私権原理から共認原理への大転換
30790 お金で何でもできる社会からの脱出願望
 
木橋哲夫 ( 45 東京 建築家 ) 02/05/13 PM11 【印刷用へ
今からかれこれ40年位前の話で恐縮ですが・・・。

私は子供の頃、お金を日常的に見たことがありませんでした。正確には、五円玉や十円玉といった小銭以外、手にしたことはありませんでした。たまに手にする・・・、遠足に行くとき等に手にするお金(五拾円とか)を大事にしていたことを記憶しています。多分、家に金がなかったのです。というより、通貨そのものが存在していなかったように思います。

魚や肉は、行商の人が勝手に家に入り冷蔵庫を開けて自分で見繕って置いていってました。置いてあるものを、その時々に畑で取れた野菜と併せ、おふくろが料理して食べさせてくれていたように記憶しています。その代金は、年に一度、米が取れたときにまとめて米で支払っていました。

そんな田舎での親父達の日常会話は、何処の米は良く出来ている、上手く作っている、といった成果品に対する評価とか、皆で行う田植えや稲刈りなどの順番の話に加え、何故か政治の話を良くしていたように記憶しています。年中同じような話ばかりで・・・、他に話す内容はなかったのでしょう。というより必要なかった、といったほうが正解のような気がします。そこには、解脱などというようなものは、夏の盆踊りと秋の祭り以外思い出せません。

皆と集い、仕事の傍ら、評価と協働の話やら政治の話をする。一年中同じ繰り返しです。

今、私の田舎には協働作業はなくなりました。皆、各自、他の仕事を持ち、機械で行うようになったからです。互いの会話と同時に、出来栄えを評価し合う事もなくなったようです。米作りに対する意識も薄らいでいます。家長は、機械化により暇になった時間でパチンコにふけっているし、子供達はTVゲームに没頭しています。もちろん末端の政治談義なども聞こえません。この40年の間のいつからか、市場世界に巻き込まれてしまったのでしょう。(解脱の誘惑さえなければ、こんなにも変わらなかっただろう。)

「何をするにもお金がかかる社会」は、「お金で何でもできる社会」を創り上げ、結果、もっとも人社会に必要な人繋がりだけでなく“生産場面での、活きた評価を巡っての会話”を忘れ去らせてしまったように思います。この事は仕事への意識を、金になることが良いこと(=金にならないことはしない)、といった価値観で染め上げられてしまったことが原因であるような気がしてなりません。

都会や若者をを中心とした地位や金に執着しない価値観の広がりは、このような市場社会の虜からの脱出願望=本来の人社会への回帰願望、とも受け取れます。この様な意識が人繋がりを生み出し、さらには活きていく場作り=社会のあり方を求めているように思います。迫りくる問題が地球規模・人類的な規模であったり、日本全体の問題であることが、その目をより高い位置に引き上げているように思います。そんな状況の中、活きた場に導かれ、活きた評価を求め合う者が自然と集うようになり、新たな協働社会が形成される気がします。

>そこで、もし人々が、私的な充足の為だけではなく、社会統合の為に、例えば『認識形成の場』にお金を使う様になれば、大変面白いことになる。近く、それを提起したい。(30710番)

大変楽しみです。

 
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1.これから生き残る企業に求められる能力は?
2.私権圧力と過剰刺激が物欲を肥大させた
3.市場の縮小と根源回帰の大潮流
4.共認回帰による活力の再生→共認収束の大潮流
5.自我と遊びを終息させた’02年の収束不全
6.同類探索の引力が、期応収束を課題収束に上昇させた
7.情報中毒による追求力の異常な低下とその突破口
8.大衆支配のための観念と、観念支配による滅亡の危機
9.新理論が登場してこない理由1 近代観念は共認収束に蓋をする閉塞の元凶となった
10.新理論が登場してこない理由2 専門家は根本追求に向かえない
11.学校教育とマスコミによる徹底した観念支配と、その突破口(否定の論理から実現の論理への転換)
12.理論収束の実現基盤と突破口(必要なのは、実現構造を読み解く史的実現論)
近代思想が招いた市場社会の崩壊の危機
新理論を生み出すのは、専門家ではない普通の生産者
現実に社会を動かしてきた中核勢力
私権時代から共認時代への大転換
市民運動という騙し(社会運動が社会を変えられなかった理由)
民主主義という騙し:民主主義は自我の暴走装置である
統合階級の暴走で失われた40年
大衆に逆行して、偽ニッチの罠に嵌った試験エリートたち
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