西洋医療と東洋医療
307684 「たばこで死亡、年12万9千人」は、どうやって数えた?
 
柏木悠斗 ( 大阪 技術職 ) 15/09/12 PM05 【印刷用へ
『THE 21 ONLIEN』〜世の中に出回る「数字」のウラを読み解け!〜(リンク)の記事より紹介します。

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2012年、東大や阪大などのグループが国際医学誌『プロスメディシン』に「07年に喫煙が原因で亡くなった大人の日本人は約12.9万人いた」とする論文を発表した。07年の死者数は、子供も含めて約110.8万人なので、かなり多いと感じられるのではないだろうか。

この数字は新聞でも報道され、厚労省が医療費削減のために進めている「健康日本21」という取り組みの中でも紹介されている。

しかし、ちょっと考えてみていただきたい。たとえば喫煙者が心筋梗塞で亡くなった場合、原因は喫煙なのか、他の原因で亡くなったのか、明確に区別できるだろうか。実際には、複数の要因が絡んでいることが多いのではないか。

実はこの数字は、各疾病について、それによる死亡者数に喫煙の「人口寄与危険度」をかけたものを合計して出されている。例を挙げると、45〜59歳の男性の場合、虚血性心疾患(心筋梗塞と狭心症)については、喫煙の人口寄与危険度は49%とされている。つまり、虚血性心疾患で亡くなった人のうち49%を「喫煙が原因の虚血性心疾患で亡くなった人」としてカウントしているのだ。

ところが、この論文によると、45〜59歳の男性の虚血性心疾患には喫煙以外にも寄与している要因があり、高血糖19%、高LDLコレステロール33%、高血圧24%……とあって、すべて合計すると、なんと225%になってしまう。100%を大きく上回っているのだ。

ということは、「喫煙が原因の虚血性心疾患で亡くなった人」の数も、他の要因による虚血性心疾患で亡くなった人の数も、実際よりも多くカウントされている可能性がある。虚血性心疾患以外の疾病についても同様のことが言える。

これは、論文をよく読めば書かれているとおり、「個別の要因分析において要因間の相関関係を考慮していない」という問題があるからだ。

また、各疾病に対する喫煙の人口寄与危険度が、この論文で使われた数字で本当に正しいのか、という問題もある。各疾病と喫煙の関係については複数の疫学的調査の研究論文があり、論文によって結果の数字が違っているからだ。

一つひとつ数えて集計したわけではない数字は世の中に多く出回っている。そんな数字は、根拠がどこにあるのか、きちんと調べるべきだろう。
 
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