依存から脱却し、リサイクルへと舵を切ることが求められています。現在行われている主要なPETのリサイクル手法の一つにケミカルリサイクルがありますが、膨大なエネルギーを消費するなどの問題点があります。

 PET製品は安定であるため、自然界では生物分解を受けないとされてきました。しかし私たちは、PETを栄養源とする微生物を見つけることができれば、その生物機能を利用することで、低エネルギー型・環境調和型の「PETバイオリサイクル」が実現できると考えました。


3.研究内容・成果
 
 研究は、自然界よりPET分解菌を探索することから開始しました。様々な環境サンプルを採取し、PETフィルムを主な炭素源とする培地に投入し、培養を行いました。数週間後、PETくずを含む堆積物を投入した試験管において、PETフィルムに多種多様な微生物が集まり、分解している様子を発見しました。そして、この微生物群から強力なPET分解細菌を分離することに成功しました。私たちは本菌が大阪府堺市で採取した環境サンプル由来であることからIdeonella sakaiensis (イデオネラ サカイエンシス) 201-F6株と命名しました。201-F6株はPETを分解するばかりか、PETを栄養源として増殖することが分かりました。

(略)

 次に、この細菌のPET分解の仕組みに興味を持ち、PETを分解する酵素に関する情報を得るためゲノム※2の解読を試みました。その結果、これまでにPETを加水分解※3することが報告されている酵素と類似した配列をコードする遺伝子を見出しました。そこで、その遺伝子産物であるタンパク質の機能解析を行ったところ、PETを加水分解する能力があることが判明しました。驚くべきことに、この酵素はこれまで報告されたPET加水分解酵素(本来の機能は他の高分子エステル化合物の加水分解と考えられる)よりも、@PETを好んで分解する、APETが頑丈な構造となる常温において高い分解活性を持つ、ことが分かりました。これらの能力は、201-F6株が自然界でPETを栄養源として生存するための「武器」となっている可能性があります。私たちは、これらの性質を考慮し、この酵素をPETase(ピー・イー・ティー・エース)と命名しました。

(略)

 さらに私たちは、PETaseはPETを加水分解し、MHET(テレフタル酸1分子とエチレングリコール1分子が脱水縮合した化合物)を主に生成し、それ以上反応が進まない現象に着目しました。MHET加水分解酵素の存在を予想し、201-F6株の網羅的な遺伝子発現解析※4を進めたところ、PETaseと発現が類似した遺伝子に行き当たりました。この遺伝子がコードするタンパク質の機能解析を行ったところ、MHETを迅速に加水分解する能力があることを突き止めました。この新酵素はMHETに非常に高い親和性を示したことから、MHETase(エム・エイチ・イー・ティー・エース)と命名しました。

 以上の結果から、環境中より分離した細菌201-F6株が、2種の酵素PETaseとMHETaseにより、PETを効率よく、単量体であるテレフタル酸とエチレングリコールに分解することが明らかとなりました。生成されたテレフタル酸とエチレングリコールは、本菌により更に分解され、最終的に炭酸ガスと水になります。この段階からは、本菌のみならず、多くの微生物が分解することが報告されています。これまでPETは自然界で、分解されず蓄積するのみと考えられてきましたが、今回の研究により、PETを物質循環※5に組み込む生物的なルートが存在することが明らかとなりました。

(略)
___________________________________________________________________
(引用おわり)
 
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