次代の活力源は?
324061 職人仕事の本質〜他者との関係性を深め、究める「おもてなし」の追求である。
 
田野健 HP ( 56 兵庫 設計業 ) 17/02/06 PM08 【印刷用へ
今後の経済を予測する中で、ホワイトカラーは人工知能(AI)に取って代わり既に10年後には現在の職業の半分が必要なくなるという説が出てきている。
逆に可能性が出てきているのが職人の世界。様々な分野で職人の世界だけは人工知能には当分置き換わらない。その職人仕事の本質とは何かを調べていたところ2009年に出された立命館大学の経営学論説に記載があった。参考になるので紹介してみたい。

>■職人仕事の本質
工業化社会にあって、職人仕事の価値はほとんど見捨てられてしまった。失われてから価値に気付くことがよくあるが、その愚をおかさない賢明さを獲得しよう。職人を一番書きたかったという永六輔は、「僕は職人と言うものは職業じゃなくて「生き方」だと思っている。その生き方、考え方を言葉から探ってみる」と書き出し、「徒弟制度の世界はモノもつくってきたけど、ヒトもつくってきたんだ」などという。

職人仕事の本質として人との関係性、自然との関係性を深める仕事であることをとりあげたい。職人の世界では何げなく用いられることの多い「おもてなし」という言葉の本意は他社との関係性を深め活かそうとする動機が職人仕事の本質である。
伝統産業や老舗企業の世界などでは「おもてなしの心」を大切にしていることを強調することが多く、一般的には心をこめた接待という程度の意味で使われるが、「○○をもて、成す」に由来する言葉として解釈してみたい。仕事で相対する相手(人・社会・自然)を「成す」ことに仕事の本質があるのではないか。

人との関係性については「お客様をもて、成す」ことがおもてなしの基本である事はいうまでもないが、ここで肝要なことは「成す」の意味の解釈。成すとは辞書では「存在しなかったものを新たに作り上げる、成し遂げる、仕上げる」などと説明されるが、「対象の潜在的な本質を見究め、その本源的な価値を生かしきり成就せしめること」という意味として理解しよう。したがって、「お客をもて、なす」とはお客様が本当に欲しているものを見極めて、心からの満足を得さしめる、という意味になる。

また、顧客との関係性だけでなく、人との関係は取引相手、仕事仲間、従業員との関係、地域社会とのつき合い方など多様である。いかなる相手に対しても相手をもてなす心構えこそが重要であり、(中略)「社会をもて、なす」とは社会の構造や課題の要因を研究し、自らの役割を見出して関係者と協力し、社会の未来の魅力が十全に発揮できると言う意味であろう。

さらに自然との関係性については、仕事の対象となる自然物(素材)「をもて、なす」ことがおもてなしの真意である。たとえばある百姓(農家)の場合は、米や野菜という植物の固有の性質を見極めて、その能力が活かされるように世話することが、また石工(建築家)であれば、多様な鉱石の特性を学び取り石材の能力を発揮出るよう加工、調合し適材適所に配置することを意味する。

職人の本質とは、自然との関係性をおもてなしの心で律し、理性、感性、身体能力などの自らの持てる能力を全面的に開発しながら、自然物である素材の性質や構造をよく観察、深く理解し、素材が持つ固有の価値を生かす為のノウハウ(技と美)を生涯かけて磨き続ける事、といえるであろう。
(中略)
職人仕事に共通するのは、他者との関係性を深め、究める「おもてなし」の追求である。
 
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324182 職人仕事の本質A〜心・身の統合が肚の座った達人をつくる。 田野健 17/02/10 PM09

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