生物学を切開する
34143 昼行性移行について
 
吉国幹雄 ( 49 鹿児島 講師 ) 02/06/20 PM02 【印刷用へ
本田さんこんにちは。この進化論の会議室では、「夜行性から昼行性」への進化については確かに扱ってなかったですね。(関係ありそうなところで、「概日リズム30825」、「30839」でしょうか)

夜行性から昼行性に移行した一番顕著な例が「原哺乳類→モグラ→原猿→真猿」でしょうか。モグラまでは夜行性であり、原猿の多くは夜行性、真猿の多くは昼行性となっています。もちろん、チンパンジーや人類は昼光性。

>これらの機能(立体視と効率のいい視覚神経細胞)を使って、原猿も共認機能を獲得しています。また、共認機能をもたない哺乳類の多くの種が昼行性に移行したという事実からも、共認優位性から昼行に移行したことは説明でき無いと思います。むしろ、哺乳類全般に関わるような原理ではないかということです。<(34069、本田さん)

本田さんの言われるように、哺乳類だけでなく陸上生物の多くが昼行性となっていることから、移行の大きな要因は「共認」とは別なところにあると私も思います。詳細の機能的な押さえは少し置いといて…

直観的に述べるなら、進化の流れだけから見れば、共認機能などの仲間関係よりも、「集団性」や「他者との関係」の方が大きいように思います。

原哺乳類は爬虫類後半時代に既に登場していますが、徹底的な弱者であり、夜の行動(爬虫類は温度が下がると行動できないため)を余儀なくされたと思われます。また、(原)モグラは弱者ゆえに淘汰適応として性闘争本能を特化させ、巣窟態としてやはり土(暗がり)の下に隠れ住んでおり、餌をとるのに外敵のいない夜中に地上へちょろちょろでていたことでしょう。実際に、現在のモグラのほとんどは視細胞はあるので餌の場所はわかるのですが、しかしその正確な位置を確定することはできず、臭覚よりもむしろ聴覚を発達させているようです。(暗い夜ならよく聞こえるのでしょうか)

いずれも、種間闘争の徹底的な弱者である点が共通です。餌をとって生き延びるには、夜(光がない、低温である、活動しにくい)という暗がりで行動することで適応したのでしょう。

原猿段階では、敵(種間闘争)からは解放されたのですが、しかし多くは生殖集団にとどまっており、性闘争(個間闘争)を行っている段階です。この性闘争そのものは、モグラ時代から引き続いた闘争機能で十分です。また、確かに動物園で観察した原猿は、実にすばしこく暗がりの中で木を渡っていますね。もっとも、地上に降りているときも結構ありますが…。ただ、樹上で首雄も敵もいない闘争圧力の低い状況にいた種のいくつかは、隠れ住む必要もないでしょうから、一部は昼行性になったものもいるかもしれません。

ところで原猿は生殖集団を作りますが、これが、真猿集団となると、まず集団規模が違います。コヨーテや狼などは集団で狩を行いますが、家族単位(生殖単位)の方が多いと聞いています。真猿のような仲間集団ではない。真猿のように集団が大きくなると何らかの理由で夜行性では無理が生じたのではないでしょうか。さらに、種間闘争が始まったことも関係があると思います。

(なぜ、昼間の方が有利なのか、という点は後日また検討して述べさせていただきます。)
 
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34408 食の可能性を求めて昼行性へ 山名宏明 02/06/23 AM01

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