政治:右傾化の潮流
302182 都市部から広まったキューバの自給自足政策
 
阿部和雄 ( 41 東京 設備士 ) 15/03/18 AM02 【印刷用へ
食料自給率が43%だったキューバが、自給自足できる国に転換できた背景には、都市部から広まった有機農業があったようです。同じ頃、ソ連崩壊後のロシアが危機的状況を脱することができたのも、「ダーチャ」と呼ばれる家庭菜園によって、ほぼ100%の食糧自給が可能だったからといわれています。

現在は大規模農業や、商品価値の高い作物生産ばかりが注目されていますが、私たちの生活や国を守る食糧生産は、もっと身近な生活の中での農業生産にあるのかもしれません。農水省によると、日本の食料自給率は39%。危機的な状況を打開するためにも、両国のあり方に学ぶところは多いと思います。

以下(リンク)より転載します。
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キューバが有機農業を始めた背景には,その当時キューバが置かれていた世界的な位置付け,旧共産圏の崩壊とアメリカによる経済封鎖が大きく影響していると考えられる.

キューバは革命以来アメリカへの経済依存から,旧共産圏への依存へと移行し社会主義的国際分業という名目の下で完全に外へ依存する体制を創りあげてしまっていた.キューバが主要輸出産品としていた砂糖にしてみても,一般にモノカルチャー作物は国際市場に左右されやすいが,ソ連の政治的な思惑があり,世界標準価格の5.4倍で取引されていた.その為,1989年には農地の60%がサトウキビ生産に使われており,砂糖やラム酒などサトウキビ加工品が外貨収入の75%を占めていた.輸入の面においても,キューバは貿易の70%をソ連と,15%を東欧諸国と行っており,化学肥料や農薬はもとより,ほとんどの生活必需品を社会主義国から輸入していた.エネルギー供給等は64%を輸入石油に依存しており外との関わりが無くしては生き延びることのできない国であった.そのような状況下で,1989年に起こったコメコン崩壊はキューバを未曾有の危機へと直面させた.それまで,外貨収入のほとんどを占めていた砂糖の輸出額は98年には92年の半分以下になり,原油輸入が1300万トンから300万トン減少する等,多くの輸入品が同様に減少していった.さらには,アメリカからの経済封鎖が拍車をかけるようにして強まり,輸入量は減少し続け多くの経済部門で生産活動が困難に陥った.

この緊急時をカストロは「スペシャルピリオド」として,国をあげて直面した危機に対処して行く方針を採った.そして,何よりも先ず対処して行かなくてはならなかったのが食糧危機の問題であった.

1989年時点でのキューバ食料自給率はわずか43%でありそのほとんどを海外に頼っていた.しかしコメコン崩壊以降その輸入量は半分以下に陥り,多くの人がまともな量の食糧を確保できず深刻な栄養不足へと陥った.農業においては,キューバは当時では南米の中でも進んだ技術を持ち,大型の機械や多量の科学肥料・農薬を使うといった大規模農業を行っていたのだが,緊急時ではそれが逆に仇となり,燃料の減少はトラクターをただの鉄の塊にして,農薬の減少は大規模な農場の管理を難しいものとした.そこで,人々は日々の生活を生き抜く為に自分達で食糧を確保するしかなく,機械や農薬も手に入らない状況では必然的に有機農業を始めるしかなかった.

有機農業は都市部から広まっていった.人々は先ず家の周りにある空き地やゴミ捨て場を畑にし,肥料には生ゴミやミミズを使い,トラクター代わりに牛を使った.石油輸入量が激減し都市への食料輸送や貯蔵などのエネルギーコストを節約する必要があった政府はこの動きを歓迎し,都市の食糧の需要を近場で賄うことを進め,またバイオ農薬の開発にも力を入れていった.この結果1994年に90年の55%まで落ち込んだ農業生産量は数年間で回復し,96年には95%になり,98年には元の水準に戻っていた.なかでも,米や野菜,果樹は有機農業によって完全に回復した.
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