共同体社会の実現
289537 追求力の高い会社(次代のものづくり企業1)
 
岩井裕介 ( 42 山口 再開発プランナー ) 14/04/22 PM07 【印刷用へ
■1.名南製作所 リンク →物理勉強会、共同体経営
※「事実の共認が羅針盤」 〜名南製作所のやり方〜 リンク 
※自然の摂理から導かれた概念で統合する 〜名南製作所〜 リンク 
  
◆事実認識の浸透 〜物理勉強会〜
愛知県の木工機械メーカーである名南製作所には、社員全員参加の「物理勉強会」があります。長谷川氏は、「物理はサイン・コサインや公式や計算ではない。物理は人間形成のためにやるのだといい、普遍的なものを学び合い、心の訓練をし、まちがいのない者には自由で平等にならざるを得ないし、先輩だから、上司だからと押し付けられない、みんな素直にならざるを得ないのだ」と強調し続けたといいます。「こうして、みんなが同じ勉強をし、共通の言葉ができると、新しい機械、新しい仕事に一様に取り組むことができるようになる。ぬけがけもなくなるし、正しいことが受け入れられぬこともなくなり、際限のない生きがいの探求ができるようになったのである。」
 
◆事実の共認@ 〜株主と会社組織〜
《全員株主》名南製作所は、株式を公開せず、社員みんなで株を持ち合っています。株主総会は、社員全員が参加する経営者会議、一日がかりで経営の現状分析、問題解決策、将来の展望等について議論するといいます。長谷川氏の言葉を借りれば「普遍的なものを学び合い、心の訓練をし、まちがいのない者には自由で平等にならざるを得ない」ということ。自然の摂理のなかでは、皆が同じ土俵におり、そのなかで外圧を把握し、協調し、闘っていくということでしょう。

《組織形態》名南製作所には、役員はいるものの、部長や課長がいない。曰く「皆が部課長レベルになったので、やめてしまった」のだと。営業部・生産管理部・・・等などの部署は存在するが、これは大まかなもの。所属部署から自由にはみ出して他部門に参画することができます。やる気があれば、いくつもの会議を掛け持ち、当然、忙しくなりますが、皆が率先して参加していく気風が生み出されているといいます。こうした気風も、物理学という事実の共認から生み出されています。たとえば「作用・反作用の法則」によると「期待をすれば、必ず応えてもらえる」。主体的に「どうすればよくなるか?」と参加すれば「必ず成果となってかえってくる」。それがわかれば、活力=加速度が増すし、モチベーション=運動エネルギーが高まる、ということでしょう。
 
◆事実の共認A 〜皆の評価をもとにした「次元給」〜
《人間の次元とは?》次元給とは「会社の全員の給与を皆の評価で決める」こと。「人、時間、主義主張を超えた普遍性のある尺度」として、物理学の「次元」を用いることを長谷川氏が提案したもの。「各自の仕事以外に、他に与える影響力をもっと見るべきではないか。量的評価を質的評価に変え、一面的ではなく、多面的に、立体的に人を見ていこう。これは次元の差に他ならない」という発想だといいます。物理学でいうと、ゼロ次元は点、一次元は線(広がりがない)、二次元は面(広がりはあるが厚みがない)、三次元は立体ということになります。これを人間に当てはめると、ゼロ次元は乳児(≒猿)、自分だけの仕事で手一杯なのは一次元、自分以外の人をリードできて二次元になるといいます。

《相互評価》「次元力評価」をもとに、全社員が相互評価。その集計を「給料委員会」が受け取って、話し合って、全員の給与を決める。長谷川氏によると「“他人の運命を自分が決める”という重大な責任行動を体験し合う」。次元が上がっていくというのは「停滞しない慣性力の持ち主」という資質であるし、次元が高いというのは「他の人に活力=加速度を与える」影響力、すなわち共認力の持ち主、ということになるでしょう。皆の評価とはまさしく「事実」、その事実を目に見えるかたちに置き換えたのが「次元」という評価指標。共通言語である物理(事実認識)で評価という事実が対象化できるということです。


■2.マニー リンク →世界一か否か会議
リンク リンク
手がけるのは、名医もうなる「手術針」。国内シェア9割。世界120カ国の医者たちから圧倒的な支持を得ている。さらに驚くのは、売上高に占める営業利益率。ユニクロやニトリ、楽天でさえ10%台の中、マニーは約40%!なぜ栃木の田舎企業が、世界に冠たる地位を築けたのか?トップは会長・松谷貫司。実質赤字会社を父親から継ぎ、どん底から驚異の急成長を成し遂げる。そして“粘りの開発力”で、後発でも他社のシェアを続々と追い抜いてきた。「世界一の品質しか目指さない!」「ニッチ以外はやらない!」「工場は田舎にしか建てない!」…。

◎マニーが世界の医者から信頼される理由
年々高度になる外科手術。人の命を預かる特殊な世界の要求に、マニーは応え続けてきた。その結果、1万種類もの手術針を揃え、その全てが“世界一”の品質を目指してつくられている。わずか数ミリの極小針でも、針先の滑りの良さを徹底追求。体内を傷つけない丸みを帯びた加工法など、その微細加工では他社の追随を許さない。さらに、針一本一本、全品を目視でチェックしているのだ。極めつけが年に2回開かれる「世界一か否か会議」。他社製品も分析して、自社製品が世界一かどうかを判断する。そこで認められなければ、発売中止も辞さない。そのこだわりが世界中の医者から信頼され、手術の質向上に貢献している。松谷は言う「世界一の品質を実現すれば、自ら営業しなくても売れていく。」

◎すべては、針金から生まれた
マニーの商品は、手術針だけではない。歯医者で、歯の根管治療に使われる「リーマ・ファイル」、現在急増している白内障手術で使う「眼科ナイフ」などがある。これらの商品に共通しているのは、針金でできていること。マニーが驚異の利益を生み出す秘密がここにあった。針金の材料費が、売上に占める割合は、何と約1%。針金を徹底的に磨き上げ、独創的な加工技術で価値を100倍にも高めているのだ。

◎針金屋・松谷の“粘りの哲学”とは
以前、松谷は針金加工から脱却しようとしたことがあった。40年前、手術用のメス製造に参入したのだが、それは経験のない鉄板加工で製造するものだった。似て非なる金属加工を要する「針金」と「鉄板」。結果、他社の製品を超えることができず、多額の金を使い果たして、会社を潰す寸前までいった。そのとき、松谷は自覚する「我々は針金屋なんだ!」失敗から己を学び、以来、針金加工にこだわり続けてきた。
 
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1.これから生き残る企業に求められる能力は?
2.私権圧力と過剰刺激が物欲を肥大させた
3.市場の縮小と根源回帰の大潮流
4.共認回帰による活力の再生→共認収束の大潮流
5.自我と遊びを終息させた’02年の収束不全
6.同類探索の引力が、期応収束を課題収束に上昇させた
7.情報中毒による追求力の異常な低下とその突破口
8.大衆支配のための観念と、観念支配による滅亡の危機
9.新理論が登場してこない理由1 近代観念は共認収束に蓋をする閉塞の元凶となった
10.新理論が登場してこない理由2 専門家は根本追求に向かえない
11.学校教育とマスコミによる徹底した観念支配と、その突破口(否定の論理から実現の論理への転換)
12.理論収束の実現基盤と突破口(必要なのは、実現構造を読み解く史的実現論)
近代思想が招いた市場社会の崩壊の危機
新理論を生み出すのは、専門家ではない普通の生産者
現実に社会を動かしてきた中核勢力
私権時代から共認時代への大転換
市民運動という騙し(社会運動が社会を変えられなかった理由)
民主主義という騙し:民主主義は自我の暴走装置である
統合階級の暴走で失われた40年
大衆に逆行して、偽ニッチの罠に嵌った試験エリートたち
新理論の構築をどう進めてゆくか

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