新しい共認勢力
347517 大手メディアが黙殺する“れいわ新選組” 彼らが語った出馬への思い(その2)
 
わっと ( 熟年 東海 ) 19/07/11 PM00 【印刷用へ
リンクより引用
(その1)からの続き

◇ 安冨 歩
 現代社会というのは、「豪華な地獄」のような社会だと思っている。とても見た目はすばらしいが、中にいると息が詰まって苦しくてたまらないという社会。真綿で首を絞めてくるが、その真綿は上等−−というような世の中だ。そこを変えなければ私たちは決して幸せになれないし、日本社会はやがて崩壊に向かっていくのではないかと非常に強く危惧している。
 
 私の元来の専門は満州国の経済史研究だ。当時から、エリートを中心としたインテリゲンチャが、真剣にまじめに物ごとにとりくんでいる人人を地獄に連れて行くというビジョンを抱くようになり、私はそれをどうやって解消していくかを考えてきた。
 
 普通の選挙は、政策を訴えることが建前になっている。だが、私は政策をどうこうしてなんとかなる段階ではなく、政治の原則を変えなければならないと思っている。
 
 政治の原則とはなにか。私は、私たちが住んでいるこの豪華な地獄は、国民国家という名のシステムであり、それはイギリスで形成された資本制的生産システムと、フランスで形成された市民による国民軍という二つが融合してできあがったものだと見立てている。これが通用しなくなりはじめたのが第一次世界大戦の時であるが、もうそこから100年が経っている。だが、それがまだ私たちの社会の根幹になっているというところに問題の本質がある。それがインターネットや高齢化、アジアの台頭というような大きな波によって崩壊の危機に瀕している。それが私たちが暮らしている時代だと思う。
 
 この時代においては、その社会の目的、政治の原則は、国民国家システムの維持、つまり言いかえれば「富国強兵」にある。富国強兵だと古臭いから経済発展とかGDP(国民総生産)何%といっているに過ぎない。
 
 そこから別の原則に移行しなければならない。
 
 その原則とは、私は子どもを守ることだと考えている。私たちの社会はもともと自分たちではなく子どもを守るためにあった。でなければ人類はとっくの昔に滅んでいると思う。この人類の、生命の普遍的な原理に戻るだけのことだ。それを思い出せば、私たちは国民国家の地獄から逃れられるのではないか。
 
 子どもを守ることを政治の判断のすべての基礎に置くという、いわば当たり前のことを思い出すことが、生きづらさから私たちの社会を解放し、現代の危機から私たちを救い出す唯一の道ではないかと考えている。
 
 これまでの経済という考え方を、暮らしという言葉に変えなければならない。経済政策というのもGDPで表現されることも非常にバカバカしいものだ。高度成長の本質は引っ越しだ。それまで月3万円しか使わない田舎で生活をしていた人たちが東京に出てくれば何十万円ももらわないと生活できない。この引っ越しによってGDPは10倍以上に増える。日本の引っ越しが済んだ後に中国の引っ越しが始まり、それが30年続いたから経済が持っている。だが、まもなくこの世界最大のプールである中国の引っ越しも終わる。
 
 かつて東京タワーを建てて新幹線を走らせて東京五輪をやって大阪万博をやって高度成長したといって、スカイツリーを建て、リニアモーターカーを走らせ、東京五輪、大阪万博をやればもう一度高度成長すると思っているようだが、すでに引っ越しが終わっているのだから「雨乞い」にすぎない。この雨乞いのために何十兆円も浪費している。投機でしかない。
 
 そうではなく、一人一人の暮らしが立つということをもう一度考え直さなければならない。現在の法律やイデオロギーなどの価値観のすべて、経済と呼んでいるものも、イギリスで始まった資本制的生産システムに応じてできあがったものだ。これが存続しなければ死んでしまうというのはただの勘違いだ。
 
 私たちは、勇気を持って自分たちの暮らしを立て、子どもを守り育てることをどうやって実現できるかを考えなければならない。そのために必要なのは助け合いであり、お金で解決できるものではない。
 
 私たちが人と人との関係をとり結べなくなっているのは、その能力が資本制生産システムにとって不便だからだ。友だちを思って会社にこないような人間は必要ない。友だちが一人もいなくてもお金が頼りの人間がいなければこの経済は持たないのだ。だから助け合う力が次第に失われ、お金を稼がなければ死んでしまうという考えがはびこってきた。これを改める以外に、私たちが「繁栄の中の貧困」という意味の分からない世界から抜け出す道はないと思う。
 
【肩書き】
東京大学東洋文化研究所教授
生年月日1963年3月22日
大阪府出身。京都大学経済学部卒業後、住友銀行勤務を経て、同大学大学院経済学研究科修士課程修了。京都大学人文科学研究所助手。ロンドン大学政治経済学校の森嶋通夫教授の招きで、滞在研究員として渡英。京都大学大学院経済学研究科より博士(経済学)を取得。博士論文を『「満洲国」の金融』として出版し、第40回日経経済図書文化賞を受賞。
 
(その3)に続く
 
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348527 エリート教育の子供への押付けは立派な虐待(安冨歩氏) ぴぴ 19/08/15 PM09

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自考のススメ3.自考力の時代⇒「少年よ、大志を抱け」(1)
自考のススメ3.自考力の時代⇒「少年よ、大志を抱け」(2)
1.これから生き残る企業に求められる能力は?
2.私権圧力と過剰刺激が物欲を肥大させた
3.市場の縮小と根源回帰の大潮流
4.共認回帰による活力の再生→共認収束の大潮流
5.自我と遊びを終息させた’02年の収束不全
6.同類探索の引力が、期応収束を課題収束に上昇させた
7.情報中毒による追求力の異常な低下とその突破口
8.大衆支配のための観念と、観念支配による滅亡の危機
9.新理論が登場してこない理由1 近代観念は共認収束に蓋をする閉塞の元凶となった
10.新理論が登場してこない理由2 専門家は根本追求に向かえない
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