アメリカ:闇の支配構造と略奪戦争
326346 戦争を渇望する軍産複合体
 
高梨俊寛 ( 54 島根 プランナー ) 17/05/08 PM09 【印刷用へ
長周新聞リンクより

 日本の軍需産業の先をいくのが欧米の軍需産業で、レイセオン(米)やBAEシステムズ(英)は軍事部門の売上が全体の9割以上に達している。レイセオンは電子レンジや冷蔵庫を手がけていたが、国内の景気後退で物が売れなくなり、97年に家電部門を売却した。そして遠隔操作技術など軍事関連部門を買収し、軍事依存度九割の軍需企業になった。ノースロップ・グラマン(米)やジェネラル・ダイナミクス(米)、ロッキードマーチン(米)も全売上の8割を軍事部門が占めている。航空機で知られるボーイングも全売上の約5割を軍事部門に依存している。これらの軍需産業は戦争がなくなれば売上が半減したり9割減となり、生きていけない。そのため政府との癒着を強め、数年おきにアフガン戦争やイラク攻撃など大規模な戦闘を引き起こし、在庫一掃で兵器を更新し、兵器生産の活況をつくり出してきた。

 米トランプ大統領は2017年度の政府予算編成方針で「軍事費を歴史的規模で拡大させ衰えた米軍を再建させる」と公言し、アメリカの軍事費を66兆円規模にすることを明らかにしたが、アメリカでは国家財政を戦争につぎ込む戦争狂いの政治家がいなければ製造業は生きていけない。アメリカには軍需産業と政治家、建設業界、石油メジャーなどが一体化した軍産複合体が存在して国内の政治や経済を牛耳り、メディアや謀略組織を総動員して戦争に駆り立てているのが実態である。

 もっとも象徴的なのは9・11テロ事件を口実に引き起こしたイラク戦争である。攻撃の理由となった「大量破壊兵器」も「国際テロ組織の支援」もフセイン政府崩壊後、すべてでっち上げだったことが暴露された。だがイラク戦争では徹底した都市の破壊によって現地の住民が約65万人も殺され、約220万人が難民となっている。この戦費は約6000億j(60兆円)にのぼり、アメリカ国内でも医療費や福祉予算の削減によって貧困層が激増した。サブプライムローン(低所得者向け住宅融資)の焦げ付きで家を失う人も多数出た。職もなく生活もできない若者が米兵として戦地へ投入されて約4000人が戦死し、3万5000人が負傷している。

  この無実の人人の犠牲によってアメリカの軍産複合体はばく大な利益を手にした。ロッキードマーチンは爆撃機受注の増加で利益を急増させ、ボーイングは輸送機製造でもうけ、レイセオンはミサイル製造で巨利を手にした。05年にアメリカの軍需産業40社が売りさばいた兵器総額は18兆円をこえている。

  またアメリカはイラク戦争前に周到に侵攻作戦を具体化しており、「9・11テロ事件」は戦争を開始する口実に過ぎなかったことも明らかになっている。アメリカは「9・11テロ事件」より前に、イラクの石油資源に関する調査をおこなっていた。そしてイラクの油田、パイプライン、製油所、石油ターミナルの地図に基づき、アメリカの六企業と開戦前から9億jに上るイラクのインフラ復興の入札を約束していた。米軍がイラクの都市を破壊すると即座に、シュルツ元国務長官が所属するベクテル社とチェイニー副大統領が最高経営責任者だったハリバートンが「復興」で乗り込み、破綻寸前の経営を復活させたが、それは最初からシナリオ通りだった。

  ベクテル社は発電所、高圧送電線網、病院、学校、輸送網、空港施設、上下水道システム復旧で10億jの契約を得た。ハリバートンの子会社、ケロッグ・ブラウン・アンド・ルート(KBR)は、陸軍の工兵部隊からイラク油田再建費として70億jの契約を得たほか、イラクの米軍基地建設の契約もした。こうして軍需産業はボロもうけを謳歌したが、莫大な戦費がかさんでアメリカの国家財政はパンクした。現在は戦費調達も兵員調達もできないほど弱体化したなかで、日本をはじめとする「同盟国」を矢面にたてて戦争を引き起こそうとしている。アメリカの軍産複合体は、戦争がなければ生きていけず、戦争をなくすにはこうした軍産複合体を一掃することが不可欠になっている。
 
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