思考革命:問題意識発から可能性発へ
3426 宗教の認識論と近代思想
 
北村浩司 ( 壮年 滋賀 広報 ) 01/04/20 AM04 【印刷用へ
宗教及び近代思想の一つの特徴はその「あるべき世界」を理念として掲げることにあります。哲学用語的に言えば「当為」=「○○たるべき」という認識手法です。
さて何故「当為」の世界が必要になったか?は中々難しい問題ですが、おそらく歴史的には現実世界の可能性の閉塞から来ている認識論なのではないか?と思います。
 
つまり現実の世界を動かす可能性が封じ込められているので、非現実の当為の観念に立脚したということなのでは無いでしょうか?
 
この認識論はもともと近代思想の発明ではありません。西欧の宗教以来の認識論です。
つまり現実世界は身分制度や絶対権力によって、一切の可能性を封印されていた。しかし人間は精神的存在です。本来の人間の可能性やあり様を「神の世界」に置きそれで意識を統合しようとした。宗教の基盤と意義はそのあたりにあったのではないかと思います。

近代思想はいわばその神の世界の位置に「人間」をとって代えた。代えた理由はおそらく身分制度の桎梏から解き放たれ、市場での経済的利益の追求の「自由」が生まれ、少なくとも現実の可能性が半分開けたからではないかと思います(ただし利益競争や出世競争を担う「個人」として)。
しかも宗教が持っていた生活規範(超越規範)としての側面も剥奪し文字どおり私的欲望の主体としてのみ個人を解放したのです。

ただしついこの間までは、資本の「力の論理」によって相変わらず半分は現実の可能性は封印されていました。だからこそ現実の「力」に対して「当為」を持出すしかなかったというのが一つの解釈だと思います。

しかしこの観点で見れば、これは対抗手段としての見果てぬ夢です。
それだけではなく既にこの倒錯の一人歩きによる弊害の方が強まってきました。
このような理念=スローガンに代わる「事実の認識」への転換が要求されている時代が既に到来しているのでは無いかと思います。
 
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