試験制度と暗記脳
318253 世界の先端を行くフィンランドの「教えない教育」
 
柏木悠斗 ( 大阪 技術職 ) 16/08/11 PM08 【印刷用へ
人類史をたどると、「教えない教育」から「教える教育」へ転換してきたが、今後は逆に「教える教育」から「教えない教育」に転換していくというのが、フィンランドの教育研究者の意見。その先端を走り出している。

以下、福田誠治・著『フィンランドは教師の育て方がすごい』の書評(リンク)から引用します。

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・テストもないのに勉強する。これがフィンランドの教育。テストの点を公表して競争させよ。これが日本の大人の姿。

・先進国になると、義務教育の効果が定着しない「学力の弱い生徒」が15%程度出てくる。それを5%以内に抑えている国がフィンランド。フィンランドは、OECDの国際学力調査において、読解力、数学、科学の全分野において、トップクラスを続けている。

・「フィンランドに居住する子供は学習義務を負う」(基礎教育法第25条)「保護者が学習義務の監視を怠った場合、学習義務監視の怠慢で保護者に罰を科す」(同法第45条)。学習権が法律で規定されている。

・日本の教育はマニュアル化されている。教える知識は決まっており、正解は一つ。途中で余分なことを考えると効率が悪い。実験する必要もない。日本の教師が社会的に尊敬されないのは、それほど高度な職業と見なされていないから。

・フィンランドの教師の義務は、授業時間のみであり、労働時間のうち、その他は自己研修時間と見なされる。その研修は、学校でやってもよく、図書館でやってもよく、どこでやってもよい。

・「教育方針書の作成・事務報告・教材等の管理・その他記録文書の作成」は、フィンランドの教師が月1.1回に対し、日本の教師は月10.3回。フィンランドでは、授業の運営は個々の教師に任されており、管理者に向かって文書を作成するような時間は不要。

・1週間に学校で働いている時間は、フィンランドの教師が35時間15分。週37時間労働であるから、ほぼその通り。日本の教師は57時間02分。週40時間労働をかなりオーバーしている。

・フィンランドの補習とは、正規の授業時間以外の補充授業。クラブ活動も含まれる。しかも、労働時間内であっても、補習をすれば、アルバイト代が出る。

・フィンランドの教育学部には、教育学科(理論)と教師養成学科(教育実習センター)が併設。きわめて、教育実習が重視されている。

・「最も重要なのはモチベーション。教師の意欲、生徒の学習意欲、それこそが核心。厳しく管理すれば、モチベーションが失われ、結局何もかもがだめになる」というのが、フィンランドの教育行政の見解。

・フィンランドの教育は、「教える教育」から「学びを支援する教育」へと転換している。この点こそ、日本の教育と決定的に異なる特徴。

・1994年、フィンランドでは、教育内容に関する国家規制が大幅に緩和された。カリキュラムの分権化(脱中央集権化)が教育の市場化を促したことにより、教師の「教える教育」から「学びを支援する教育」への転換を決定づけた。

・人類史をたどると、「教えない教育」から「教える教育」へ転換してきたが、今後は逆に「教える教育」から「教えない教育」に転換していくというのが、教育研究者の意見。フィンランドは、その先端を走り出している。

・日本の学校は「すべてに通用する、将来どんな職業についても役立つ基礎的知識」を前提に運営されているが、フィンランドの学校は、その前提を覆した。同学年、同知識、同一順序、同一速度で習得させるという教育観を否定した。
 
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