宇宙・地球
306853 地震の原因についての考え方の変遷A
 
松下晃典 ( 35 広島 kozo大工 ) 15/08/16 AM00 【印刷用へ
つづきです。

日本地震情報研究会「地震の原因についての考え方の変遷」(リンク)より引用

-------------------以下引用-------------------
2.ヨーロッパの科学の影響と陰陽五行説を結び付けた時代。17世紀中頃から

「家康が天下を統一して江戸に幕府を開く直後、つまり16世紀の末から17世紀初頭にかけては、日本列島の各地で、かなりの災害をともなう大地震があいついで起こった。・・中略・・わずか30年ほどのあいだに日本各地であいついだ地震災害は、おのずから識者の眼を地震の原因そのものに向けさせることになった。種子島への鉄砲伝来を契機に、ヨーロッパの科学が、おいおい日本に紹介されていたころでもあり、地震とはいったいどんな自然現象なのか、という問いかけが、人びとのあいだに芽生えてきたのである。」

A 向井玄松の『乾坤弁説』「これは、もともとポルトガルの天文書を、日本に帰化したポルトガル人沢野忠庵(クリスチャン・フェレイラ)が翻訳し、それに玄松が陰陽五行説による解説を加えたものである。」「『地震というのは、土の穴を通って地上の風が吹き込み、まず土の中にたまる。ところが、風は本来地上にあるべき存在なので、ふたたび土中から出ようとする。このとき、もし出口がないと、その上騰しようとする力が、大地をゆさぶって地震を起こすのだ』。これはアリストテレスの学説によって述べている原典の部分なのだが、この説の上に、玄松は陰陽説による考察を加えている。

『右の南蛮学士の説のうち、土中の風が地上へ出ようとして地体を震動させるというのは良いが、その風の根源は、土の穴から吹きこまれたものではなく、地中の陽気である。地中には、万物を出生しようとして上昇する陽気があるのに、地の陰気がそれをふさぐので、陽気が上昇できずに憤撃発開し、陰気を破却して大地を動揺させ、そのために地震が起こる』というのである。つまり、原説の風を地中の陽気に置きかえて論述したもので、陰陽五行説がまだ主流をしめていたことを思わせる。」
 
B Aに続いて現れた『大極地震記(1662年)』「この書の著者は不明だが、地震に関する専門書としては、日本最初のものだろうといわれている。」

この説は『天地は地水火風の4つの原素からなりたっていて、ふだんは平衡を保っている。ところが、その平衡が破れて、地中の風がさかんになれば、その上の火もさかんになり、火がさかんになれば、火の上にある水も沸騰する。そして水の上の地を動かすことになる』とする。「この説も、陰陽五行にもとづいた説だが、地球内部の火や水の動きによって地震を説明しようとした点に新しさが感じられる」
 
C 「 江戸幕府が開かれてから100年を経た18世紀の初頭、・・中略・・日本列島はまたも激動期を迎える。・・中略・・この激動の時代を体験した学者の一人に、西川如見がいる。彼は八代将軍吉宗に召されて天文暦術を講じたほどの学識者であり、20余種の著書をあらわしている。そのうち、『両儀集説(1712年)』・・中略・・のなかで地震の原因について述べているが、ともに地中の陽気あるいは風が上昇しようとするときに地震が起こるとしており、依然としてアリストテレス流の考えにもとづいていることがわかる。

しかし、如見は『両儀集説』のなかで、『日本南海の所々地震の時に非ずして洪濤忽に至って海辺没却せしむる事あり、是大海の南底に地震有って海水動揺し、洪波起って潮水漲湧し来たれる者也』と述べて、太平洋岸では、地震がなくても津波の来襲があることを指摘し、これは海底の地震によるものであると論じている。当時としては、まことにすぐれた見解といえよう。また彼は、古代から伝わる地震占いを迷信であるとして強く否定し、科学的な思考が卓抜した進歩派学者であったことをうかがわせる」

D 1836 年に帆足万里の「窮理通」が完成。「地震に関する記事はその巻之8にあって、地中の硫化物などが水と接して火熱を生じるのが地熱の原因であり、そのような熱気が沸騰して地震を起こす、という新設も披瀝している。しかし、全体としては、地下の風または気の動きによって地震現象を説明しようとしている点、大きな変わりはない。このように、如見や・・万里など、当時を代表する学識者たちの地震観は、根本的には『地中に伏していた陽気あるいは熱気が、むりやり上昇しようとして地震を起こす』という概念に貫かれており、その根底には、依然としてアリストテレス流の考えが横たわっていた」
 
-------------------引用終了-------------------
 
  List
  この記事は 306851 への返信です。
  この記事に対するトラックバックURL  http://www.rui.jp/tb/tb.php/msg_306853
  ※トラックバックは承認制となっています。

 この記事に対する返信とトラックバック
306856 地震の原因についての考え方の変遷B 松下晃典 15/08/16 AM09

[過去の記事へ]
[一覧へ戻る] [新しい記事へ]


◆実現論本文を公開しています。
 実現論 : 序  文
 第一部 : 前  史
 第二部 : 私権時代
 第三部 : 市場時代
 第四部 : 場の転換
 参考文献

 必読記事一覧
01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28
大転換期の予感と事実の追求
実現論の形成過程
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(1)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(2)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(3)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(4)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(1)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(2)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(3)
自考のススメ3.自考力の時代⇒「少年よ、大志を抱け」(1)
自考のススメ3.自考力の時代⇒「少年よ、大志を抱け」(2)
1.これから生き残る企業に求められる能力は?
2.私権圧力と過剰刺激が物欲を肥大させた
3.市場の縮小と根源回帰の大潮流
4.共認回帰による活力の再生→共認収束の大潮流
5.自我と遊びを終息させた’02年の収束不全
6.同類探索の引力が、期応収束を課題収束に上昇させた
7.情報中毒による追求力の異常な低下とその突破口
8.大衆支配のための観念と、観念支配による滅亡の危機
9.新理論が登場してこない理由1 近代観念は共認収束に蓋をする閉塞の元凶となった
10.新理論が登場してこない理由2 専門家は根本追求に向かえない
11.学校教育とマスコミによる徹底した観念支配と、その突破口(否定の論理から実現の論理への転換)
12.理論収束の実現基盤と突破口(必要なのは、実現構造を読み解く史的実現論)
近代思想が招いた市場社会の崩壊の危機
新理論を生み出すのは、専門家ではない普通の生産者
現実に社会を動かしてきた中核勢力
私権時代から共認時代への大転換
市民運動という騙し(社会運動が社会を変えられなかった理由)
民主主義という騙し:民主主義は自我の暴走装置である
統合階級の暴走で失われた40年
大衆に逆行して、偽ニッチの罠に嵌った試験エリートたち
新理論の構築をどう進めてゆくか

『るいネット』は、46年の実績を持つ起業家集団・類グループが管理・運営しています。るいネットワーク事務局(Tel:0120-408-333, E-mail:member@rui.ne.jp