古代市場と近代市場
289705 関税の起源は賄賂だった?
 
匿名希望 14/04/27 PM11 【印刷用へ
 国内農業の将来を考える際に、避けては通れないのが関税の問題である。今日は『世界関税史』(朝倉弘教著:出版日本関税協会)から分析を試みているサイトを紹介しながら、主に中東や欧州の関税史を切開してみたい。リンク


          【以下引用】

初期の関税のひとつの例として、De Laetは、古代ギリシャの関税をあげ、次のように述べている。

「われわれがギリシャに関して持っている最古の情報は、ホメロスの時代に遡る。この時代に、ある種の原始的な税が、まだ比較的未発達の状態にあった商業に関して課せられた。この原始的な税は、その後の時代の関税と二つの点で異なっている。第一に、この税は従価によって徴収されるものではなかった。つまり、税額は、商品価値の一定%によるものではなかった。第二に、この税は、少なくとも見かけの上では、自由意志によって自発的に支払われた。事実、この税は、外国人商人によって、彼等が商売をしようとする土地の高い地位にある人々に贈物の形で支払われた。商人はこうすることによって、土地の支配者たちの保護、或いは少なくとも好意ある取扱いを期待したのである。

しかしながら、この贈物は、形の上でしか自発的ではなかった。もし仮に、商人が王や王子にこの慣習的贈物をおくりことを怠ったならば、彼等の支配する領地内で商業を営むことを拒否されるか、または、その権利を剥奪されることが予想されたろう。このようなやり方は、ギリシアのみならず、東地中海のすべての地方に広く行きわたっていた。」

この引用文は、ホメロスの時代の原始的な関税について述べたものであるが、当時、東地中海域の商業はまだ未発達で、貨幣もなく、貿易にあたっての価格は牛何頭で表されていた。恐らく、商人も、一部は海賊兼業であったかもしれない。いずれにしても関税は、一般に、このような時代を経て、次第に租税としての形態を整えていったものと思われる。

          【引用終わり】


 以上のような歴史分析を踏まえると、当初は賄賂として登場したものが、国家や領主の手によって徐々に制度化(≒強制化)され、まず手数料へ、そして近代型の租税に変貌していったのが今日の関税らしい。

 この過程で特に注目されるのは、つい最近まで、関税は領主の私的収入という色彩が濃かった点ではないだろうか。これも、関税の起源を賄賂と考えると合点がいく。最近のTPPなどで、関税撤廃に欧米が熱心なのも、あるいは関税を賄賂の一種と考えているからなのかもしれない。
 
  List
  この記事は 280403 への返信です。
  この記事に対するトラックバックURL  http://www.rui.jp/tb/tb.php/msg_289705
  ※トラックバックは承認制となっています。

[過去の記事へ]
[一覧へ戻る] [新しい記事へ]


◆実現論本文を公開しています。
 実現論 : 序  文
 第一部 : 前  史
 第二部 : 私権時代
 第三部 : 市場時代
 第四部 : 場の転換
 参考文献

 必読記事一覧
01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28
大転換期の予感と事実の追求
実現論の形成過程
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(1)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(2)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(3)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(4)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(1)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(2)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(3)
自考のススメ3.自考力の時代⇒「少年よ、大志を抱け」(1)
自考のススメ3.自考力の時代⇒「少年よ、大志を抱け」(2)
1.これから生き残る企業に求められる能力は?
2.私権圧力と過剰刺激が物欲を肥大させた
3.市場の縮小と根源回帰の大潮流
4.共認回帰による活力の再生→共認収束の大潮流
5.自我と遊びを終息させた’02年の収束不全
6.同類探索の引力が、期応収束を課題収束に上昇させた
7.情報中毒による追求力の異常な低下とその突破口
8.大衆支配のための観念と、観念支配による滅亡の危機
9.新理論が登場してこない理由1 近代観念は共認収束に蓋をする閉塞の元凶となった
10.新理論が登場してこない理由2 専門家は根本追求に向かえない
11.学校教育とマスコミによる徹底した観念支配と、その突破口(否定の論理から実現の論理への転換)
12.理論収束の実現基盤と突破口(必要なのは、実現構造を読み解く史的実現論)
近代思想が招いた市場社会の崩壊の危機
新理論を生み出すのは、専門家ではない普通の生産者
現実に社会を動かしてきた中核勢力
私権時代から共認時代への大転換
市民運動という騙し(社会運動が社会を変えられなかった理由)
民主主義という騙し:民主主義は自我の暴走装置である
統合階級の暴走で失われた40年
大衆に逆行して、偽ニッチの罠に嵌った試験エリートたち
新理論の構築をどう進めてゆくか

『るいネット』は、47年の実績を持つ起業家集団・類グループが管理・運営しています。るいネットワーク事務局(Tel:0120-408-333, E-mail:member@rui.ne.jp