世界各国の状況
299292 バルダイ国際会議におけるプーチン演説(3)
 
THINKER・鶴田 HP ( 40代 名古屋 自営業 ) 14/12/17 PM04 【印刷用へ
 テロリスト達は、どこから兵士を募るのでしょう。イラクでは、サダム・フセインが倒された後、軍を含む国の機関は崩壊したままでした。そこで当時のロシアは、今後の動向に細心の注意を払うよう警告を促しました。人々から職を奪い、外に放り出したら、彼らが何をするか想像してみてください。正当な権利はあるかどうかは別にして、彼らはもともとその地域で強い権力と指導権を持っていた人達です。彼らが現在、どのような姿になったのか、よく考えてほしいのです。

 イラクはその後、どうなったでしょう。数万人の兵士達、将校達、元バース党活動家達は職を失い、今日では反乱軍のメンバーに加わっています。イスラム過激派グループ「イスラム国」がなぜ急成長できたか、これでわかるでしょう。軍事的に見ても、彼らは非常に実戦的で高度な専門家集団です。このように、一方的な軍事攻撃や主権国家に対する内政干渉、そして、過激派集団をたぶらかすことの危険性について、ロシアはこれまで繰り返し警告してきました。われわれは、シリア国内の反体制派グループ、とりわけ「IS(イスラム国)」をテロ組織のリストに加えるよう強く要求しましたが、現状はどうでしょう。われわれの主張は、無駄に終わりました。

 われわれのパートナーである欧米諸国は、自らの政策が引き起こした問題と常に戦っている印象を受けます。自分たちが生み出した危機に対処するため、多大な努力をし、さらに大きな代償を払っています。

 皆さん、現在の一極支配が証明しているのは、権力を一つに集中させるシステムでは、世界全体の進行を管理できないということです。それどころか、この不安定なシステムでは、地域紛争、テロ、麻薬密売、宗教的狂信主義、狂信的愛国主義、ネオナチズムといった本物の脅威と戦うことはできません。また、このシステムは、国家の威信を誤った方向へ増長させ、世論操作や弱肉強食が蔓延する世界に私たちを導いています。
 

 本質的に一極集中体制は、人々と国家の上に君臨する独裁主義を正当化する方便にすぎません。結果的に一極集中の世界は、リーダーを自称する者や国家にとっても不快で、重く、管理できないほどの重荷となっています。この見解に沿う発言が先ほどありましたが、私も全く同感です。アメリカは、この新しい歴史的段階においてなお、指導権を永続させるために疑似的な二極世界を再び作ろうとしています。旧ソ連がかつてそうであったように、アメリカの宣伝の中で、悪を演じるのは誰でも良いのでしょう。それは核技術の入手を企むイラン、もしくは世界最大の経済国家中国や核の超大国ロシアが悪役にされるかもしれません。

 今日、新たな動きがあります。世界が分断され、新しい境界線が引かれ、協調のためでなく、冷戦時代のように仮想敵のイメージが創られ、その敵と対立すべく同盟が組まれ、首謀者達は指導権だけでなく独裁権まで手に入れる勢いです。これは冷戦時代にもあったもので、私たちは皆、このやり方についてよく知っているはずです。アメリカは同盟国にいつもこう言っていました。「我々には共通の恐ろしい邪悪な敵がおり、あなた方を守っているのは我々だ。ゆえに、我々にはあなた方にあれこれと指図する権利がある。あなた方の国の政治方針や経済的利益を犠牲にすることを強制し、集団的自衛にかかるコストはあなたが支払う。しかし、全ての決断は下すのは我々だ」 つまり、新しく変化する今日の世界で起きているのは、世界支配のお決まりのパターンで、アメリカに特別な地位を与え、そこに政治的支配権と経済的利益を集めることなのです。

 しかし、この動きは現実とますますそぐわないものになっており、多様化する世界との矛盾が起きています。この手のやり方では、必然的に対立や対抗策を生み出すだけで、期待していた目的と逆の反応が起きてしまいます。政治が軽率に経済に干渉し、合理的判断より対立の論理が優先されれば、国家事業も含め、自国の経済的地位と利益が損われるだけです。

 (それとは逆に)国家同士で経済的共同プロジェクトを立ち上げ、相互投資をすれば、互いの結びつきを強め、国家間の問題の円満解決に役立つことは間違いありません。しかし、今日のグローバル化したビジネスの世界には、西側諸国の政府が空前の圧力をかけています。彼らは、「国家の危機だ」「自由な世界が脅威にさらされている」「民主主義の危機だ」といったスローガンが叫んでいます。ではこのような状況の中で、一体何のビジネスをして、どんな経済的便宜を図り、具体案を検討しろと言うのでしょう。つまるところ、彼らは、皆に戦時体制をとれ、と言っているわけです。これは全くのところ、戦時体制の政策なのです。

 (西側諸国からロシアなどの国家に対する)制裁は、世界貿易、WTO(世界貿易機関)の規律や私有財産の不可侵の原則を亡き者にしてしまいました。西側諸国が利益を得るために作り上げた自由競争に基づくグローバル社会を彼ら自身が壊しているのです。今の彼らはグローバル社会のリーダーとしての信用を失うリスクを冒しています。考えてください。これは必要なことだったでしょうか。結局のところ、アメリカの繁栄は、投資家や海外の米ドルおよび米国債の保有者の信用の上に成り立つものです。いまやこの信用はますます地に堕ち、多くの国家が、グローバル化のもたらした結末に失望しています。

 先にキプロスに対して、政治的理由から行われた制裁では、同国内の経済強化と金融主権を求める動きを強めただけでした。国家政府や地方の諸団体は、外部の脅威から自分たちを守る手段を見つけようと、その思いを強くしたのです。ますます多くの国が、ドル依存から抜け出し、ドルに代わる金融および決済や準備通貨のシステム作りを模索しています。アメリカの友人達は、自分で自分の土台を壊しているかのようです。政治と経済を混ぜてはいけません。しかし、これが現実に起きています。政治的な理由で国家に制裁を与えることは常に間違っており、誰もが損害を受けます。この件については、また後ほど話します。

 われわれは、これらの制裁の決定がどのようになされ、誰が圧力をかけたのか知っています。しかし、ロシアは経済制裁をうけても、向きになって怒ることもありませんし、誰かに援助を乞うこともないと明言しておきます。ロシアは自給自足の経済的に独立した国家です。われわれは、現行の国際経済の中で取引し、国内生産と技術力を発展させ、国家の変容を遂げるために確固たる方針を持って進んでいきます。外からの圧力は、これまでもそうであったようにロシア社会をより強固なものとし、われわれはより注意深く、国家の発展に焦点を当てていきます。
 
  List
  この記事は 299227 への返信です。
  この記事に対するトラックバックURL  http://www.rui.jp/tb/tb.php/msg_299292
  ※トラックバックは承認制となっています。

 この記事に対する返信とトラックバック
299362 バルダイ国際会議におけるプーチン演説(4) THINKER・鶴田 14/12/19 PM00

[過去の記事へ]
[一覧へ戻る] [新しい記事へ]


◆実現論本文を公開しています。
 実現論 : 序  文
 第一部 : 前  史
 第二部 : 私権時代
 第三部 : 市場時代
 第四部 : 場の転換
 参考文献

 必読記事一覧
01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28
大転換期の予感と事実の追求
実現論の形成過程
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(1)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(2)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(3)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(4)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(1)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(2)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(3)
自考のススメ3.自考力の時代⇒「少年よ、大志を抱け」(1)
自考のススメ3.自考力の時代⇒「少年よ、大志を抱け」(2)
1.これから生き残る企業に求められる能力は?
2.私権圧力と過剰刺激が物欲を肥大させた
3.市場の縮小と根源回帰の大潮流
4.共認回帰による活力の再生→共認収束の大潮流
5.自我と遊びを終息させた’02年の収束不全
6.同類探索の引力が、期応収束を課題収束に上昇させた
7.情報中毒による追求力の異常な低下とその突破口
8.大衆支配のための観念と、観念支配による滅亡の危機
9.新理論が登場してこない理由1 近代観念は共認収束に蓋をする閉塞の元凶となった
10.新理論が登場してこない理由2 専門家は根本追求に向かえない
11.学校教育とマスコミによる徹底した観念支配と、その突破口(否定の論理から実現の論理への転換)
12.理論収束の実現基盤と突破口(必要なのは、実現構造を読み解く史的実現論)
近代思想が招いた市場社会の崩壊の危機
新理論を生み出すのは、専門家ではない普通の生産者
現実に社会を動かしてきた中核勢力
私権時代から共認時代への大転換
市民運動という騙し(社会運動が社会を変えられなかった理由)
民主主義という騙し:民主主義は自我の暴走装置である
統合階級の暴走で失われた40年
大衆に逆行して、偽ニッチの罠に嵌った試験エリートたち
新理論の構築をどう進めてゆくか

『るいネット』は、43年の実績を持つ起業家集団・類グループが管理・運営しています。るいネットワーク事務局(Tel:0120-408-333, E-mail:member@rui.ne.jp