素人による創造
290123 「手で描き、手で消す」・・・デザインの原点
 
佐藤賢志 ( 50 東京 デザイナー ) 14/05/11 PM10 【印刷用へ
「手で描き、手で消す」の重要性について、20年以上、建築のデザイン・設計に携わってきた実感から少し書いてみたい。

近年のデジタル設計ツールの進化は日進月歩の様相にあるが、デザインや設計の『原点』となるものをアウトプットしていくツールは、やはり手であり鉛筆(ペン)である。
とりわけデザインにおいて、初期の可能性を探る段階のスケッチやデッサンは、脳内のイメージや思考を、瞬時にかつダイレクトにアウトプットできるものが良く、イメージをストレスなく、同時にそして自在に表現できるのが「手」なのである。
優れた建築家やデザイナーが、ほぼ例外なくデッサンの習得に励んだ目的も、この一点に尽きると言ってもいいだろう。

私の場合は、手で描いたスケッチで得られた可能性と確信が、その後のプロジェクト進行の核心に在り続ける決定打になっている。
(デジタル表現の場合、PC操作と時間の遅延とともにイメージの鮮度が落ちていく。また時間の経緯とともに、着想時に得られた鮮明な考えに余計な思考が混入し、純粋さが損なわれていく。)
そして、幾重にも線を塗り重ねていく事で、リアリティーを高めていく。

また「手で描く」ことで、デザイン・設計で不可欠な「五感」にも肉迫する事を可能にする。スケール感や質感、素材感、色彩、触感、温感、音の感覚などを含め、瞬時に手で表現できれば、創作物の原点として、固定化できる。
(デジタル表現では、この感覚が捨象されてリアリティーが欠落したスケッチや設計図を目にすることが多くなった。)

さらに「手で描く」ことで、心の情感を伝えることも瞬時にできる。

・・・つまり「手で描く」ことは、脳内に生起したイメージや観念と、共認、本能をそれぞれ結びつけることを可能にする、最も有効な手段だと言うことが出来るだろう。

※模型やCG、シュミレーションソフトなど、スピーディーに表現可能なデジタルデザインツールを否定するものではない。これらは「確認」「検証」「プレゼンテーション」のためのツールとして、有効に活用したい。
 
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