本能⇒共認機能⇒観念機能
327736 映画「デルス・ウザーラ」から見た”精霊信仰”
 
田野健 HP ( 56 兵庫 設計業 ) 17/07/02 AM00 【印刷用へ
先週の実現塾で1974年に上映された黒澤映画「デルス・ウザーラ」を観た。目的はこの間、実現塾でもポイントになっている観念原回路に相当する精霊の存在を少しでも捉えたいという目的。上映は2時間。デルスの捉えた精霊を捉えられただろうか?何とか記事にしたいと思い、今日はデルスの捉えた精霊を書いておきたい。

映画の中でデルスはシカや鳥や動物たちを「人」と呼ぶ。また、火や水や山も「人」と呼ぶ。あの人いい人、あの人怒っている。あの人喜んでいる。火が静かに燃える状態を見て心地よく火の傍に居る。デルスにとっては全ての自然界にあるものは「人」であるわけだ。
対象に同化する時に「人」と相手を捉える。つまり人に語りかけるように動物や火や水に語りかける。語りかけ、相手からのメッセージを看守する。言葉にならない相手の思い、状態を捉える。それが精霊信仰の交信の一つである。

ここから共認の事を考えてみたい。共認を最初に作り出したサルは同類であるサルを相手に共認を試み、相手の表情、動作から察知し、「相手も同じなんだと」共感する事で安心し、共認形成した。
人類もサルから深化したわけで最初は同じように共認で外圧に対抗した。ただ、地上に降りた人類は極限的に厳しい外圧環境に遭遇し、共認機能だけで突破する事ができず、生存を脅かす全ての対象(自然界)に対してサル時代から唯一獲得してきた機能=「共認機能」を使って対象にひたすら同化しようとした。つまり人類の共認機能とはそのほとんどが、人だけでなく人以外のものに向けられたのだ。それが自然現象への同化であり、水や火や土、雨や嵐、石ころまで同化対象になった。万物に同化の眼差しを向け、その摂理をひたすら読み解いた先に見えたのが精霊であり、それを生きるエネルギーに昇華させたのが精霊信仰であった。

この映画ではデルスが精霊の使いである「トラ」を射撃で殺した事で、デルスの生きる意欲がどんどん衰弱する。狩猟の腕が落ち、山で生きて行く事ができなくなり都会に移り住むが、結局都会でも馴染めず山に戻り、命を落とす。トラを撃ったことが、自らの生命を取り上げた事に繋がる思想。それこそが精霊信仰の正体だと思う。

自然とはデルスにとって究極の対象であり、生かされている存在。その中で自らの生きていく意欲も主体性も生まれていた。トラを撃つことはその生かされている自然に背いた事になり、自然界からしっぺ返しを受ける、最早生きてはいけないとなっていく。自ら生きようとしても既に生きる気力がなくなりやがて肉体能力を殺ぎ取り奪っていく。

精霊信仰とはこうも言い換えることができる。
つまり、生きる意欲を生み出す源泉であり、主体性を作り出す動力である。究極の生命力である自然界に同化しているのだから、その同化対象から多くの強さ=エネルギーを得ている。その強さの象徴がトラであり、アイヌであれば熊なのだ。

現代に引きつけて、我々の主体性を作り出しているものは何だろう?
現代の精霊とは何なんだろう?その疑問は当然起きたが、このデルスの不屈の精神、生命力と肩を並べるような存在は現代人にはたぶんない。
しかし、現代の精霊をとてつもなく大きな存在、捉えなければいけない
大きな対象と考えれば、「人々の意識」「社会の意識」「自然の摂理」等が浮かび上がってくる。我々のやる気を生み出している「人々の役に立ちたい・・・」「だから新しい活力を創出する事実の発掘」⇒「新理論の追求」そこに現代の精霊は存在するのではないか。
 
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