人類の起源と人類の拡散
346076 自然への畏敬の念、仲間との深い共認関係のなかで、言語と絵画を通じ認識機能が発達していった
 
麻丘東出 19/05/21 AM09 【印刷用へ
他の動物にはない「観念機能」をもつ人類の特徴を表しているのが、「言語」「絵画」であろう。
Q.どのように生み出し発達させていったのだろう?

足の指が先祖返りして木に登れなくなった「カタワのサル」が人類の起源である。(参照:実現論1_6_01
それゆえに、置かれた環境(自然、種間の圧力)に本能では適応できない極限状態に晒され、恒常的に根源の適応本能(“どうする?”)が作動し、自然を凝視し可能性を探求し続ける。それにより、本能→共認発の意識の第3層「探求回路」、更にそこから意識の第4層「観念回路」を生みだす。(参照:330713

また、カタワのサルの圧倒的な弱者ゆえ、単独では生きられず、猿人の段階から集団生活を送り、原人→旧人→現生人類と集団規模が大きくなっていったと考えられる。
それにともない、仲間との共認機能を高度化していく必要のため、観念機能を駆使し、「ある対象に、ある特定の音節と身振りやリズムをつけ、特定の意味を共認していく」という、極めて高度かつ複雑な体系の「話し言葉」を発達させていった。

人類はこの「話し言語」を発達させたことで、他の動物にはない、物理的には知覚し得ない領域、更には未来までもの対象世界を獲得していく。
「対象世界→現実」のあり方は言語に左右され、言語が異なれば認識する世界の区切り方も異なり、言語を通じた認識の数だけ世界があることになる。
→人類は、観念の共認内容によって進化もすれば退化もする可能性を孕むことになった。(参照:実現論1_6_05

また、観念機能の獲得により、現生人類の特徴である「絵画機能」も発達した。
現在、発見されている最古の洞窟壁画は、約3万年前といわれるフランス南東部の「ショーベ洞窟の壁画」。(ただ、もっと古い壁画は存在したのではないだろうか。)
有名なものはフランスのドルドーニュ川上流ヴェゼール渓谷で発見された「ラスコー洞窟の壁画群」、スペイン北部海岸のサンタンデル近郊の「アルタミラ洞窟の天井画」で、1.7〜1.2万年前と言われている。
そこには跳躍する馬や牛、ビゾンやマンモスなどの動物たちの姿とともに、抽象的な線刻画や顔のない人間、鳥の頭部と羽をまとった呪術師のような者などが描かれている。
圧倒的な弱者であった人類が、自然の中で力強く躍動し、繁殖する動物たちを畏敬の念で凝視し、そこに神秘的で圧倒的な生命の力、精霊を感じたのだろう。
また、自分たちの生存を支えてくれる動物たちが、豊かに永く繁殖し、食の恵みを与えてくれる、祈りや願いの表現であったかもしれない。
いずれにしろ、それは単なる事物の世界ではなく、神秘的な精霊の力に満ち、圧倒的な超越存在のエネルギーが躍動する世界観である。
人類は、そうした「世界」の中で、自分たちの生存を支えてくれる力や存在への畏敬や感謝の念を抱き、その超越存在との一体化を願い、期待に応え合えることを祈った。

このような目に映る対象の背後の精霊を認識し、そのイメージを描き表現する能力は、高度な言語(話し言葉)表現を通じた認識機能の発達がなければできないのではないだろうか。
とすれば、人類は、少なくとも3万年前には、その次元までの認識機能を獲得していた。
(※これは近代観念に侵された現代人には想像できない凄まじい能力である)

その源泉は、自然そして動物、すべての対象への畏敬の念、感謝の念であり、それを基盤にした仲間との深い共認関係。そののなかで、言語や絵画を通じ認識機能を発達させていったのだ。
 
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