世界各国の状況
299362 バルダイ国際会議におけるプーチン演説(4)
 
THINKER・鶴田 HP ( 40代 名古屋 自営業 ) 14/12/19 PM00 【印刷用へ
 もちろん、制裁措置はロシアにとって足かせとなっています。彼らは制裁措置でダメージを与えようとしています。ロシアの発展を妨げ、政治、経済、文化において孤立させようとしているのです。力づくで後進国に貶めようというわけです。しかし、今日の世界は様変わりしています。ロシアには、閉鎖的な発展や経済を進めて、世界から孤立する気など毛頭ありません。経済的な事柄や政治的関係を正常化させることも含め、われわれは、常に対話することにオープンな立場にいます。この件に関しては、世界の主要国の実業界からのロシアに対する現実的な働きかけと関係作りに期待しています。

 ロシアはヨーロッパ諸国を無視しているのではないかという意見があります。本日の会議でもそのような意見があったのではないでしょうか。ロシアは、とりわけアジア方面で新しい取引先を探していると。これは全く事実でないとお伝えしておきます。ロシアのアジア太平洋地域における積極的な政策の展開は、昨今に始まったことではありません。ましてや経済制裁に対抗した政策などではありません。もう何年も前から推進してきた政策です。西欧諸国を含む多くの国々のようにアジアが世界で果たす役割はかつてないほど大きなものになっています。経済、そして、政治面で。アジア諸国の目覚ましい発展ぶりはわれわれにとって、見過ごせないものです。

 ご存知と思いますが、アジア地域には、どの国も進出しています。ロシアも世界中の国家と同じようにするだけです。ましてや、ロシアは地理的に大部分がアジアに位置しています。なぜロシアが地理的優位性を競争に利用していけないのでしょう。そうしないことは、国家としてあまりにも無策です。

 アジア諸国と経済関係を発展させ、共同プロジェクトを推進させれば、ロシアを発展させる起爆剤となるでしょう。今日の人口分布、それに経済および文化的傾向のどれをみても、強大な一極支配は衰退の一途をたどっています。この件に関しては、ヨーロッパやアメリカの専門家が同様の見解を発表しています。

 グローバルな政治の今後は、私たちがグローバル経済に見ているような形で発展していくでしょう。つまり、特定の分野で競争が激化したり、指導者が頻繁に入れ替わったりしながら、進んでいくのです。そうなる可能性が充分にあります。

 グローバル競争においては、教育、科学、健康管理、そして、文化といった人道的な要素が大きな役割を担っていくに違いありません。これは国際関係にも大きな影響を及ぼします。なぜならこの「ソフトパワー」資源は、洗練されたプロパガンダの策略よりも真の人材開発を達成するうえでかなり重要になってくるからです。

 それと同時に、世間で言うところの多極化世界(この言葉に注目してください)の成立は、それ自体、安定性を改善するものではありません。事実、その反対になる可能性が高いでしょう。均衡のとれた世界を達成するという最終目標は、いまや、多くの未知数を持った難解なパズルと化しています。

 では、たとえ厳しく不便な状況が起きようともかまわずに、私たちが規則に従った行動をとらず、全く何の規則もなしに進んでいったら、一体、未来はどうなるでしょう。実際、そうなる可能性があります。現在の世界的緊張状態を考えると、その可能性は無視できないものです。現在の傾向を分析し、多くの予測が立てられていますが、残念なことに未来は楽観的ではありません。お互いに本気で取り組むことに同意して、危機的状況を管理して解決できる体制を作り上げなければ、世界が無秩序に流れていく勢いを止めることはできません。

 今日、世界の主要先進国が直接、もしくは間接的に関わる暴力的衝突が世界各地で起きる可能性が急激に高まっています。その要因には、従来の多国間の紛争に加え、各国の国内情勢の不安定さがあります。特に先進主要国の地政学的利益が重なる地域や、文化、歴史、経済、文明的側面から見た大陸の境界地帯にある国々です。

 本日の会議でも取り上げられたウクライナはその一例で、この紛争は世界全体の力関係に影響を及ぼします。今後もこのような衝突が世界各地で続くことは明らかです。この紛争で、現在の軍縮協定の体制が本当に壊れてしまう恐れがあります。この危険な動きは、2002年にアメリカが弾道弾迎撃ミサイル制限条約を一方的に破棄したときから始まっており、以来アメリカはグローバルミサイル防衛システムの構築を推進し、現在も続けています。

 ここで皆さんに強調しておきたいのは、この危険な動きを始めたのはロシアではないということです。今の世界は、相互の利益と信頼関係からでなく、双方が自滅する恐怖感が、国家の衝突を防ぐ時代に舞い戻ろうとしているのです。そして、兵器の使用には法規制やそれを防ぐ政治的手段もないため、再び世界的に大きな流れができています。国連安保理事会から何の制裁を受けることなく、各種の兵器が場所や方法を問わず、使用されているのです。国連安保理事会はこの現状に対処しないのであれば、もはや時代遅れで無価値な存在です。

 多くの国は、核を持つこと以外に国家主権を守る方法を知りません。これはきわめて危険です。ロシアは、今後も話し合いを求めます。対話の道を選択するだけでなく、核保有量の削減に向けて継続した協議を行うことを求めます。世界に核兵器は少なければ少ないほど良いのです。ロシアには、これまでになかったほど真剣に、かつ具体的な核軍縮について討議する用意があります。それは、二重基準を徹底的に排除した真剣な議論です。

 この件について説明します。今日の高精度兵器には、大量破壊兵器に近い機能を有するものが多くあります。この状況下で、核兵器の完全放棄や大幅な核軍縮を実施した場合、高精度兵器システムの開発と製造で先進的地位にある国が、格段の軍事的優位に立ちます。軍事力の均衡が崩れれば、変動の起きる可能性が高まります。それは、いわゆる世界大戦の最初の先制攻撃の呼び水となるかもしれません。これでは、戦乱の危機は減るどころか、強まるばかりです。

 次に注意すべき脅威は、民族や宗教、そして社会的立場からの闘争の深刻化です。このような争いは、それ自体の危険性だけでなく、周囲に無政府主義や無法地帯、治安の乱れた地区を作り出します。そこにはテロリストや犯罪者が集まり、海賊行為や人身売買に麻薬取引が蔓延します。

 ちなみに、われわれの仲間(アメリカを指して)も以前、これらの状況を上手く操って、利益を得ようと画策しました。地域紛争を利用したり、「カラー革命(中・東欧、中央アジアの旧共産圏諸国で2000年頃から起きた一連の政権交代劇)」を計画したりしたわけですが、いずれも取り返しのつかない結果に終わっています。カオスを制御できる理論を生み出した人達が、実際のカオスを前に当惑している様子です。組織の統制がとれていないのです。
 
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