密室家庭は人間をダメにする
328609 親の囲い込みから脱して、生きる意欲を解放
 
白海豚 17/08/06 PM09 【印刷用へ
都市化・核家族化・密室化が進展するにつれて、親と子の閉塞した関係が活力衰弱を招いている。互いに囲い込み・依存に気づかない間に狭い世界・意識に入ってしまうのは、現代社会の普遍構造だと言える。
・斎藤環『母は娘の人生を支配するーなぜ母殺しは難しいのか』(日本放送出版協会) ・斎藤学『家族依存症』(新潮社)
・NHN 福祉ポータルハートネット『これって依存症?〜やめたいのに、やめられないあなたへ〜』

その社会現象を、一つの切り口・事例から体験談を記載されたものがありますので、ご紹介します。

※  ※  ※  ※  ※  ※  ※  ※  ※
「生まれて初めての“親の管轄外での行動”「風俗に行った」ことで生きやすくなった。『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』著者インタビュー」(リンク

著者である永田カビさんは、高校卒業後、「毎日毎日24時間1秒の休みもなく苦しかったので、どう考えても死ぬ方が楽だった」という状態に陥る。どこにも居場所がない、バイトはすぐに辞めてしまう、「正社員として働いてほしい」という両親からの強いプレッシャー、摂食障害、リストカットや頭髪を抜くなどの自傷……。

しかし、永田さんはあがきつづける。自身の苦しさを解消するヒントを求めて本を読み、内省をくり返し、やがて「私、自分から全然大事にされていない」と気づく。親の愛情を得るために「大人になってはいけない」と思い込み、性的なものへの関心をすべて封印していた。そんな自分を見つけ、「レズ風俗に行く」ことを決意する。端的にまとめてしまったが、彼女がここに至るまでには10年弱の月日を要している。

永田カビさん(以下、永田)「風俗に行ったあと、軽くなった、肩の荷が下りた、身軽になった、窮屈じゃなくなった……ひとことでまとめると、『楽になりました』といい表すのが、いちばんしっくりきます」


■親は「よかったね」と言ってくれたけど
風俗ビフォア/アフタでは、何もかもが変わった。ぎこちないながらも、自身の性と向き合えるようになり、体験レポ漫画をwebで公開し、単行本化のオファーが舞い込む。「何によって自分の心が満たされるのか」に気づき、「親のごきげんとりたい私」と訣別する。

永田「親との関係は人生最大規模といっていいほど変わりました。風俗に行ったのは私にとって、生まれて初めての“親の管轄外での行動”でした。当時はまだ実家暮らしでしたが、親に対して秘密を持ったことで、やっと適切な距離ができて快適になったんです」

しかし出版後、本書を見た両親の感想は、“レズ”と“風俗”に関するものばかり。“さびしすぎて”の部分には一切ふれられなかった。

永田「両親には昔から『ちゃんと自立しろ』といわれつづけてきました。彼らの望む形ではないとはいえ、作品がこうして単行本になり全国に流通したことで、私も自立への道を踏み出せたので、さぞ喜んでくれるだろうと思いました……が、フタを開けてみると、『よかったね』とも『大事にする余裕がなくてごめん』ともメールでいってくれるのですが、不思議なことに、私自身がどちらも少しもうれしいと感じられなかったんです。私の願いが叶ったという結果についてより、そこに至るまでに私が工夫したことや気づいたことについて評価されたかったし、謝罪されてもさびしさは埋まらなかったからです。

伝わるよう工夫して描いて、実際に読者の方から『わかりやすかった』とうれしい感想もいただくなかで家族の反応がそんなものだったため、『わかってもらいたい』という甘えは時間と労力の無駄でしかない、とやっと気づけました。心の底から『もう親からの評価を期待するのはやめよう』と思えたんです」(中略)

■生きづらさを抱えている人たちへ
長いトンネルを抜け、親からの自立、初のノンフィクションコミック描きおろしを果たした永田さんに、将来についてうかがおう。これから先、恋人、ご自身の家族(性別問わず)が欲しいと思われますか?

永田「ひとりでいても、ほかの誰かといても、楽しく充実して過ごせるのならどちらでもいい……と思いつつ、一度ぐらい実家の家族以外の家族を作ってみたら、あんなにうんざりするほど執着していた“家族”というものの、まったく知らなかった側面に気づけるかもしれませんね。実家に足りなかった、互いへの敬意や愛がちゃんと存在する、理想の家族を作ることに挑戦するのも面白そうです。失敗してもいいという前提なら、何度もやってみたいです」

 永田さんの生きづらさは、風俗店に行き、そこから自分自身で気づいたあらゆることのおかげで、全部とはいわないまでもかなりの部分が解消された。生きづらさの背景にあるものは人それぞれ違うけれども、いま苦しんでいる人たちに永田さんはメッセージを送る。

永田「同じ事柄でも、感じる痛みは人それぞれ違います。『みんなもっと苦労しているのに』『なんで自分には、みんなが当たり前にできていることができないんだろう』と思わずに、他人や世間一般との比較ではなく、『自分はこれをしたら、これだけしんどい』と気づけるよう、自分で自分に耳を傾けてあげてほしいです。自分まで自分を責めるのは、責めすぎだし、不毛です。それよりも、自分ができないことをどうカバーするか、柔軟に対策を練ってほしいですね。無責任なことしかいえませんが、他人ができることなんて無責任なことしかないのかもしれません。実際に行動するのは自分しかいないので……。自分が自分の味方になれればいいのですが、むずかしいもんだなぁと私もいつも思っています」

(以上、引用)
 
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