地域活動
347532 日本一の車社会、福井県で鉄道利用者が大幅増加している理由
 
孫悟空 ( 負傷 不詳 不肖 ) 19/07/11 PM10 【印刷用へ
脱クルマ社会は、地方から始まっています。それを実現するには、民間とか行政の枠を取り払えること、が条件です。

・・・・以下引用(リンク)・・・・

福井県の地元紙・福井新聞が「クルマ社会の福井県で電車通勤が増加」と報じたことが話題だ。しかも並大抵の増加ではない。私鉄「えちぜん鉄道」の通勤定期券利用者数は2004年の約37.8万人から2018年度の74.7万人へほぼ倍増、「福井鉄道」も17.4万人から38.2万人へと2倍以上に増加したというから、地方鉄道苦境の時代に異例の急成長である。
 (中略)
過度なクルマ依存に対する危機感から、福井市は2009年に市民本位の公共交通構築を目指した「都市交通戦略」を策定。県も2011年に「クルマに頼り過ぎない社会づくり推進県民会議」を設立し、「不必要な利用を見直し」「クルマは皆でつかう」「新時代にふさわしい社会」を基本方針とするアクションプランを策定した。引き続き「日本一のクルマ社会」ではあるものの、冒頭の電車通勤者数の増加は、こうした取り組みの成果と見ることができるだろう。
 (中略)
なぜ福井県の取り組みは成功を収めているのだろうか。
福井市の人口は約26万人と県庁所在地では8番目に小さいが、7市4町から構成される福井都市圏全体では約64万人にもなる。南北に長い福井平野に連なる、福井市、鯖江市、越前市の人口集中地区をJR北陸本線とえちぜん鉄道・福井鉄道が縦貫する。駅間の長いJR北陸本線が都市間輸送、駅間の短い両私鉄が都市内輸送を中心に担うことで共存しているのは、鉄道輸送に適した都市構造だからこそだろう。
 (中略)
福井県は脱クルマ社会を「公共交通機関の存続」と定義し、受け皿となる便利な公共交通ネットワーク構築と、マイカーから公共交通へ段階的に移行できる環境整備の2つのアプローチでこれに取り組んだ。
県や沿線自治体は利便性向上のために多額の資金を投じている。路線バスの再編、駅を拠点とした地域フィーダーバスの設定、終電時間の繰り下げ、乗り継ぎ割引や高齢者割引の導入、企画乗車券の充実など、日常的に使いやすい環境を整えた。

ハード面も刷新した。市街中心部を路面電車として走行する福井鉄道福武線には、乗り降りしやすい新型の超低床電車(LRV)を導入。停留所を移設・拡幅してバリアフリー化を推進し、ホームに屋根やベンチを設置した。また、えちぜん鉄道は市内中心部約3キロを高架化し、福井駅の道路渋滞と東西アクセス性を改善した。
そして利用者と鉄道を結びつける切り札として大々的に推進したのが、マイカーで駅に行き鉄道に乗り換える「パークアンドライド」だ。福井鉄道14駅、えちぜん鉄道21駅に計1400台分の駐車場を設置し、ほぼ全てを無料で利用できるようにした。公共交通への転換というと、マイカー利用をゼロにしようと考えがちだが、まずは自宅から駅はマイカー、駅から市街中心部は電車という現実的な役割分担で、移行を促したのだ。

こうした取り組みの集大成となったのが、2016年3月に開始した福井鉄道とえちぜん鉄道の相互直通運転だ。これは福井市の市街地北部を走るえちぜん鉄道三国芦原線と、市街地の南部から中心部に直通する福井鉄道福武線を直通運転させることで、南北の幹線軸を作りだそうという試みだ。
乗り入れには超低床電車(LRV)を使用し、朝ラッシュ時2本の各駅停車と、日中毎時1本の急行列車が直通する。大都市の感覚からすると限定的な取り組みに見えるかもしれないが、日中の運行本数はえちぜん鉄道が1時間当たり2本から3本に、福井鉄道は同3本から4本に増便される。この差は利便性向上に大きく寄与するのだ。

地域全体・社会全体で公共交通を維持することの合意が得られている背景には、かつて高い「授業料」を払った経験があるからだろう。えちぜん鉄道の前身である京福電気鉄道越前本線は、2000年と2001年に連続して正面衝突事故を起こし、国土交通省から「安全確保に関する事業改善」と「即時全面運行停止」が命じられ、運行は急遽ストップした。
同社は事業改善の余力がないとして営業再開の断念を表明。沿線住民も時代遅れの電車がなくなったところで大した影響はないと受け止めていた。ところが、実際には通勤・通学客が代行バスに乗り切れなかったり、周辺道路で大渋滞が発生したり、地域交通がマヒ状態に陥ってしまったのだ。

「壮大な負の実験」とも称されたこの経験を経て、地元は鉄道の役割を再認識し、存続を求める声が多数になる。福井県や福井市など沿線自治体の支援により、えちぜん鉄道が設立され事業を継承したのである。福井鉄道も2008年に経営破綻するが、えちぜん鉄道の教訓を生かして県と沿線自治体の主導で再建されている。

「自動運転」や「MaaS」など新しい言葉が流行しても、根本に必要なのは「公共交通」の概念だ。そして公共交通とは、普段使わない人も含めて地域の合意によって支えられるものである。私たちがこの基本を思い出し、立ち返るために、各地域で「負の実験」を繰り返す必要はないはずだ。

・・・・引用終わり・・・・
 
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