国債経済とその破綻(大破局の予感)
341573 国の債務ではなく、「政府の債務」である
 
匿名希望 18/12/12 PM07 【印刷用へ
吉田繁治氏 ビジネス知識源398号:政府の債務での、本当のこと(抜粋)リンク 
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■1.政府の債務は、本当は、いくらなのか

▼「国の債務」という用語をめぐって
【誤用とその意図】
政府は、2002年から、民間の会計に倣い、「国の財務書類」を作っています。国民の声に押されたためです。
近年は、メディアやエコノミストが、ほとんどとりあげませんが、毎年作られ、最新版は平成28年(2016年度の分)です。政府会計の集計は、約1年遅れます。

財務省が、「国の財務書類」とするのは、意図した誤用です。
国は、経済主体としては政府(+自治体)、260万社の企業、5300万の世帯から成ります。したがって「政府の財務書類」と言わなければならない。政府の借金(国債と長短借入金からなる負債)は、企業や世帯の負債ではないからです。財務省が、「国の」とするところに、「国債は、世帯も共同に負うべき負債に見せたい」という意図が見えます。

1990年代には、米国商工会議所のエコノミスト、リチャード・クー氏は、「国債は一家の父(政府)が、母(国民)から借りていることと同じもので、借金ではない」と経済討論会で述べていました。
意図してかはどうか不明ですが、彼も政府と国を区分しなかった。気恥ずかしいので名前は挙げませんが、御用学者にも多い論拠です。

【徳川幕府の借金と同じ】
これは、徳川幕府の借金は、国民から借りたものだから借金ではないと強弁するのと同じです。「国=政府」とする概念の意図的な誤用です。
政府は、企業や世帯を含むものではない。国は、「政府+260万の企業+5300万の世帯」の集合体です。王国でも王の政府と国民は別でした。

【政府と国は、別のもの】
敗戦でも、「軍隊をもつ政府」が破れます。徳川時代が明治に変わったときも、政府が変わった。徳川時代と明治の国民は同じでした。
現財務大臣の麻生氏も、講演で同じ趣旨を述べています。

▼麻生大臣の2つの間違い
「日本の借金は、国内の国民からのもので、破産したギリシアのように外国からの借り入れではない(ギリシアは海外がもつ国債が60%)。したがってGDPの2倍の政府負債でも、何ら問題にならない。返済するときは、(政府の一部門の)日銀が円を刷ればいいだけだ。国(政府)は、返済にも困らない。」

海外が貸し手であっても、円国債の償還には、ドルではなく円を刷って渡せばいいので、ギリシアのように海外からの借金でも同じです。麻生財務大臣は、ここでも間違えています。麻生氏が笑っていた櫻田オリンピック担当大臣の無知と同じ水準の無知です。安倍首相も同じです。

ただしこの場合は、通貨の増発による通貨1単位の下落(大きな円安)があるので、円を刷ってインフレで価値が下がる円で渡すと見られた瞬間に、円国債が売られて円金利が高騰し、国債が暴落します。通貨の大増刷は1単位の円が下がる円安を招きますから、円国債をドル圏がもっていると損をするからです。

これは国民が貸し手のときも同じです。マネー・サプライ(国民の預金)が、1年に10%以上増え、円の実質価値が下落すると見られると、10年後に名目金額しか返済しない国債が売られ、国債価格は下がって、金利が上がります。
100万円の額面の国債は、2%のインフレが10年続いても、返済額は100万円だからです。現在は、日銀が450兆円の円を増発してもベースマネー(銀行が日銀にもつ当座座預金)が、増発分上乗せされて増えているだけで、世帯と企業の預金であるマネーサプライの増加率は異次元緩和以前と変わらず、多い月も3%台でしかない。
このため通貨の増発は、2012年比で「1ドル80円→112円」と40%の円安は招いても、政府目標の、2%の物価の上昇はないのです。わが国の経済では、物価の面では無効だったのが異次元緩和です。円安分、輸入物価を上げたにすぎません。

▼国債の実質価値
2%の期待インフレ率になると10年後の実質価値は、1.22倍に上がった物価や所得に対し、「100万円÷1.02の10乗=100÷1.22=82万円」に下がります。期待インフレとは、将来のインフレへの、金融市場での集団的な予想です。
下がる実質価値を回復するため、国債が売られて価格が下がり、下がった価格(例えば82万円)に対する受取金利率を、期待インフレ率の2%に合わせて、高める。これが債券の原理。
「長期国債の金利≒実質GDPの上昇率+期待インフレ率」になります。期待インフレとは、金融市場の多数派によって予想される近い将来のインフレ率です。

【自然金利から乖離した長期国債の金利】
2018年には、わが国でも期待インフレ率が1.2%と高くなっていますが、日銀による、2%の物価上昇という目的を失った国債の買い増し(今は年40兆円)により、長期国債の金利は0.07%と、1.13ポイントは低く押し下げられています(18年12月4日)。
本当は、財政のファイナンスを、金融の緩和策とする人為で、実質的な価値より、約12%高く買われている「国債バブル」でしょう。
野党は、首相のスキャンダルより、国債発行の担当大臣の発言を「通貨増発とマクロ経済の理論」から追求すべきでしょう。なぜか「2%のインフレは必要」としてその気配すらない。
 
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