・財政立て直しは可能か?
○ギリシャの債務危機は一旦小康状態だが、翻って巨額の借金を抱える日本の財政再建は一体どうなるのでしょうか?
政府はこの6月に新たな財政健全化計画(以下計画)を発表した。
それによると2020年度に国・地方の基礎的財政収支(所謂プライマリーバランス)の黒字化を目指すという。リンク
基礎的財政収支とは税収のみで政策的経費を賄うとした場合の収支のことです。
名目成長率と長期金利(国債金利)が等しい状態で基礎的収支がバランスしていれば国債など長期債務残高の国内総生産(GDP)比は一定となる。
長期債務残高の名目GDP比はこの10年間で倍増し、1000兆円!を越え今年度末には2倍を越える見通しです。
計画で示された中長期の財政見通しでは、成長率の前提が名目3%、実質2%でも20年度には6.2兆円の赤字が残る。
しかしこの見通し自体が甘く怪しい。
試算では20年度の税収を69.5兆円と見ているが、今年度(15年)が54.5兆円だから今後年率5%で増加する!というわけです。
「アベノミクス」というカンフル剤を躍起になって打ちまくっても1%強という状態(リンク)で、どんな魔法を使って5%を達成できるというのでしょう。
また、成長率に対する税収の伸びは1970年から2014年度までが1.05だったのに、この試算では実に1.66となる。この見通しもあまりに非現実的といわざるを得ません。
一方、経費の年間伸び率は2.3%で増加すると見ている。
15年度までの5年間では0.55%で伸びてきたことから、今後の高齢化による年金・介護医療費の増や、相変わらずの官僚の無駄遣いを考えるとこれは妥当な見通し、というか殆ど歳出削減の努力をしないつもりかと思われる試算です。
結論的には、この計画は殆ど砂上の楼閣〜絵に描いた餅に等しい。
今の官僚・政治家達は、財政の素人でも判断できるこんなウソをよくも尤もらしくいえるものだとあきれます。
今や固定観念に染まった専門家でなく、「素人」による社会活動と統合が期待される所以です。
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