実現論を塗り重ねてゆく
32828 新たなグランドセオリーとしての実現論2−傍観者、あるいは引きこもりとしてのアカデミズム
 
岩井裕介 ( 30 山口 再開発プランナー ) 02/06/05 PM11 【印刷用へ
現在のアカデミズム(学会など)や、マスコミに登場する学識、文化人の言動を見ていると、いかにグランドセオリー(あるいは統合理論)が無視されているかがよく分かります。

>社会の単なる傍観者に過ぎない。決して現実社会を生きる当事者なのではない。
32569『超国家・超市場論19 もう、傍観者=インテリ統合階級は、要らない』)

とありますが、彼らは、傍観者であるがゆえに、(自分の身分を保守する以外に)どう生きていくのか、何を実現していくのか、といった当事者としての原理的立場というものがありません。それを覆い隠すために、ワイドショー的に「わかりやすい」情緒に訴えたり、ネットの書き込み的に自意識への過剰な執着で周囲を辟易させたり、斜に構えるという言い方が適当だと思いますが、「相手がこう言うなら、自分はこう言ってやろう」というその都度の相手に寄りかかったり、という方法でしか生きられません。

あるいは、大学などの場合は、お互いに、自分の専門領域に引きこもり、不干渉を決め込んでいる場合がほとんどです。これを「自己準拠」ともいいますが、例えば、社会学者は社会を参照するのではなく、もっぱら社会「学」だけを参照する、その結果、社会学者は社会学者でない人に有益な研究成果を提示できない、そうした集団的自慰行為に成り果てていることも少なくありません。

現在の大学院や、学部のゼミ、研究者の世界でもそうですが、例えば、性についての研究や、人類史に関する論考、政治に関する議論など(他の何かでもいいのですが)、異なる分野の議論が、共通の土俵の上で論じられることはまずありません。

かつては、マルクス主義、構造主義など、グランドセオリーといえなくもない理論もあり、また、それに挑戦する学者も多く存在しました。共通の地平を模索する動機づけの構造が、かつては存在し得たわけです。しかし、それらの理論は、インテリの間ではブームになったものの、現実には何も生み出せず、敗北していきました。そして、かつては、グランドセオリーを志向していた研究者も、次々に戦線を縮小し、個別の領域を発見し、引きこもっていくことになりました。

その結果もあるのでしょうが、現在のアカデミズムは、共通の地平を求めることすらせず、それぞれ閉じた空間の中での優位性の確保に汲々としている、そういう非常に情けない傍観者に成り下がっていると言えるかもしれません。

これでは、人々の社会不全に答えるだけの新しい認識など生み出せるはずもありません。

 
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