政治:右傾化の潮流
299031 2014総選挙 与党に投票するとはどういうことか?1/2
 
永峰正規 ( 45 大阪 建築士 ) 14/12/10 PM06 【印刷用へ
争点が見えにくい今回の総選挙。
個別の論点は挙げられているように見えても、日本という国が進むべき道を示すようなものは見当たらない。

そんな今回の総選挙について、どこに目を向けてみるかという点に触れた記事を見つけた。
具体的な論点ではなく、「安倍政権発足から二年間における日本国内の社会的様相の変化」を丹念にたどることで、気付かずに見過ごされた変化を浮かび上がらせ、「政権が論点化するのを一貫して避け続ける問題」を掘り起こすことで隠された真意に目を向けている。

与党に投票するとはどういうことか?を深く考えさせられる内容である。


【総選挙2014】首相が「どの論点を避けているか」にも目を向けてみる
(ポリタス:リンクより引用)

2014年の衆議院議員選挙は、決定権を握る首相が(形式上は唐突に)「解散総選挙」を選択した真意が判然としないこともあり、メディアの側も選挙報道の軸となる「争点」を明確に絞り込めていないように見えます。

私は、既に「争点」として論じられている個別の問題よりも、むしろ「現政権が最終的にこの『国』をどんな形へと作り替えることを目指しているか」を重視して、一有権者としての「総合的評価」を行うつもりでいます。その分析評価においては、第二次安倍政権が経済政策や安全保障政策などの諸問題の決定過程において国民に見せた姿勢や説明内容に加えて、同政権の発足から二年間における日本国内の社会的様相の変化と、同政権が記者会見等で質問されても論点化するのを避けて「一切触れようとしない」問題は何なのかという点にも目を向けて、判断の材料としています。

1点目の「諸問題」については、既に多くの方が論じておられるので、ここでは2点目の「同政権の発足から2年間における日本国内の社会的様相の変化」と、3点目の「政権が論点化するのを一貫して避け続ける問題」について、私なりの認識を述べてみます。

■日本の社会は、第二次安倍政権下でどう変化したか

人が歴史を学ぶ意義の一つは、過去と現在と未来が「途切れずに連続している」という「感覚」を、思考の底流に形作ることだと思います。現在目の前にある様々な問題は、いきなり目の前に出現したのではなく、ほとんどの場合、少しずつ視野の中で拡大してきたはずですが、大抵は「はっきりわかるほど大きくなる」または「深刻化する」まで、その変化には気付かずに見過ごしてしまいます。

それと同様に、社会全体の重要な変化も、唐突に激変するのではなく、漫然と日々を過ごしていると全然気付かないくらいの緩いスピードで、少しずつ進んでいきます。20世紀における、あるいは人類史で最悪の政治体制の一つとすら評価されているナチス・ドイツの非人道的な独裁も、日本の現副総理が内輪の講演で「あの手口に学ぶ」と述べたように、多くの国民がその重大さに気付かない程度の遅さで、じわじわと形成されていきました。

こうした変化に「気付く」ためには、長い時間をかけて録画した映像を早廻しで一気に観るのと同じように、過去数年間の社会の動きを回顧し、何がどんな風に変わったのかを定期的に確かめる必要があります。植物の成長も、毎日水をやっていても変化を「変化」だと気付きにくいですが、録画の早廻しで観ると生育の具合がよくわかります。

それでは、第二次安倍政権が発足してから、日本国内がどのように変化したのか。以下は私の主観ですが、発足前と較べて「変わったな」と思う点をリストアップしてみます。

●人種差別や民族差別など、偏見と差別を堂々と主張する攻撃的・排外的な言説(いわゆるヘイトスピーチ)が増え、ネット上だけでなく路上でも公然と叫ばれるようになった。

●特定の国を名指しして国民や慣習を貶め、その国の前途が悲観的・絶望的であるかのように描いた本が数多く出版され、書店の目立つ場所に並ぶようになった。

●「日本」や「日本人」を礼賛する本やテレビ番組が急激に増加した。

●政治家が、1945年8月(敗戦)以前の「女性観」に基づく役割分担への回帰を、公然と語るようになった。

●「国境なき記者団」が発表する「言論の自由度ランキング」で、日本は再び50位以下に転落した(50位以下は過去3回、2006年、2013年、2014年でいずれも安倍政権)。

●公共放送の会長や経営委員など、現政権との親密な関係で社会的な優位に立つ側の人間が、傲慢な態度を隠さなくなった。暴言を吐いても地位を失わなくなった。

●公共放送のニュース番組が、首相や政府に対する批判的内容を一切報じなくなり、逆に首相や閣僚のコメントはたっぷりと時間をとって丁寧に報じるようになった。

●大手新聞社や在京テレビ局のトップが、首相と頻繁に会食するようになった 。大手芸能事務所の社長やプロデューサー、大手出版社の社長も、首相と親密な関係を結び始めた。

●「国益 」「売国 」という言葉が大手メディアや週刊誌で頻繁に使われるようになった。

●政府に批判的な人間への威圧・恫喝・見せしめのような出来事が増えた。

●首相が国会で名指しして批判した新聞社の関連人物を雇用する大学に対し、無差別殺人を予告する脅迫が行われたが、首相も国家公安委員長もこの脅迫行為を非難しなかった。

●ヘイトスピーチを行う団体の幹部と現職閣僚(一人は本来そのような団体を取り締まる立場の国家公安委員長)が、政治思想面で共感し合っていることを示す団体機関紙記事や記念写真などがいくつもネット上に流出した。

●天下りや家賃が優遇される官舎など、民主党政権時代には頻繁に行われていた、官僚の特権的境遇や税金の無駄遣いに関する大手メディアの批判的報道がパッタリと止んだ。

首相と現職閣僚の靖国神社参拝や慰安婦問題の矮小化などによる、近隣諸国との軋轢増大や海外メディアからの批判は、ここでは「国外の問題」として除外しましたが、上に列挙したような国内の変化のほとんどは、首相自身や閣僚、および彼ら・彼女らと親密な関係を持つ作家や評論家、政治活動家が直接的に関わって生じているものだと言えます。

先に述べたように、歴史の文脈で見れば、社会の変化は継続します。こうした変化が、私の抱いている印象の通り、この2年間で「増えている」としたら、現在の政権が続く限り、今後もさらに増え続ける可能性が高いと思われます。実際、現政権は、諸外国では犯罪として法規制の対象となっている「ヘイトスピーチ」にすら、積極的な抑制的対応をとろうとしていません。与党への投票は、こうした「変化の方向性」への「是認」を意味します。

(2/2に続く)
 
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