国家の支配構造と私権原理
33168 官僚組織の史的考察〜科挙について@
 
山澤貴志 ( 36 鹿児島 ITコンサル ) 02/06/09 PM11 【印刷用へ
この間、「超国家・超市場論」が提起され実現論における私権時代の歴史構造認識も詳細が補強されたように思います。
そこで、国家時代の役割=テーマですが、これまでの市場論の解明に加えて、身分制度の構造や神官階級と権力との関係構造といった新課題が見えてきたように思います。例えば「公務」や「官僚制度」を廻る議論の土台として官僚組織の起源を尋ねて、何故、腐敗するのか、半専任化することで腐敗構造を解体しえるのか、を考えてみる必要があるのではないでしょうか?

そこで、ひとまず世界史的にも最も激しい競争を展開したといわれる中国の「科挙」制度を題材にこの「官僚制度の構造的限界性」について考えてみたい。

ひとまず、科挙の歴史的変遷について、WEBより引用する。

六世紀の後半、隋の文帝の時代から今世紀始めの清王朝の滅亡まで、実に千四百年もの長きに渡って幾多の王朝を通じて採用された官吏登用制度、それが科挙である。科挙が採用されるまでの中国においては、貴族主義全盛期の時代といえ、地方に有力な豪族が根を張り、その子弟達によって中央の官職は独占されていた。そういった貴族の専横に対し、隋の文帝は地方政府における世襲的な貴族の優先権をいっさい認めず、地方の高等官吏はすべて国によって定められた者がその職に就くという制度を樹立した。この制度を有効なものとするために多数の官吏予備軍を準備することが必要となり、その要請を受けて成立したのが科挙制である。黎明期の科挙は、その成績によって秀才・明経・進士の三段階に合格者を割り振り、それぞれ必要に応じて各地の官吏として派遣するというものであった。科挙は、元来、純政治的に地方豪族に対する牽制として用いられたものであった。
宋代にいたると、皇帝の地位を脅かすほどの豪族は国内には姿を消し、有能の士を発掘するという官吏登用制本来の効果を発揮し始め、科挙という制度そのものが絶対的な権力を持つようになってきた。そうなると、科挙制度自体の矛盾、はたして純暗記試験ともいえる科挙に官吏登用のすべてを任せてしまってよいのかという考え方がでてくる。明代になり、漢民族が再び中国の主導権を握ると科挙制度は、完全に復活し、元代に取り入れられた学校教育制度が踏み台として利用されることによって、科挙の受験はまさしく現代の受験戦争を彷彿とさせるような様相を呈し始めた。

明を打倒した清朝においても、科挙制は依然として官吏登用制度として有効性を保っていた。しかしながら、この時期になると科挙はあまりにも長く制度として存続してきたために多くの弊害をその内に抱え込むようになる。不正入試の増大に対処するために公平化を押し進め、そのために受験生は数多くの試験を通過しなければならず、その負担はますます大きくなる一方で、実際現実の問題に対処できる人材を登用することができず、清朝末期には民衆にまで愛想を尽かされるようになってしまった。
 こういった袋小路に陥った中国の科挙制度のもとに、欧米の文明が押し寄せ、清王朝は一九〇四年、ついに科挙制度の廃止に踏み切ることになる。しかし、時既に遅く、試験による停滞した何百年かのツケは中国という国家に対して手痛いしっぺ返しを喰らわせることになるのは歴史の語る通りである。
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