次代の活力源は?
29954 特別養護老人ホームの開設に際して想う事
 
田野健 HP ( 40 東京 監理 ) 02/05/02 PM10 【印刷用へ
今日、私が設計監理している大阪の某特別養護老人ホームのお施主さんと会食する機会がありました。
お施主さんは実際そのホームをこれから立ち上げていく方で、これからそのソフト作りや人材を試行錯誤しながら実施していく立場にいます。
今回、全くの素人で会社の新事業の立ち上げとして担当として配属された方です。いわばサラリーマン発の起業の走りとして挑戦されているわけです。
私としては充分応援したいし、当然建設という当面の課題をクリアーしてなお運営の中身まで突っ込んで一体となって考えていきたいというつもりでやっています。

その中で、今日お施主さんから残念な言葉を聞きました。
老人ホームの本質は所詮姥捨て山だと、おっしゃりました。
そして利益を上げることが認められいない社会福祉法人の現状を嘆き、それで活力がでるのかという類の事をおっしゃっていました。
私はその場でうまく返答できなかったですが、なにやら違和感を覚え、これから立ち上げようという立場の方がそれでうまくいくのか?そんな課題意識で70人からの人をうまく使っていけるのかと腐心を感じざるを得ませんでした。

老人ホームとは本当に姥捨て山なのか?この議論には現在の病んだ社会の総括も含めて議論する必要があるとは思いますが、例え現在社会の総括としてそうであっても施設を起こす立場の意識としてそのように思ってはいけないとだけは強く思いました。
成功している(活力がある)老人ホームとそうでない老人ホームを同時に見ますが、施設をまとめる方の意識は徹頭徹尾、入居者の老人に対して愛情や畏敬の念がなければならないと思うのです。老人という多くの人生の歴史を積み重ねてきた方に対する敬意や評価をした上で対等にお世話していく、奇麗事かもしれませんが基本的にそんなスタンスが必要なのではないかと思うのです。

2050年には老人人口が1人/4人という高齢化社会を迎えます。
老人は老いぼれていて、汚くて、弱い、そんな価値観を引きづったまま突入することに危機感を覚えます。社会的には確かに生産に従事せず、お払い箱かもしれません。
死生観にも繋がるのかもしれませんが、安心して死んでいける場、生を全うできる場として人生の最後の色づけをしていける場に老人ホームが成れればいいのにと思います。

老人の経験や知識やましてや燃え尽きる前の意欲は決して侮れないと思います。前段で書いたように老人ホーム自体が現在の歪んだ社会の縮図である事は認めた上での話なのですが、老人というものに社会が何も期待せず老人自体も何も答えていない不健全な現在社会をホームからでも切りくずしていこうという思いは持ち得ないものなのでしょうか。

私は当事者でなく、建設を預かる立場でしかありませんから、お施主さんの不安感や不毛感は肌身で感じられないのかもしれませんが、現在の老人問題と自ら老人と暮らしていこうという課題は当事者が必死になって考えた先に見えてくるものだと思っています。
建設現場はまだ基礎が立ち上がった段階です。これからこの重い問題を施主さんと共有して前進できる課題としてとらえていきたいと思います。
 
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