宇宙・地球
299966 地震時の動物の異常行動の分析にみる近代科学の限界
 
鮮青憧人 ( 若者 東京 凡人見習い ) 15/01/07 AM08 【印刷用へ
 近代科学の限界が露呈する現代において、分野横断的に様々な領域の科学者が協力しあう動きは少しずつ出始めてきているが、それだけでは限界を乗り越えることはできないだろう。そもそもの特定の環境下でしか成り立たないような分析を積み重ねる近代科学の思考性そのものを変えていかなければ意味がない。
 例えば、震災の時に確認された動物の異常行動は、古来より口伝で伝えられてきていたものと比較すると重なる所が多い。これらを近代科学的アプローチをすれば、地震という特殊な状況下で現れる現象の分析を積み重ね、口伝内容の繋がりを追求することになるだろう。しかし、この分析には動物の日常との比較や生物の成り立ち、さらには、口伝の背後にある歴史や思想といった各事象が繋がる統合的な視点はない。近代科学とはそうした繋がりの部分を排除し、一点突破的に追求してきた学問だったのだ。
 そうした近代科学の思考性を根底から見直した上で、分野横断的な追求がなされれば、新たな科学発展、人類の進化となるに違いない。

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動物の異常行動と電磁気現象説
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(1)電磁気現象説の一つの根拠

 地震発生の直前には震源域で電磁気的な異常があった可能性があるが、これを傍証するものとして、動物の異常行動は電磁波によるとする電磁気現象説がある。弘原海 清編「前兆証言1519」には、魚類やカイコが整列したとの報告がある。これらの報告から、動物の異常行動には方向性を有するものもあると考えられる。電磁気現象説は、この場合に、動物の“センサー”が検出した物理量はベクトル量である可能性が高いということを一つの根拠にしている。すなわち、動物は物理量の大きさと方向に応答すると考えている。帯電エアロゾルや臭いなどの流れは、水生動物の整列などの方向性を示す行動に影響するとは考えにくい。
 ここで考えられるベクトル量は、音波や電磁波などの波動である。動物が波動を感じて何らかの回避行動をとる場合、波動の伝搬方向に平行または垂直に配列すると考えられる。音波については、3.3節で述べるように、人間に聞こえない超音波や超低周波の可能性を否定できないが、超音波は地中での減衰が著しいので考えにくい。超低周波についても、本震の前に超低周波音波が観測された例はない。山鳴り・地鳴りは超低周波音の可能性があるが、実験室での予備的な音波実験では、動物に際だった行動変化はない。したがって、ベクトル量としての電磁波の可能性が高いというわけである。
 電磁気現象説では、動物の異常行動のいくつかは、後に説明するように電場、磁場、電磁波などが原因であるとする。「水槽から飛び出す魚」や「白い腹を見せて浮いていた魚」などの報告のように、方向性を示さない動物異常の報告も多い。こられに対しては、物理量が大きすぎるために生物がパニックを起こしたと考える。

(2)電磁気現象説に基づく電場(電界)効果

 地震の前に葉を閉じるオジギソウは、中国や日本でのアマチュア地震予知研究家の報告にもある。オジギソウは、虫の羽ばたきなどの静電気誘導で茎に電流が流れるために電気生理学現象として葉を閉じるとされるが、「バンデグラフ静電高圧発生装置」による人工的な静電場に置いても葉を閉じることが確認されている(Proc. Japan Acad. 74B, (1998) 60-64)。
 このことは、地震の前に、震央地域に巨大な静電気が現れたためと解釈することも可能である。「前兆証言1519」には、パチパチと放電する「超静電気」の報告もあり、ヘルムート・トリブッチの述べたイタリアの時計工の経験談「時計の部品のはね上がり」の報告も、震央に現れた電荷で説明できる。地震発光も動物異常行動も日中の地震前兆の伝承も、本当に起こった現象と仮定すると、電磁気現象で説明することが可能である。
 

(3)電磁気現象説に基づく磁場(磁界)効果 

 a)地磁気の異常
 地震に先行して地球磁気が変化したという報告は数多いが、ノイズを除くと一般にその値は小さい(力武、1994)。地球外側の磁気圏などで発生した地磁気変化は、地球内に電流を誘導し、その 電流は磁場を発生する。これは地震に関係する磁場変化に対しては大きなノイズ源になる。最近では、1978年のマグニチュード7の伊豆大島近海地震に先行し> て、震央距離30キロメートルの中伊豆観測点で顕著な磁場変化が観測されたとの報告があるが、その値は数ナノテスラ程度で、地球磁場の強さの1万分の1程度である。この値は動物の異常行動を起こすには小さすぎる。

 b)安政見聞録の磁石から落ちたクギは磁気異常か静電気異常か?
 安政見聞録の「地震の前に磁石についていたクギが落ちた」という話は有名である。上に述べたように、地震前兆の地磁気の変動は小さいことが地球物理学者によって知られており、昔の弱い磁石に付いたクギがP波の振動で落ちた可能性も指摘されていた。しかし、震央付近には大きな電荷が現れるとすると、安政見聞録の「落ちたクギ」も電磁気異常として説明できる。電磁気現象説に基づく実験として、磁石とクギに静電気現象により電荷を持たせると、クギの間の反発力やクギと磁石との反発力で釣り合いが崩れてクギが落ちる。このように、この仮説に基づけば、実験で「落ちたクギ」の現象を再現できる(Naturwissenchaften 84, (1997) 539-541)。
 断層地帯には応力の解放に応じて自由電荷がパルス的に現れるとする仮説があるが、電磁誘導で生じるその場合の磁気は小さく、磁気異常によると考えるのは難しい。

(4)電磁気現象説に基づく電磁波効果 

 電磁波は一般に連続した正弦波であるが、ここに述べる電磁波は連続波ではなく、雷の場合と同じように、多くの周波数成分を含むパルス電磁波(周波数の異なる波束としての電磁波)である。池谷は、例えば100万分の1秒程度のパルス電磁波の電場変化が動物異常の原因である可能性が強いとしている。このようなパルス電場をフーリエ分解すると、直流や特定周波数の成分は百万分の数V程度になり、地球物理学者の計測した自然電位の異常とも合致するとの解釈も可能である。池谷は動物がこのようなパルス電磁波を感知したり、電磁波により誘起される生体内の興奮物質で異常行動を起こすとの仮説を出しており、第3章で紹介するように物理学者と獣医生理学者による実験的裏付けを試みている。
 このような学際的な共同実験や理論研究の新しい試みが軌道に乗ってくれば、地震前兆の多くの「未科学」が健全な「科学」として生まれ変わっていくことが考えられる。「科学の終焉」が議論されているが、それは狭い専門化した科学をパラダイムの枠組み内にとどめた議論である。パラダイムをシフトし、融合することにより、科学は21世紀にも大きく発展すると考えられる。
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