経済破局は来るのか?
319912 映画「シン・ゴジラ」がヒットする背景にあるもの
 
竹村誠一 ( 40代♂ 長野 営業 ) 16/09/25 PM06 【印刷用へ
長らくヒットがなかった映画界において映画「シン・ゴジラ」が国民的大ヒットを記録している(リンク)(リンク)。

ヒットの要因は各分析にあるように複合的なものだが、3.11以降急速に国民の間に高まりつつある、自然災害に対する危機意識、そして無能な政府・官僚・マスコミ・学者に対する危機意識をリアルに表現しているところ。

つまり怪物そのものを倒すことによって得られるカタルシスではなく、嘘に塗り固められた“現実”やそれらを作り出し暴走する政治家やマスコミ(=怪物)を破壊、そして再建していくことによるカタルシスがこの作品の魅力になっている。

以下、「酔生夢死DAYS」(リンク)より。
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(中略)
ここで破壊されるものは何なのか。
 
破壊された街は、その日常は、初代ゴジラの破壊した街とは物質的破壊という現象では同じかもしれない。だがその持つ意味合いは大きく異なっている。
 
ここで中心に描かれるのは人々の悲劇ではなく、政府の対策に焦点を絞った「闘い」のドラマであり、ここで被災者への鎮魂歌は歌われない。このことは、二つの作品の中で破壊されたものの意味の違いと大きく関わっているように思われるのだ。
 
この「破壊されたものの意味」を、映画のキャッチコピー「現実対虚構」という闘いの構図の意味から考えてみたい。
 
 
●「現実と虚構」
 
震災、原発事故。対応に追われる政府、その頼りなさの露呈。あのとき、ニュースで流される政府や対策本部関連の対応コメントにおいて、「想定外」という言葉が、繰り返し繰り返し使用された。「まさかこんなことが。」皆が共通に感じた言葉があふれ出た。
 
「当たり前に永遠に続くかと思われていた平和や爛熟した物質文明の繁栄を誇る日常が、ある日突然たやすく失われうるものである。」
 
この現実味を帯びた危機感の発揚、そしてそのドラマティカルな共有。作品はあのときのこの衝撃を、詳細で綿密な細部の描写、行き届いた小ネタのリアリティによってえぐりだす。(作品中、この「想定外」やアナウンサーの絶叫する「信じられません、まったく信じられません!」の科白は繰り返し使用されているもの である。)(そして、細部にわたるこの綿密な小ネタの仕掛けこそが「あの日々」をまるごと共有した我々をこの作品の中のなまなましさの中で再び結びつける 役割を果たしているものなのだ。)
 
あれは ぬるま湯の幻想が打ち砕かれた新しい時代のはじまりだった。
 
突然の災害によって破られたぬるま湯の幻想。これは、作品の、突然のゴジラ来襲によって破壊された日常現実、という構図と重なっている。
 
…とすれば、或いはゴジラによって破壊されたのは、「現実」だと信じていた幻想(虚構)だったのではないか?
 
…ではいったい何が日常現実という幻想を構成していたものだったのか?
 
この映画のキャッチコピー「現実対虚構」は、「現実」には「ニッポン」、「虚構」には「ゴジラ」とルビがふられたものであった。
 
一体その「現実」ニッポンとはどこにあったのだろうか。今まで現実を構築していたと思っていた「情報」は一体どこからどこまでが「現実」と呼べるものであったのか。
 
「現実」とはなんなのか。
 
「現実と虚構」というこの問題提起のありかたは、作品中意味ありげに登場した宮澤賢治の詩集「春と修羅」の暗示と関わっているように思う。
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