西洋医療と東洋医療
292263 健康診断に死亡率低下の効果はない、という研究結果
 
斎藤幸雄 HP ( 50 愛知 建築設計 ) 14/07/11 PM00 【印刷用へ
既に「健康診断に死亡率低下の効果はない」という研究結果が複数報告されています。専門家からも、その効果について疑問の声が上がっています。

>◎結論
健保とその加盟企業、国民が負担している年間3千億円の検診費はドブに捨てられている。
国民の健康づくりでなく、医療界のための患者づくりしかしない検診などやめたほうがいい。(291133

国が勧める「健康診断」には多くの費用(国民の負担)がかかります。健康診断を実施しようとすならば、事前にその効果についてしっかりと検証し、その効果を見極める必要があります。なにより、それが不十分なものは「実施は認めない」という国民からの意思表示が必要です。

「メタボ健診」の効果リンクより転載。
 ※その他の参考サイト:健康診断は効果がない!? ~健康診断の必要性を考える~リンク
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2008年度から鳴り物入りで開始された特定健康診査・特定保健指導(リンク)。
通称、「メタボ健診」とも呼ばれています。

先日、そのメタボ健診の受診率(2012年度分)が厚生労働省より発表(リンク)されました。

結果は、46.2%

前年度より1.5ポイント増えているものの、目標としている70%には遠く及ばない数値となっています。

ですが、このメタボ健診を含め、「健診」そのものの効果について、実は皆さんが想像しているような結果が得られていないという事実はご存知でしょうか?

皆さんが想像している健診の効果は次のようなものではないでしょうか。

  健康診断を受ける
  ↓
  検査値で異常が見つかる
  ↓
  生活習慣を改める
  ↓
  生活習慣病が予防できる
  ↓
  国民全体の生活習慣病による死亡率が下がる

そこで、本当にこのような効果があるのかを検討したランダム化比較試験の結果が、BMJ(2014;348:g3617 電子版2014年6月21日号)(リンク)に報告されました。

この研究は、デンマークでおこなわれ、1999年から30〜60歳の成人を「健診を受ける群(約1万人)」と「健診を受けない群(約5万人)」に分けて、10年間にわたり追跡調査しました。

「健診を受ける群」は、5年間に4回の健診を受け、その結果を受けて生活習慣に関するカウンセリングがおこなわれ、必要に応じて医療機関への紹介もおこなわれました。

健診の内容は、「心電図」「血圧」「身長・体重」「ウエスト・ヒップのサイズ」「スパイロメトリー(呼吸機能検査)」「総コレステロール値」「ブドウ糖負荷試験の2時間値」になります。

「健診を受けない群」は、いずれの検査もおこなわれません。

そして、開始から10年間の「虚血性心疾患の発症率」「脳卒中の発症率」「死亡率」を比較検討しました。

その結果が次のグラフです。
(赤字は著者注)

図表

「健診を受ける群」と「健診を受けない群」における、経時的な累積確率のグラフの曲線は、ほぼ重なっています。
つまり、両群において、「虚血性心疾患」「脳卒中」の発症率に差はなく、全体的な「死亡率」にも差はないということになります。

ハザード比でみてみても、「健診を受けない群」を基準(Reference:ハザード比=1.00)としたとき

●「健診を受ける群」の虚血性心疾患発症のハザード比は、1.04(95%信頼区間:0.94-1.14)

●「健診を受ける群」の脳卒中発症のハザード比は、0.99(95%信頼区間:0.88-1.11)

●「健診を受ける群」の虚血性心疾患・脳卒中発症のハザード比は、1.01(95%信頼区間:0.93-1.09)

●「健診を受ける群」の全死亡率のハザード比は、0.98(95%信頼区間:0.90-1.08)

と統計学的な有意差は認められませんでした。
(※ハザード比は、年齢、性別、教育歴、民族的帰属、同居人の有無、併存疾患に関して統計学的に調整をおこなった結果です)

そのため、論文の著者らは「虚血性心疾患のリスクに対するスクリーニング(検査)や繰り返しの生活習慣の改善アドバイスを伴う5年間にわたる地域ベースの個人個人の必要性に応じた介入プロブラムは、10年後の虚血性心疾患、脳卒中、死亡のいずれに対しても効果はない」と述べています。

実は、このような研究結果は今回の報告にかぎらず、過去に複数発表されています。

もちろん、海外のデータが、そのまま日本人に当てはまるかどうかは、疑問が残ります。

特に、今回とりあげられている虚血性心疾患の発症頻度は、日本人は欧米人に比べて非常に少ないです。

ですから、なおのこと、日本において新たに始まった「特定健康診査・特定保健指導」の効果について、きちんと検証し、その効果を見極める必要があると個人的には思います。

 ==================================================以上転載
 
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