日本を守るのに、右も左もない
323078 安倍首相はウルグアイ前大統領から日本人の心を学べ
 
高梨俊寛 ( 54 島根 プランナー ) 17/01/02 PM07 【印刷用へ
永田町異聞リンクより

「清貧」。私欲をすてて行いが正しいために、貧しく生活が質素であること。

そんな生き方を、少年時代、近所に住んでいた日本人移民から学んだウルグアイの政治指導者が4月5日、来日する。
ホセ・ムヒカ。このところ一部テレビでも紹介されている「世界一貧乏な大統領」。昨年3月に退任したが、ウルグアイ国民に今も愛され続けている前大統領だ。

安倍晋三は彼を知っているだろうか。

2012年6月、リオデジャネイロ。188ヵ国の首脳らが参加したRio+20 地球サミット2012 (国連持続可能な開発会議)で、ホセ・ムヒカ大統領は人間の幸せとは何か、そのために政治は何ができるのかを問いかけた。

「人類は消費社会にコントロールされている。私たちは発展のために生まれてきたのではありません。幸せになるためにこの地球にやってきたのです。人生は短い。すぐ目の前を過ぎてしまいます。命よりも高価なものは存在しません」

ムヒカは一人ひとりの人間が幸せに生きること、短い人生の貴重な時間を無駄にしないことが大切だ、と説く。

幸せに生きるとはどういうことか。彼はシンプルに言い切る。「子どもを育てること、友達を持つこと、そして必要最低限のものを持つこと。これらをもたらすべきなのです」

世界の貧困問題などが議論されたその会議。ムヒカは貧しさについてこう述べた。

「貧乏な人とは、少ししかものを持っていない人ではなく、無限の欲があり、いくらものがあっても満足しない人のことです」

ムヒカ自身が前大統領でありながら財産の少ない、普通の農村の暮らしをしている。在任当時、大統領に与えられる給料の90%近くを慈善団体に寄付し、自身は月に10万円程度の生活費があればこと足りた。
無限の欲を満たそうと思えば、人は死ぬまで満たされず、貧しい心をかかえたままになる。昔の日本人のように、足るを知れば、苦しいながらも、心豊かに暮らしていける。
ところが、消費社会が進むにしたがって、カネや贅沢なモノを所有し美食と飽食にふけることが出世の証のような価値観が定着した。本質的な人間の幸福とはそんなものではないだろう。指導者としてのムヒカは言う。

「私たちが際限なく消費と発展を求め、世界中で原料を探し求めるグローバリゼーションの社会をつくってきた。たとえば消費をひたすら早く多くしなくてはならない。消費が止まれば経済がマヒし、経済がマヒすれば不況のお化けが現れる。10万時間もつ電球をつくれるのに、1000時間しかもたない電球を売る社会にいるのです。これは政治問題です。別の解決の道に私たち首脳は世界を導かなければなりません」

そして次の言葉こそ「一億総活躍」を標榜する安倍晋三に贈りたい。

「残酷な競争で成り立つ消費主義社会で、みんなの世界を良くしていこう、というような共存共栄をめざす議論ができるのでしょうか。どこまでが仲間でどこからがライバルなのですか」

競争と格差のなかで、非正規雇用をこれまで以上に増やす政策を進める安倍政権が、国民すべてが良くなる社会をめざすなんて、ウソをつくのもほどほどにしてほしい。

全国民が活躍する社会というのはどんなものか。活躍の“度合い”が気になる競争社会をイメージすべきか。それとも、活躍できない人でもそれなりに自立して生きていける共存社会をめざすのか。

社会は、人それぞれ個性の差、能力の差があってこそ、バランスがとれている。みんなが頑張り屋で優秀だったら、どれだけ競争が激しく、生きづらいことだろう。
活躍する人ばかりではだめで、活躍しない人ばかりでもだめなのだ。足らざる所を補い合ってともに生きる社会こそ、国の求めるところでなければならない。

その人その人にふさわしい仕事や居場所があること。つらい時は逃げこむ先があること。それは「活躍」という言葉のイメージとは、かけ離れている。もっとしなやかで、地に足の着いた人間の生活だ。

市場原理が大手を振る今の日本。競争からこぼれ落ちた人々は生きづらい。み んなが活躍する社会などと偽善的なことを言う前に、政官業を蝕む既得権の構 造を解体し、税金の使い道の正常化をはかったらどうだろうか。

それにくらべ、ウルグアイの前大統領の言葉はポエムのように聞こえるかもし れないが、その人ならではの真実の響きがある。安倍の使うようなお定まりの 美辞麗句など不必要なのである。
 
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