もはや学校は終っている
344623 成蹊大学が取り組む大学改革
 
匿名希望 19/04/01 PM07 【印刷用へ
安田 近年、多くの大学が改革に取り組んでいます。18歳人口が減少し、大学進学率も大きく伸びるとは考えにくい状況にあります。そのため多くの大学が、いかに魅力ある大学にするかということを考えるようになっています。それが多くの大学に改革を促す要因となっています。成蹊大学も「成蹊ブリリアント2020」という大学改革を推進されていますが、これもやはり少子化に触発されたものなのでしょうか。

北川 そこは少しほかの大学と違うかもしれません。現代社会は過去にない速さで変化をしています。何が起きるかわからない先の読めない時代です。そういう時代に20世紀と同じことをしていたのでは、社会に適応できない若者たちを輩出してしまうことになるのではないか。そういう社会でも活躍できる人材に育てるためには、どういう力を養えばいいのか。私たちの改革はそういう発想で始めたものです。

 AIなどのスマートテクノロジーの登場により、これから無くなっていく仕事がたくさんあるといわれています。しかし、AIなどでは置き換えられない領域が必ずあります。1つ目は、物事を多面的に見て総合的に判断する総合的思考力です。2つ目は、クリエーティビティー、創造的思考力。そして3つ目は、コミュニケーション能力です。コミュニケーションの本質は、意思や感情を伝達することにあります。しかしAIには意思とか感情は持ちえない。だからこれも最後まで人間に委ねられる能力といえます。

安田 人づくりという長期的な視点から大学改革を考えておられることがよくわかりました。

北川 ただ、今挙げた3つの力を1人の人間がすべて担うのは難しいでしょう。だからチームを組むことが大切になります。この場合、それぞれ異なった得意分野を持つ人間が集まったチームを組むことがポイントになります。分野を超えて集まったチームがプロジェクトに取り組んだときどれだけの力を発揮できるか、そういう体験を学生にさせることがこれからの大学教育に強く求められると考えています。

安田 成蹊大学は以前からゼミの成蹊とかコラボの成蹊ということを標榜されていますが、そういう特色をこれからさらに強めていこうということですね。そうした発想での大学改革の第1弾として、2020年度から経済学部を再編し、新たに経営学部を新設する構想だと聞いています。

北川 経済学と経営学は本来、異なる方法論を持った学問分野ですので、はっきり分けたほうがいいと考えました。経済学部の経済数理学科では、データ分析ができ、数理モデルも扱える人材を育成し、現代経済学科では社会課題の本質を考えるために現場に出てディスカッションをし、解決策を生み出せる人材の育成を目指します。一方、経営は総合的な人間の営みですから、経営学部では総合的なマネジメント能力を養うことが重点になります。

安田 経済数理学とか現代経済学という学科は、これからの時代に間違いなく必要です。経済数理学は文系、理系の枠を超えた領域ですから、そういう意味でも興味深い。新しい経済学部、経営学部では教育の仕方もだいぶ変わりそうですね。

北川 1年次、2年次からゼミ的な少人数の科目をたくさん設けようと検討しています。昨年、経済学部のあるゼミでは学生が島根県に行き、島根県立大学の学生と一緒になって津和野の町おこしとか農業問題などを調査し、解決策を考えるという試みをしました。こういう教育をもっと広げていけるといいですね。

安田 成蹊大学は自治体と組んで現地に行く演習を経済学部でおやりになった。やる気があればこういうことが既存の学部でもできることを実証したことになります。そういえば成蹊大学が6年前から実施している丸の内ビジネス研修(MBT)は、北川学長が考案された取り組みだそうですね。

北川 経、法、文、理工の4学部の学生が混ざった6人のチームに企業が課題を出し、学生がそれに対する回答を3カ月かけて考え、夏に丸の内でプレゼンをします。それを企業の方が講評してディスカッションをする。その後、インターンシップなどを挟みながら11月に学生がインターンシップで学んだことや、課題に取り組んだことなどを発表するというもので、4月から11月まで約8カ月間にわたる人材育成プログラムです。丸の内でのプレゼンのときは、学生がスーツを着るのがルールです。いわば完全アウェーの状況下でプレゼンをするわけです。大学の慣れ親しんだ教室で、ラフな格好をしてプレゼンをするのとでは緊張感が全然違います。こういう体験こそが学生の成長につながるのです。

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