脳回路と駆動物質
323869 コンピュータと異なる人間の頭脳
 
岸良造 ( 64 香川 技術者 ) 17/01/30 AM00 【印刷用へ
人間の記憶は情感(自然や人に同化した時に現れる)と強く結びついており、その延長線で、自然や人を対象とした「連想、独創力」が生み出されるようです。
今、人工頭脳によって多くの知的仕事が奪われると言われていますが、「対象に同化して新たな方策を考える仕事≒人が太古から行なってきた仕事」は、人工頭脳では不可能です。

 
磁気と生体リンク
より
_______________________
第10回「脳のはたらきと磁気(3)」
-記憶は磁気環境にも左右される?-

■コンピュータと異なる頭脳の記憶方式
 かつて人体の秘境とされた脳と心の世界は今、神経科学や心理学、分子生物学などの急速な発展により、その神秘のベールがしだいにはがされつつある。また、コンピュータを中心とした情報科学では、限りなく人間の頭脳に接近した人工知能の開発を近い将来、射程内に入れている。

 コンピュータ登場以来、人間の頭脳とコンピュータとはアナロジカルにとらえられがちだが、情報の記録・保持・再生といったコンピュータの処理機構は、生身の人間の頭脳とは似て非なるもの。情報処理装置と記憶装置とが分離しているコンピュータと違い、人間の頭脳は両者が統合されている。つまり人間においては、学習中に起こる脳神経系の変化がそのまま記憶として保存されるらしい。これは“神経系の可塑性”という特質で、この可塑性と磁気が密接につながっていて記憶機能にも影響を与えるといわれる。

 初めて訪れた土地をまるで以前見たことのある景色のように、懐かしく感じることがある。既視感とか既視体験、フランス語で“デジャ・ビュ”と呼ばれる現象である。デジャ・ビュにかぎらず、ある情景とか感覚的刺激をきっかけに、過去の記憶がイモヅル式に現出するというのは珍しいことではない。これからも推測できるように、LSIやフロッピーディスクなどに、番地をつけて情報を整理・格納するコンピュータシステムと、人間の頭脳の記憶方式は大きく異なる。ラジカセやビデオの磁気ヘッドのように情報を記録・再生・消去するようなモデルを想定しては、人間の心の不思議は解けない。

■長期記憶は気持ちと密接につながる

 心に浮かぶ記憶と単なる空想や妄想の違いは、明らかに過去の出来事であるという確信の有無にある。確信とは頭脳領域だけでなく、気持ちのあり方とも関わっているのだ。

 人間の記憶は短期記憶と長期記憶とに大きく区分される。試験直前、ツメコミ式に覚えた知識は、時間とともに雲散霧消するが、記憶喪失に陥らない限り自分の誕生日などを忘れることはない。長期記憶はどこに、どのように貯蔵されるのかは正確には不明だが、大脳辺縁系の海馬は記憶の宝庫とも呼ばれ、精力的に研究されている部位。この海馬の神経細胞に電気刺激を加えると、シナプス中のカルシウム濃度が変化、それにより上昇した電位変化は刺激を止めても長期間にわたり保持されることが明らかになっている。

 どうやら長期記憶は、その時々の気持ちに付随して保持されるらしい。可塑的な脳神経系の揺れ動くある瞬間をとらえたとき、忘れられていた記憶が次々と開花する。この不思議な機能に重要な役割をもつのが体液である。
(略)

 ■ハタと思い出す一瞬にひそむ謎

 水は電気的には中性だが、分子レベルではわずかに分極していて、ちょうど小さな磁石の集まりのように、くっついたり離れたりしている。その状態はMRI(核磁気共鳴映像装置)によって、詳しく調べることができる。磁場の中に水を置き、高周波をかけると、分子集団の大きさにより、異なった周波数の信号が得られる。“気のせい”とか“何となく”といった気分の問題は、客観的な実証性に欠けるためなおざりにされがちだが、水の物理化学的性質のわずかな違いが、人体に与えている影響は大きいのだ。

 しかも、水分子は電気的に分極しているため磁場変化に敏感。何かの拍子にハタと難問が解けたり、忘れていた過去の記憶が鮮やかによみがえったりすることはよくあることだ。その科学的なメカニズムは明らかにされていないが、この現象は結晶構造がある温度で急変化したり、液体が固体になったりする「相転移」現象ときわめて似通っていることが指摘されている。人間の精神活動でも、このハタと変化する一瞬に、大いなる謎が潜んでいるようである。

 近ごろ物理学や工学分野で“カオス”という用語が頻繁に飛び交っている。カオスとは混沌という意味で、これまで不規則で扱いにくかった現象に法則性を見いだす研究の過程で使われだした用語である。近年、コンピュータにより、一見デタラメな現象は、簡単な規則の繰り返しから生じていることが解明されてきた。複雑な自然現象の背後にも、ある種のパラダイム(理論的枠組み)があり、これが複雑さと秩序とを同時にもたらしているというのである。

■神経系の可塑性と磁気の関わり

 人間の記憶機能も、このカオス現象と深いつながりがあるらしい。記憶はひとつの体験のようなものであり、その体験は特定の気持ちと結びつき、その気持ちのパラダイムに従って、無限ともいえる記憶が詰め込まれているというのだ。最近ではカオス現象を情報圧縮技術として応用したカオスコンピュータの開発ももくろまれているほどである。

 また、脳神経系の神経細胞は、外部の指令によらずに自己組織的に構造変化する。このカオス的な自己組織化こそ脳神経系の可塑性の要因であり、外部の磁気変化は微妙な可塑的変化の引き金になっているとも考えられている。でなければ千変万化する人間の心の変化や走馬灯のようによみがえる記憶の不思議さを説明することはできない。
(略)
 人間の頭脳はコンピュータと違い、記憶違いやうろ覚えがつきものだが、自由な連想、豊かな独創力などはスーパーコンピュータも太刀打ちできない。この驚異の能力をもたらすのは脳神経系の可塑性、人間がソリッドステートではなく血の通う生身の身体からなるからにほかならない。
 
  List
  この記事に対するトラックバックURL  http://www.rui.jp/tb/tb.php/msg_323869
  ※トラックバックは承認制となっています。

 この記事に対する返信とトラックバック
341406 「脳=コンピューター」という比喩の誤り〜脳と知性は、コンピューターチップとソフトウェアよりもはるかに複雑に絡み合っている 鳴海伝治 18/12/06 AM00

[過去の記事へ]
[一覧へ戻る] [新しい記事へ]


◆実現論本文を公開しています。
 実現論 : 序  文
 第一部 : 前  史
 第二部 : 私権時代
 第三部 : 市場時代
 第四部 : 場の転換
 参考文献

 必読記事一覧
01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28
大転換期の予感と事実の追求
実現論の形成過程
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(1)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(2)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(3)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(4)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(1)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(2)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(3)
自考のススメ3.自考力の時代⇒「少年よ、大志を抱け」(1)
自考のススメ3.自考力の時代⇒「少年よ、大志を抱け」(2)
1.これから生き残る企業に求められる能力は?
2.私権圧力と過剰刺激が物欲を肥大させた
3.市場の縮小と根源回帰の大潮流
4.共認回帰による活力の再生→共認収束の大潮流
5.自我と遊びを終息させた’02年の収束不全
6.同類探索の引力が、期応収束を課題収束に上昇させた
7.情報中毒による追求力の異常な低下とその突破口
8.大衆支配のための観念と、観念支配による滅亡の危機
9.新理論が登場してこない理由1 近代観念は共認収束に蓋をする閉塞の元凶となった
10.新理論が登場してこない理由2 専門家は根本追求に向かえない
11.学校教育とマスコミによる徹底した観念支配と、その突破口(否定の論理から実現の論理への転換)
12.理論収束の実現基盤と突破口(必要なのは、実現構造を読み解く史的実現論)
近代思想が招いた市場社会の崩壊の危機
新理論を生み出すのは、専門家ではない普通の生産者
現実に社会を動かしてきた中核勢力
私権時代から共認時代への大転換
市民運動という騙し(社会運動が社会を変えられなかった理由)
民主主義という騙し:民主主義は自我の暴走装置である
統合階級の暴走で失われた40年
大衆に逆行して、偽ニッチの罠に嵌った試験エリートたち
新理論の構築をどう進めてゆくか

『るいネット』は、46年の実績を持つ起業家集団・類グループが管理・運営しています。るいネットワーク事務局(Tel:0120-408-333, E-mail:member@rui.ne.jp